軟禁生活55日目(最終日)
2020年5月10日 日曜日 フランス、パリ
朝起きたらダンナが「おめでとうございます!!あと1日です!」となにやらコマーシャル風に言ってきた。でもすぐにしょんぼりしながら「怖いねぇ」。うん。同感。
ボルドーで大雨浸水。2ヶ月分の雨が一気に降った。どこかでは雹。こちらは異様に蒸し暑い。
母の日だし実家に電話入れる。10日ほど連絡しなかったせいでもしかして病気になったんじゃないかとはらはら心配かけたらしい。すみませぬ。ゴールデンウィークに兄が遊びに行きたいというのも拒絶して、両親は家にしっかり籠ってる様子。ただ人付き合いが少なくなったせいで父がぼんやりしてるのが、母には気になるみたい。
生まれて初めて取材に行った世界選の映像を眺める。今こうして見返してみてもランビだけ異次元。
20時の拍手がいつも以上に長い。今日でラストだろうか。
ニュースは公共交通の話題でもちきり。トラムは乗る場所と降りる場所を変えることで、乗降客の混雑を避けたい。RERではアルコールジェル提供係があちこちを練り歩く。スタジアムのビール売り子風。パリのメトロは座席の半分に座らないでシールを貼り、リヨンのメトロは無対策。
零時に外で爆竹の音。やれやれ。外出制限解けた途端にこれだ。
夜中に轟々と風が吹き荒れる。雨戸ががたがたと揺れる。深夜2時まで作業。ベッドに入っても風の音がすごくて寝付けない。
外出せず。
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もしかしたら死ぬのかもしれないと思って日記を書き始めたが、55日たった今でもぴんぴん生きている。しみじみ幸いと思う。
生まれつき三日坊主な人間だから、途中で日記を投げ出さなかったのは人生2度目であった。1度目はいつのことだったやら。すっかり忘れてしまった。ただ1年ほどせっせと綴り続けたことだけを記憶している。
こういう取り散らかった文章もいいものだ。普段はあまり使わない体言止めも多用したし、逆に読点なしでずらずらと長い文章も平気で使った。そもそも本業のほうの自分の文章に少し飽き飽きしていたところだ。実験の場としては最高であった。太宰の葉に感化されたところもあるが、さすがにあんなところまではたどり着けぬ。
おわり。
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