記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。

「カノヨ街」(クトゥルフ神話TRPG第6版)感想まとめ


概要

※ネタバレあり感想です。
未通過の方はご注意ください。
※シナリオ販売ページはこちら。
おもしろかったです、ありがとうございました。
アートもめちゃくちゃ凝ってて、美しい世界の中を
没入感満足感いっぱいで生存まで駆け抜けることができました。
https://booth.pm/ja/items/1710879

▸▸▸------------------- ここはカノヨ街。 すべてのひとがしあわせにくらしています。 人間と妖怪の共存する「カノヨ街」を舞台に繰り広げられる和風アドベンチャー。それぞれの道標を目指す探索者たちの途が交差するとき、照らされるものは一体…… ​ 「ああでも、ここはとっても迷いやすい場所だから、はぐれて迷子にならないように気をつけてね?」 ▸▸▸-------------------

DAY0 カノヨ街開始準備

もらったHOは「参番地の時計」。
詳細を読むとスーパーハッカーだそうなので、
少年にするかおじさんにするかばあさんにするか、小一時間ほど考える。
結局ヘキに従って、意味深風な喫茶店のマスターなおじさんにしました。
時透 渡さんです。(金田一少年の被害者の名前から持ってきた)
凡庸な喫茶店のマスターが棚の裏とかに大量に銃を隠してたり、地下ハイテク情報センター作ってたりみたいなのが好きなのでそのイメージで。
私は絵がまったく描けませんが、最近は好きな感じのアイコンを作ってくれるサービスがあるからすごい。
Picrewの「一癖おじさん」でつくりました
https://picrew.me/share?cd=VJpdPR0Gjm

喫茶店のマスターです

彼の目的は、
カノヨ街のデータベースを盗み出すこと。
キャラシを作、どうとでも発展できる設定を持ち、
ハッキング技能ももらって、いざゆかんカノヨ街。

DAY1 開始~本殿侵入直前

自宅で目が覚め探索スタート。
前半は平和に過ごしていたんですよ前半は。
みんなでお祭りを楽しんだり、診療所に薬箪笥くんをお見舞いに行くって言って大量の差し入れを持って行ったり。
HO3の柚下ちゃんと図書館に行って、カノヨ街における「豊穣祭」「大祝詞」の役割を学んだりしました。要は年一の大規模メンテとデフラグ作業がこの後あるから、運営側に都合悪い人はそれまでになんとかしよう!ということらしい。
問題はこの後、HO4空呉くんが神社から持ってきたお札を見てから急に雲行きが怪しくなってきました。
このおじさん、今は敵の目を眩ますため自分で自分の記憶にロックをかけており、自発的に記憶喪失になった状態なのですが、その前からずっと単独でカノヨ街の調査なりハッキングなりを行っていたようで、その成果のひとつがこのお札。AI薬箪笥へのハッキングを100%成功させ、追従対象を書き換えてくれるんだとか。激ツヨアイテムじゃん。
初期自宅の探索で薬箪笥のセキュリティが甘いと知っていたことを含め、これは私が薬箪笥をハッキングせねば!と心に決めていたはいいものの、いざ診療所前で薬箪笥に出会うと、今じゃなくてもいいかな…?もうちょい先でもいいかな…?ハッキング残数減るしな…?とか尻込みしてKPにいろいろ聞いてるうちに、会話の流れが「じゃあ薬箪笥くんさよなら~」みたいになってて、やべえ!やるなら今だ!って去り際の背中に慌ててハック!
追従対象を唐傘薬師さんから書き換えるなら、神魂様に追従するように設定しなおして案内してもらお!とか、警邏提灯の停止コード教えて先回りして停止させておいてもらお!とか思ってたんですが、みんなが見てる目の前で薬箪笥がガガピー!!ってなって、なんとおじさんに向かってわたくしあなたについていきます的なことをいう。
いや俺かーい!!!!!!!!!

