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チャリダーアキの自転車世界旅行 オーストラリア一周編(18)


ナラボー4日目


 ナラボー4日目も強風の向かい風。昨日からオーストラリアで1番長い直線(146.6km)を走っているので、ハンドルを切ることが一切ない。暑いのは暑いが我慢できない程の暑さという訳でもない。ハンドルを切ることがなく、当然信号機などあるはずもなくブレーキをかけることも無い、周囲の風景はナラボー特有の強風のため、膝(ひざ)よりも高く伸びる草木が殆ど無い風景。あまりにも暇で眠くなってきてしまったので、途中からカンガルーの死体がいったい何体あるのかを数えてみることにした。自転車のスピードの出ない日には反対車線や路肩のカンガルーの死体がよく見える。
 
 ワラビーは数に入れることにした。ワラビーかも知れないが、ポッサムなのかディンゴなのか区別がつかないほどグチャグチャになっているものは数に入れていない。カンガルーの死体であっても、骨だけが残っているものと皮だけが残っている物は土に近い物と判断させていただいたので数に入っていない。全体の20%くらいは土と判断させていただいた。
 
 結果、途中のロードハウスまでの42kmの間に161体のカンガルーの死体が転がっていた。時折、風が弱まると死体の発する異臭が酷く嗚咽してしまう。
 
42kmで161体……
 
 もの凄い数だ。この146.6kmの直線は、まさにカンガルーの死体の山だった。146.6kmぶりのカーブを曲がった所で数を数えるのは止めることにした。明日からも数えるつもりはない。

 この直線でたまにすれ違う車の多くは、ルーバー(カンガルーバー?)と呼ばれるフロントバーを取り付けており、カンガルーにぶつかっても車が大破しないようになっていた。そういう理由も手伝ってか、信じられないスピードで走っている。カンガルーは避けるものではなく、弾き飛ばすというのがオーストラリアのスタイルと聞いたこともある。そもそも片道1車線のナラボーでカンガルーを避けると路肩の未舗装部分に出てしまい、事故になる可能性が高くなるのだろう。
 
 Cocklebiddy(コックルビディ)のガソリンスタンドの手前3kmで野宿。走行距離は103km。


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