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星月夜

 3、4年ぶりに君から連絡がきた。

    「会わない?」と。

  私は、悩みながら承諾をした
    
もし、また会えたら...
"友達"に戻れるとそう願って。

会って積もりに積もる話をした。
身内に不幸があった
仕事はこんなのしてる
恋人がいる
結婚した

車を移動させながら適当な話をした
田舎道、普段利用してる道とは外れ
右も左もわからない道に来た時

「ここで止まって」

そう言われて止まった所はあたり一面真っ暗
理解できずに車を止めて「?」となっていた時

「外に出ないの?」と言われ

ますます意味がわからずとりあえず車から降りた
私の視界に広がったのは....


美しすぎる夜空だった


一瞬にして笑みが溢れた
セブンで買ったむきりんごを頬ばることも忘れ
ただ、漆黒の中で光輝く美しい星に釘づけだった

私は昔から星が好きだから。
星を見るときだけは生きていてよかったと思える唯一の時間だから


でも、なんだろう、何かが違う
いや、外の空気は言うまでもなく凍るように寒い
毎日のように1人で星空を見上げて
缶コーヒーとタバコでため息を押し込む
1人で見るものとはまた違う何か
そんなとき思った

 私はずっと君に会いたかったんじゃないかって 

....私が星が好きだって知っててここに連れてきたの?
聞きたかった。
でも、怖くて
そう思ってまた言い訳をして言葉を押し込んだ


星を見るのに夢中で途中まで気づかなかった
知らないうちに私の隣に来ていたこと
私の顔を見てから星を見上げたこと。
気づかないふりをした

ごめんね。言葉足らずで
ごめんね。素直になれなくて
でも、怖かった

また、何かを言ったら
また、君に会えなくなる気がしたから

お願い。私の気持ちに気づかないで
私の心の中まで入ってこないで
私に優しい言葉をかけないで

昔、私が君を"好きだった"気持ちが
また今現れて気づいてしまったら
私は全てを捨ててまでも君を探してしまうから

だから....会わないのがきっと私の正解


でも。
もしまた願いが叶うなら....


矛盾な事をいうかもしれないけれど
戸惑うかもしれないけれど

...また君と星をみたい

2人で見た星は、凍りつく寒さも無くなるような
暖かく
優しく

涙が出るような
今まで我慢して固めた心が崩れるような
涙が自然と溢れるほど

1人で見上げるより美しすぎたから

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