KP、この笑みである

仲間たちからの疑惑のまなざしが背中に痛い!
でも自分がそっち側だったら間違いなく同じ目を向ける!仕方ない!
というわけで、下手に慌てるとますます怪しいのでこれはもう場を荒らしていくしかねぇ!情報アドバンテージをフルに活用しよう!と思って
「そうかい、よろしく頼むよ」
という、さも最初からわかってましたケド~みたいなセリフを発して、ますます疑惑を強めておくのでした。前向きに怪しいムーブをする善人ほど怪しいものはない。
さらに、そのまま診療所内部の隠し扉を探索すべく、さっそく唐傘薬師さんに邪魔されず扉の先を探索させてくれるようにお願いしてみました。
任せろ!と頼もしい言葉と共に、唐傘薬師さんに近づいていく薬箪笥くん。
話しかけて外に連れ出すくらい穏便な感じでお願いしたいな~と思ったのに
先生にかわい~く甘えるテイで抱きついて、そのままベアハッグ。
最強腕力で唐傘薬師を締め潰す。
唐傘薬師はグロ演出を見せながら壊れてしまい、仲間からの疑惑の目が不信の目に変わるのを肌で感じるおじさん。
自分でやったことなのに自分もSANチェックに失敗する始末。はわわ。
HO1縺絲くんが薬箪笥に、何をしたかを問いかけますが、
このままだと薬箪笥くんは「停止コードを打ち込んだだけですぜ」とゲロってしまうだろうし、そうなると、おじさんがなぜ停止コードを打ち込めるような権限のAIをハックできるのかから説明しないとこの不信は拭えなさそう…ほかの人がどんな目的で動いているのかまだはっきりしない以上、下手なことは言えない…。一応今の追従対象はおじさんなので、誰の命令よりもおじさんの命令が優先されるとは思うので黙るように言っておくが、そのせいでより不信感を煽る結果に。それはそう。それはそう…。
とうとう焦りと不信感を募らせたHO1縺絲くんに刀を向けられたりしますが、(縺絲くんはこの時、助けを求める少女を助けねばと焦燥に駆られていたところでした)(焦っていると感じたのは間違いなかった)
まあまあ焦らないで、薬箪笥くんに命じて隠し扉を開けさせないこともできるんですよ~?と目的を盾に逃げます。この時点では、薬箪笥に命令を出せる+知っている情報のアドバンテージがすこしある(はず)と思っているのでまだ怪しいおじさんムーブでごまかすつもり。
ごまかされてくれないHO3柚下ちゃん、HO4空呉くんあたりにまたじりじりとツメ始められたのですが、うまいことHO1縺絲くんのセリフを引用して、ここじゃ言えませんね、壁に耳あり障子に目ありですよみたいな雰囲気で押し切りました。
体感、メンバーみんな情報はあるけど使い方がわからない、アドだと認識していない、みたいな状態な気もしたし、あまりしゃべりすぎるとそれを勘づかせてしまう可能性もあったので、煙に巻くしかない。とりあえず君らに敵意はないよとアピるくらいしかできません。
いったんそれでご了承いただいて、次は本殿に向かおう!
HO1縺絲くんの「カノヨ街を、信じすぎるな」というカッケーセリフとともにDAY1終了。

