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神戸の動きを記者発表資料から読み取ってみる⑥神戸で行われている水素スマートシティへの挑戦

少し前のnoteでグリーンカーボン、ブルーカーボンについて書きました。
神戸市は脱炭素化に配慮した港湾機能の高度化(ブルーカーボンの取組)と水素エネルギーを活用して神戸港というエリアにおいてカーボンニュートラル、要するに「温室効果ガスの排出を実質ゼロにする」ための検討が始まりました。

2021年1月22日:第1 回神戸港カーボンニュートラルポート( CNP)検討会を開催~神戸港の温室効果ガス排出実質“ゼロ”を目指します~

実質ゼロって何?って感じですが、二酸化炭素の排出を極力抑えたうえで、どうしても排出されてしまう分を植林を代表するグリーンカーボンや、海洋植物を利用して二酸化炭素を吸着するブルーカーボンを活用して、相殺することで、全体としてゼロと計算されるというものです。

私の大好物「水素」

このプレスリリース自体は検討会を始めるというだけの内容ですが、神戸市はそれを打ち出すだけの取り組みを色々進めています。特に僕の大好物である「水素エネルギー」に関しては世界でも最先端の取り組みがなされています。

私が地球環境を人生の軸に据えた話は以前書きました。

中学生の時に一旦は絶望した、地球環境の悪化に一条の光が差したのは、同じ時期に特集されていた「水素を使った循環型社会」の話でした。その時のMewtonには水素インフラが社会に実装されることで、人のあまり住んでいない場所(例えばゴビ砂漠とかパタゴニア)の太陽光や風からエネルギーをまわす社会を描いていた。それを見て、将来は地球環境と水素をやろうと思ってました。

なので(6年くらい前かな)、神戸市が国家プロジェクトとして「水素エネルギーの実証事業」を誘致していく動きをしたときはめちゃ嬉しかったですね。

神戸での水素の取り組み

さて、ではどんな取り組みが神戸で行われているのか。プレスリリースで追いかけてみます。

2017年12月10日:「水素CGS実証プラント完成」記者発表・内覧会の開催 -世界初となる水素発電による市街地への電熱供給実証がスタート-

水素社会の実現のためには、水素の需要が上がらないといけないです。
ってことで大林組と川崎重工業が神戸のポートアイランドで、世界で初めて、市街地で水素による熱と電気を近隣の公共施設に供給するシステムの実証試験を開始するぞ!というプレスでした。

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要するに水素を使って発電して、発生した電気と熱をポートアイランド内にある病院や展示場で使うというものです。ワクワクします。

2018年4月20日:世界初!市街地で水素100%による熱電供給を達成

これは、さっきの2017年12月の続編です。
12月の実証プラント完成以降、水素と天然ガスの混焼および水素専焼による発電の実証などを行ってきましたが、ついに、4月19日と20日に実施した実証試験で、市街地における水素燃料100%のガスタービン発電による電気・熱供給を世界で初めて達成した!というプレスです。世界初が続きまくってますが、どんどん前に進んでいってる感じがして嬉しいです。

2019年9月7日:全国初、WECP(World Energy Cities Partnership)への加盟が決定 -神戸で展開する先駆的なエネルギー施策が世界に認められました-

水素での発電実証事業が進んでいるなか、大きな追い風がきました。
WECPとよばれる世界の自治体のネットワークに加盟することができました。
WECPは『World Energy Cities Partnership』という、エネルギー業界の知識・ノウハウの共有やメンバー都市間のネットワーク形成を目的にしている、世界のエネルギー都市(16か国20都市)の自治体ネットワークです。
神戸での先駆的な取り組みが認められて、日本の自治体では初となる加盟が認められました。

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2020年12月3日:日経新聞「神戸に世界初の液化水素荷役施設 川重が納入」

ちょっと神戸市のプレスで見つけれなかったけど、日経新聞でみつけた。
これは、川崎重工が、世界初の液化水素荷役実証ターミナル(Hy touch 神戸)を納入したという記事です。
このHytouch神戸には、-253℃で液化水素を貯蔵する国内最大のタンクや、液化水素専用船から水素をタンクに送るための陸間移送ローディングアームなどが設置されています。
オーストラリアから日本へ液化水素を輸送する国際水素エネルギーサプライチェーンの実証試験で運用されるというものです。

プロジェクトの全体像

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ん?オーストラリア?って思いましたよね。
そうなんです、このプロジェクトの全体像としては上の画像のようになっていて、簡単に説明すると
①オーストラリアで褐炭を使って発電し、その電気で水を電気分解して水素をつくる。
②その水素を液化して船に積んでオーストラリアから日本(神戸)へ運ぶ
③それを神戸で発電に使う
というプロジェクトです。

このために、③の水素を使って発電できるシステムを作り出し、②の水素を運ぶための水素運搬船の製造と運んできた水素を補完する場をつくるということを神戸でやっているのです。

クリーンな水素へ

さて、ここで環境好きな皆さんからは、「え?褐炭(劣化版石炭)使ってるの?CO2出るやん。クリーンちゃうやん」って思いますよね。図でも発生したCO2はCCSという方法を使って地中深くに埋めて固定化するということになっていますが、これって誤魔化しの脱炭素ですね。

私もそう思います。褐炭を使っている以上、地球にやさしいとは言えないですよね。水素をやるならクリーン水素じゃないと、と思います。
でも、今は、できるだけ安く大量に生産できることと、ちゃんと水素を使いこなすことをやる段階ですね。社会にしっかり実装しながら同時にクリーンを目指していきたい。
すでにほかのプロジェクトで太陽光からクリーン水素を作る動きも出てきています。早く色んな動きが重なって大きなうねりになって、クリーンエネルギーが水素というエネルギー通貨を通して広がればいいと思います。

ちなみにこれ、最近はやりの音声のみのSNSであるClubhouseでサステイナブルを語っているROOMで得た情報でした(笑)

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