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波 / poetry

七月の日が暮れる
せまい六畳間で手元の灯りもつけず
窓を開けたまま 寝そべって
薄暗くなってゆく曇り空を見上げる
鳴いていたヒグラシの声もやんで
どこからか
野球の中継が
途切れ途切れに耳に入る
私はひとりであろうか
独居ではあるが
ひとりであるだろうか
コップについた雫も乾いて
ひとりのようで
ひとりではない
ひとりではないようで
ひとりである
いつでも
なぞなぞのようだ
でも
それが本当だと感じる
記憶や気持ちには多くのひとが寄り添い
遠ざかり
また寄せる
波のようだ
それはやむことがない
少なくともいまは
やまないのだろうと
思える
私も 私の知るひとにとって
そうだと いい
私があなたの手を思い出しているように
交わした声が
離れてもまた打ち寄せて
その足をなでる波のようであったらいいと


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