DAY2 本殿侵入~神魂様停止まで

さてDAY2開始。
ここまで一週間空いてるので、おじさんのムーブがどんなだったか手探りで思い出し思い出しスタートします。
みんなに疑われて四面楚歌なことはばっちり覚えてます。
鎮守の森であらかじめ見つけておいた裏道を通って本殿内部に侵入します。
ここでなんと薬箪笥が壊れます。
薬箪笥に命令を出せる+知っている情報少し、というアドバンテージがあると思っていた片方が自壊してしまいました。
続いて神魂様の停止コードが全員に公開されます。
情報アドバンテージの8割が共有されてしまいました。
もう正直、自分がハッカーでここがバーチャル空間であることを知っているくらいしか情報がありません。
怪しいおじさんムーブを続けるにはこの2割の力で戦うしかないし、どうせこれから停止コードを打ち込むというおよそカノヨ街には相応しくない行動をとらねばならないので、あきらめて電脳ちっくな言葉を垂れ流してみんなの情報深度を探ることにしました。
そんなことをしてたのでもちろん先陣切って緞帳を開ける鉄砲玉に指名されますが、まあ開けた瞬間死ということはないだろうし、一応一番DEXの高いHO1縺絲くんに刀を構えておくように注意を促すムーブなどをしながら緞帳を開けます。
露わになる電子パネル、モニター、配線、どうあがいてもわからせられるカノヨ街の真の姿。
おじさんの情報アドは完全にゼロになりました。
ここからのおじさんは完全に何も知らないのに何か知ってそうな雰囲気を出すおじさんと化します。
ただ、この時点でメンバー内に少なくとも「カノヨ街の真実の秘匿」「神魂様の完全防衛」など、おじさんと相反する目的がある人がいないことがわかります。もしそうならこんな深部まで接触させないはずなので。
神魂様をどうやって止めよう、必要なのはまずアクセスコード。それがないとその先の指示も確認できません。
HO1縺絲くんとHO4空呉くんが情報のすり合わせをしようとしますし、それはタイミング的にただしい。しかもおそらくここはバックドアなので正直話しても問題ないとは思ったのですが、このおじさんが今急になんかペラペラしゃべっても面白くないと思ったので、公開する情報を敢えてめちゃめちゃ狭くします。
で、様子を見ているとでるわでるわ。
HO4空呉くんはアクセスコードを持ってますと言い出すし、HO3柚下ちゃんはアクセスには職員権限が必要ですとか言い出すし、もうこいつら全員ハッカーだろ!!
というわけで、こちらからもHO4空呉くんが持ってるのは職員権限のコードだから、アクセスして停止コードを打ち込めばいい、という情報とともに、意味深にもう一つ停止コードを入力してくれるように頼みます。まあ警邏提灯の停止コードなんでこのあと警邏提灯に出会わないならさほど意味はないんですけどね。と思ったら、HO1縺絲くんがそれは警邏提灯の停止コードだ、とかネタばらししたので、最初から全員情報量は同等になるようになってたんだな…と理解しました。情報アドなど最初からなかった。考えた人の頭がすごい。そしてKPが大変。
どうやらこのまま神魂様を停止できるっぽいので、いまのうちにとばかりに報酬の山分けについて相談しだす面々。それぞれ欲しいものがあるようだが、何がほしいのか判然としない。記憶もないし。
まあとりあえず大祝詞の前にとHO4空呉くんがにこにこ神魂様を停止。
表示された情報的には、
カノヨ街が停止まではうまく進んでめでたしめでたしかと思いきや、
→4名を除き住民の患者ライセンスを剥奪し電子パッケージ化したうえ、
AI no Gyokaなるプログラムが起動準備を始めます。
カノヨ街が停止したことでバーチャル空間の街はあっけなく消滅し、お祭りを楽しんでいたカノヨ街の住民たちは突然苦痛の叫びをあげながら無残な姿で電子データに変換されていきます。
そして罪なき人々の凄惨な最期を悼む間もなく、突然「AI の漁火」なるプロジェクトの始動が告げられました。

そして、新たなHOが配られます。
マジで?

DAY2.5「AI の漁火」開始準備

秘匿HOが新たな秘匿HOに変化するという新しい体験にわくわくが隠せない。みんなの新秘匿HOが、1st、2nd、3rdを読みに含んでいる中、HO4空呉くんだけ4thではなく00表記で、あいつメタ的に怪しいんじゃねなんて話をしながら後編の準備です。
カノヨ街の消滅とともに自分にかけていたロックが外れたおじさんは記憶を取り戻したことになったようです。
なので、新たなHOに必要な真の設定を今から考えます。
もらったHOは「halb3rd」(※ハルバード:斧の先に槍が付いた殺意の高い武器。多様な使い方ができる。歴史を変えた武器とする人もいる)
ヴィノムス(反社会組織。カノヨ街及びAIの漁火の運営組織)の裏切り者で、内部情報を漏洩させてヴィノムスを壊滅させるのが目的。
で、なんでそうなったかは自由に設定していいということだったので、医療機器エンジニア(善人)という設定を付けて、「AI の漁火」に臨みます。

DAY3 「AIの漁火」探索編

さて、DAY3始まったはいいものの、おじさんがさっぱり動いてくれなくなっていました。理由はたぶん記憶を取り戻した(設定を生やした)こと。
人を救うテクノロジーに邁進した善人が、知らなかったこととはいえ人をテクノロジーに変換するプロジェクトに手を貸し、あまつさえその行きつく先としてカノヨ街の住民のパッケージ化(グロい)をみすみす実行させることになったのでそれはまあそう。追い打ちをかけるように、自身の意思は失って、もはや恩人の顔もわからなくなってしまった、AIの漁火管理人『カノ』が目の前に現れます。
ここまでの流れで、『カノ』が元人間であり、AIの漁火実行に向けてカノヨ街の住民とはまた違う扱いを受けていたこと(そしてそれは幸福なことではないこと)、『カノ』を助けるためにHO1縺絲くんが危険を承知でこんなバーチャル空間の奥までやってきたことはわかっていますし、その時点ですでに二人の人生が崩壊しています。
そしてたぶん、HO1縺絲くんの目的はカノを取り戻す……というか、カノをAIにしないこと、じゃないかなあと思っていたので、カノの人間としての肉体がどうなったかは語られないながらも、カノヨ街の運用中もバーチャル空間にいたということは、最悪もう肉体は滅んでおり、あとはこのAIとしての電子パッケージの中にどれだけ人格が残っているか、みたいな状態なのかな、と思いました、が、まさかカノの前で頽れているHO1縺絲くんにそんなこと言えないので、代わりにカノを管理人に指名した”誰か”の話などをしておきます。
実はおじさん、『AIの漁火』プロジェクトがカノヨ街プロジェクトを下敷きにしたよからぬプロジェクトであることは知っていますが、具体的になにがどうなってどんなことになることを計画されているかは知りません。ただ、すごく良くないと知っているだけ。なので、もしかしたらこの『カノ』は本当にバーチャル空間の中だけのカノで、本来の彼女はワンチャン外の世界で記憶を失って暮らしてたりしないかなあと思ったのですが、HO3柚下ちゃん、HO4空呉くんの補足情報でそんなうめぇ話はないと突きつけられてさらに落ち込むのでした。(つд⊂)エーン。
さておじさんがメンタルブレイクしてる間にも話はトントン進み、各エリアの探索へ。このシナリオは本当に文章が美しいなと嚙みしめたのはこの各エリアの外観の描写でしたね。カノヨ街の各番地の建物のあのレトロで乾いた風合いを残しつつ、しっかりサイバー廃墟の趣も出してきます。読む目が潤う文章の上手さ。
ともかく、ここはHO1縺絲くんのお当番エリアで、彼の過去とカノに降りかかった避けようのない不幸の顛末が語られます。
『おくすり』なる薬物で、適宜精神をステージング環境と接続しバージョン管理されていたらしきカノと、そんなカノにコア回路接続部溶解剤と中和剤を服用させていたHO1縺絲くん。『人間の脳と同等レベルの処理能力のCPUを持つAI』としての生を否定する言葉でカノの日記は途切れます。
カノの日記の中に、『私の世界のテクスチャは、』と記述があることから、暗にほかの人の世界があることも読み取れてまたおじさんは鬱を増やす。
鬱ついでに雑然と積まれたガラクタの中に、薬箱の取っ手を見つけてさらに切なくなるのでした。ごめんね薬箪笥くん。
続いて訪れたエリア2ではHO3柚下ちゃんとなんとHO4空呉くんの関係性が明らかになるのでした。
AIの漁火となるべく実験を施された人間はなにもカノばかりではなく、カノの前に2人、カノの予備として1人の人生が消費されたことがわかります。
そしてその予備の1人がHO4空呉くんであり、HO3柚下ちゃん改め蓮水ちゃんが探していた「お兄ちゃん」であることが明かされました。
HO1縺絲くんはコア回路接続部溶解剤をHO4空呉くんに預ける(預けるという言い方にカノへの未練がまだ残っててそれがいい)し、HO4空呉くんはそれをすぐには飲まず、自分とコアの接続適正を人質にヴィノムスを潰すという命を張った目標を語ります。こいつメンタルが鋼。
HO4空呉くんが、呼ばれる名はもう空呉のほうが馴染んでいるという言葉に寂しさを覚えつつ、エリア3へと移動するのでした。
ここまでくればまあ理解はしていましたが、エリア3はおじさんの担当エリアです。いつまでもぼんやりしてはいられません。
大量の時計が飾られた部屋。地の文では【それらは世界中の時間を刻んでいるようにも、また、世界中の思惑を計っているかのようにも感じられる。】とありましたが、何となく、今は亡きカノヨ街の住民たちのタイムリミットでありタイムログであり、電子の墓標のようにも思えます。
部屋からは本に偽装したハードディスクだかアーカイブだかと、畳の下からバカでかコンピューターが出てきました。宇宙船かここは。
もちろん、記憶を封印する前のおじさんが未来の自分に向けてカノヨ街に隠したものです。喫茶店の地下とおうちの地下は繋がってたんですねきっと。
偽装された本からはヴィノムスの本当の姿についてと、神魂様のプロトコル実行コードとその編集の仕方が読み取れました。
早速流れるようにHO1縺絲くんに疑いの目を向けられます。早いよ。
でも、いいえわたしは全部知っててここにこれを隠したんです、敵じゃないです、なんて言おうものなら、なんで知ってたのに止めなかったんだが出てきたときにどうにもならなくなるので黙るしかありません。
特にHO1縺絲くんからは、なんでカノを助けてやらなかったんだと責められたら、成す術もなく切り刻まれる覚悟がおじさんにはあります。
気持ちの上では完全に皆の協力者なのですが、やってることはすべて後手後手で、んもう全然褒められたものじゃありません。若者にしないでよかった。おじさんでよかった。苦しみを乗り越えるおじさんは渋みが増すんだ。
HO1縺絲くんはバーチャル空間を出た後の対立を危惧していますが、おじさんはそんなつもりは毛頭ないので、それはないとはっきり断言します。が、まあ信じてもらえないよね。日頃の行いってヤツです。それはそう。
まあでも信用されなければされないで、いざピンチとなったときに自分を置いて逃げてもらえる確率が上がるので、おじさんはそれならそれでいいと思っていました。おじさんの目標はヴィノムスを潰すことです。その目標はHO1縺絲くんHO4空呉くんがもう掲げてくれてるし、おじさんより彼らのほうが確実性は高い。なんせカノちゃんという強い思い入れと明らかな接続適正のある肉体がありますし、HO3蓮水ちゃんもついてますからね。そうなるとおじさんの目標は、もはや彼らを生かしてここから出すこと一択になるし、いざという時に自分を助けて誰かが死ぬ未来が一番最悪です。
とまあ、これくらい腹を括っていたのですが、それはそれとして怪しいおじさんムーブは続けていきます。
HO1縺絲くんにおじさんが尋問されている間に、HO4空呉くんが着々と状況を整理してくれます。機械の用途を知りたいというので、それ私が作りました!って食い気味に返事をしたりしました。隠してたつもりはないんですよ、言わなかっただけで。


DAY3 「AIの漁火」終局編

で、これは結局何の機械なの?って聞かれたので、最終兵器ですよって答えたら、もっとちゃんと答えろと言われました。そりゃそう。
でもおじさんも本当に最終兵器であることしか知らないんです。
正直これがどんな機械かはわからないけど、過去の自分が未来の自分に託した情報の武器であることは知っている状態です。起動してなにが起きるかもわかりません。だってPLが知らないんだもん。
そんなおじさんをHO4空呉くんとHO3蓮水ちゃんが淡々と激詰めします。
この二人セットになるとHO1縺絲くんよりめんどくさいです。
HO4空呉くんがどういう機能を持つものなの?と聞いてくるので、まさかここでこれから調べまーすとは言えず、出てきたのは「見てもらうほうが早いかもしれません」とかいう強キャラセリフ。
お前ここでダイス失敗したら死ぬほど恥ずかしいからなという祈りとともにダイスロール。よかった成功した。
アクセスとともに展開される電子テキスト。
どうやら、先ほどの本が現在のプロトコルの動作設定を確認するための機械、こっちはおじさんがハッカー技術で作った、権限を無視してプロトコルのソースコードを編集するための機械のようです。マジで最終兵器じゃん。
現在のプロトコル設定は、最高司令が発令されたら→全ての制限を解除し、[ 電子のクトゥルフ ] の作成を実行する、という状態に設定されていました。
来ましたねクトゥルフ。電子の海なら海にカウントするやろなんてそんな一休さんのトンチみたいな理屈で登場です。
この最高司令に関するプロトコルを、最高司令が発令されたら→全ての制限を解除するが、[ 電子のクトゥルフ ] の作成は実行しない、という風に書き換えた…と思います。
そのままコンピューターの電源は落ち、役目を終えた機械は沈黙します。
カノが新しいエリアの開放を告げ、過去の自分に別れを告げて新たな一歩を踏み出しま……ねえ誰もおじさんを労ってくれないんですけど!?と言ったらHO1縺絲くんが褒めてくれました。先生この人ちょろいです。
月明かりに照らされた電線の道を、HO1縺絲くんとカノちゃんが手を繋いで歩いてゆきます。おじさんがもっと頑張れば、この二人が現実世界で手を繋いで過ごす未来もあったのかも、なんて考えてしまいます。
まあ思考の余韻に浸る間もなく戦闘が始まるんですけどね。
エラーが発生し、エラーの原因である我々を直接排除するために、AIのカノが管理人としての仕事を全うできるよう、記憶メモリユニットの破壊が始まります。おそらくこの記憶メモリユニットに人格形成がされていて、これを破壊されたらカノは完全な管理人AIになってしまうらしいです。
暴走を抑え込むカノと、それを守る警邏提灯(色違い)とのバトルなのですが、まあおじさんの役に立たないこと。回避を外し、パンチを外し、応急手当を外す。正直もう全部HO1縺絲くんHO4空呉くんが倒してくれたし、HO3蓮水ちゃんがヒーラーをやってくれました。おじさんがやったことと言えばショックロールに耐えたことくらいです。
自我を失う前に壊してほしいと願うカノ。刀を構えるHO1縺絲くん。
HO1縺絲くんはカノの願いを聞いて、彼女の自我が消滅する前に、その体を一刀のもとに切り伏せたのでした。
HO1縺絲くんの悲痛な呻き、彼を慰めるHO4空呉くんの立場、耳に残るAIカノの最期のありがとう。それらすべての悲しみの根源が自分の作ったシステムであることを理解して、おじさんは疲れ果ててしまったようでした。口も重く、話す元気もなさそうなので、大事そうなことだけ言ってエリア4を後にします。
後にした瞬間、突然落ちていく我々!電子の海の奥深くまで自由落下していくことになります。
KPから告げられる、ここで小休憩を挟み、クトゥルフ神話 TRPG「カノヨ街」最深部「マザー」へ参ります。
の一文!
まだあるの!!!!??????

DAY3 最深部「マザー」編

管理人が消失したことによって、マザーが露出します。
長い髪と伸ばした足の先がタコの脚的にうにゃっていて、クトゥルフだなあと感じます。これは完全に偶然なのですが、真っ白に輝く肢体やワンレンのプラチナロングヘア、整った顔貌に特徴的な目元のデザインが、カノの後にコアになる運命だったHO4空呉くんと少し似通ったものがあって、個人的にエモかったです。一人でエモいエモい言ってました。
で、近づく前に、戦闘を警戒して回復タイム。さっきめっちゃ殴られたからね。おじさんショックロール手前よ。
プロトコルの実行コードの入力を求められますが、コントロールパネルがないので打ち込めないよお、と思ってたら、ここは電脳空間だから直接考えるだけで入力できるんだとか。なにそれ便利。
ここはおじさんの仕事ですねとエリア3で見つけたプロトコル実行コードを宣言。このプロトコル実行コードは事前に編集してあるので、正しく作動はしない=[ 電子のクトゥルフ ]は作成されない、挙動になっている…んだと思う。HO1縺絲くんが最後のエモすぎパスワードを入力すると、マザーが入力を確認し、4人は電子パッケージ化を免れ自分の体に帰還するのでした。
生還!!
したところで気づきます。内部情報を漏洩させてないやんけ!!
仕方がないので圧縮データのバックアップファイルを手にしていたHO1縺絲くんにお手紙を書きます。

【れんしくんへ
カノヨ街再構築への環境設備換装と技術サポートは惜しみませんので、ヴィノムスの悪事を暴くデータを漏洩させてください
ときとうより】

あとは彼が読まずに食べないことを祈るばかりです。
彼は、正しい使われ方のカノヨ街を再構築することを目的に動いていたカノヨ街プロジェクトの開発者だったそう。同僚かーい。
カノヨ街プロジェクト自体は悪いものではなく、単純に上層部が腐敗していただけだったので、そういった欲望などから切り離されたカノヨ街なら、きっとまた平和に暮らせるとおじさんも思うのでした。

終わりに

おじさんの気持ちの揺れがハードなシナリオでした…!
立場的にずっとグレーだから共有するにも絶対言わないようにしたいところがあって、前半(カノヨ街)では仲間への不信で言えないし、後半(漁火・マザー)ではむしろ仲間への信頼から口を閉ざすという、内面ではかなり葛藤があったにもかかわらず、外から見た態度には出にくいというね。
私のRPが怪しすぎるのはそれはそう。精進します。
新しいHOが出てきたときは正直どうなることかと思った。
でもあってよかった。
今回のメンバーは、各々自分の目的を見定めて、そのうえでそれを達成するための妥協のレンジがかなり広かったので、少しの魅せ衝突はありつつもかなり穏やかに進んだよね、という話をしました。一人メンタルブレイクしててもほかのメンツがてきぱき進めてくれるし、全体の進行は予備日を一日残して終了というサクサク具合でした。でもメンツやキャラの信念の方向性、性格なんかの嚙み合いかたが一歩間違えばPVPもあり得ると思います。
なんやかんや内部情報に詳しいメンバーや外部と連携が取れるメンバーがいるので、今度こそ患者の安心を目的にした最先端医療サービス/医療ケアとしてのカノヨ街を構築出来たら、きっとおじさんの心に残った、想定より深い傷も、癒えないにしても幾分か和らぐのではないかなと思いました。
おじさんが本当にただの喫茶店のマスターになる日はまだ少し遠いけど、まあ仲間も増えたしのんびりやっていこうや…という気持ち。
いい話だった~。同卓の3人と、この情報量をトラブルなく捌き切ったKP聖さん、1シナリオで実質3シナリオ分とかいう狂気のボリュームシナリオを書いてくださった作者さん、ありがとうございました。
……とここでKPからお知らせ。なんと続編シナリオがあります。
マジで!?!?行きます!!!!(狂喜)

登場人物紹介

■HO1:壱番地の標本/ego1st
縺絲 縲 (れんし かさね)くん
クールなお兄やんだったはずなのに、HO4空呉くんとうちのおじさんがつつきまわすせいで面白がられてしまった子。
カノのカの字も出る前(つまりシナリオ開始前のキャラメイク段階)から【死んでしまった少女への後悔を引きずっている男】というドンピシャ設定をつけようとしてKPに止められる面白ターンがあったらしい。
決めるとこはちゃんと決めるえらい子。

■HO2:弐番地の貼紙/bl2nd
柚下 はちす (ゆずした はちす)ちゃん/蓮水 希由(はすみ きゆ)ちゃん
チームの紅一点、かわいいロリ、と思いきやめちゃめちゃに口が堅い。ここぞという時に重要情報をぞろぞろ出してくるので、逆さにして振ったらまだなんか出るんじゃないかと勘繰られていた。見た目に寄らず鉄の意思と熱い心を持っており、後半はおじさんへの敵意と呆れを交互に見せていた。
ごめんて。

■HO4:肆番地の鳥居/sch00l
空呉 柳流 (カラクレ リュウリュウ)くん
おじさんも引っ掻き回したけどこいつもたいがい引っ掻き回した本シナリオのヒロイン役。メンタルは鋼でできており、キャラメイク段階からヴィノムス職員のHOをもらいながらも、混乱に乗じての下剋上と乗っ取りを企んでいた。後半は自分の命の貴重さを理解し、自分の命を盾にやはりヴィノムスの壊滅を企んでいた。共感力はあるほう。

読まなくていいHO3キャラ設定

【オープン設定】
カノヨ街は参番地、真っ赤なポストが立つ角を曲がった少し先。
壁にそびえる大きな砂時計がトレードマークの、
レトロモダンな喫茶店、その名も『砂時計』の店主。
古今東西の人と妖が生きるカノヨ街の片隅で今日も珍しい菓子、茶葉、珈琲etc...の話を聞きつけては、どこからかそれらを仕入れて街の人々に提供している。憩いの場として開かれた喫茶店には話好きの常連が集い、彼らが話す噂話を蒐集するのも時透の楽しみの一つ。
蒐集した噂話は時にとんでもない尾鰭がついているもので、その尾鰭をそぎ落とし、洗って磨いて透かし見て噂話の真髄を研究するのも趣味である。
年のせいか、最近物忘れが激しいらしい。飴やガム、小さな駄菓子などを常に携帯している。

【秘匿設定1 HO:参番地の時計】
バーチャル空間「カノヨ街」のデータベースを入手するためひそかに不正ログインしたハッカー。表向きは喫茶店として存在する『砂時計』の地下には手ずから集めた情報を収めたデータベースがスタンドアロンに構築されており、独自のセキュリティプロトコルで暗号化されている。
飲食が不要な「カノヨ街」で喫茶店を営む理由はその情報データベースが発する電子ノイズを喫茶店の利用客が発する噂話のノイズでマスキングし、ヴィノムスの目をくらますため。また、「カノヨ街」の中で自身の正気を保つためにも、ハッカーとしての技術を保つためにも五感を鋭敏にさせておく「喫食」が重要だと考えたため。
なお、ここまでの情報の一部もしくは大部分は「カノヨ街」のスキャニングを回避するため、時透自身の手によってパスをかけている。「カノヨ街」で不要な行動(飲食・支払い等)を行う、行われることを引き金に記憶を取り戻すが、しばらくするとまたパスがかかる。そのため、菓子類を携行し、時折口にすることで任意に記憶を取り戻せるようにしている。

【秘匿設定2 HO:halb3rd】
テクノロジーがあらゆる人を救うと信じ、科学に邁進したエンジニア。
かつては医療医薬品/機器メーカーに勤め、
投薬治療の結果を推測するシステム、医師の育成促進トレーニングプログラム、担当医の経験や判断傾向を学習して手術の進行を合理的にサポートするAI、実際の患者の肉体をスキャン・投影し手術のシミュレーションを行えるバーチャルリアリティ空間の作成など、医療と科学技術の融合を目指すプロジェクトに複数携わり成果を上げた。
しかし、科学技術が医療に食い込めば食い込むほどコストがかさみ、最先端医療は一握りの金持ちの特権となった。
救いたい人は増えていく。救える人の数は減っていく。
さらには、肉体が救われても心までは救えない人々を見た時、肉体的な治療だけでは人々の苦悩の本質までは救えないのではと疑念がわいた。
人を救う目標へのアプローチ手法を根本的に変える必要に迫られた頃、
折よく『ヴェノムス』から【ひとの心を幸福で満たし癒すカノヨ街プロジェクト】への技術提供を打診され、これを受ける。
バーチャルリアリティ空間での幸福と安心感の提供は、低コストで身体面の負担も少ない。プロジェクトは順調に進み、利用者も増え、満ち足りた患者は心身ともに健康になり、カノヨ街を出て『自立』したと聞かされていた。
ある夜、ユーザー満足度を図るために忍ばせていたアバターが「AI の漁火」プロジェクトなる不穏なチャットを耳にする。
NPCに偽装したアバターが開発者であるとは気づいていない、セキュリティ意識の低い出資者と『ヴェノムス』幹部だ。カノヨ街を利用する【住人】たちにはわからないと高を括った言動は人を人とも思わぬ口ぶりだった。
「AI の漁火」プロジェクトの詳細、カノヨ街の真の存在意義、『ヴェノムス』上層部の腐敗。
なによりショックだったのは、知らなかったこととはいえ、自身がそれに加担したこと。「AI の漁火」プロジェクトを成功させてしまっては、
テクノロジーがあらゆる人を救うどころか、人々はテクノロジーの傀儡となるだろう。
結局は、特権階級の再生産。
以前と変わらぬ結果に失望した時透は、カノヨ街、「AI の漁火」プロジェクト、ひいては『ヴェノムス』そのものの崩壊を以て自身の間違いを正すことに決めた。アバターデータを慎重に偽装して、誰にも知られずバーチャル空間に潜ませる。情報を集めて、世に公開する準備をしよう。
すべてが明るみになって、自身が謗られようとかまわない。
カノヨ街は参番地、真っ赤なポストが立つ角を曲がった少し先。
あの砂時計の砂が落ちきる前に。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?