ヴィルラフ

彼が首輪をしている理由―ゲーム制作秘話

たまにはキャラクターについて語…らないんですけど。




 ヴィルヘルム・ゴアとは拙作のフリーゲーム、PUBの登場人物であり、パンクスの少年であるが首輪をしている。
 設定としては、『友達の飼い犬が死んだので首輪をもらった』という理由もへったくれもない感じなのだけど、いいですよね。首輪。


 好きなんです。拘束。

 アクションもの洋画を見ていて、主人公が捕らえられての拷問シーンがあればガッツポーズするし、
 なんらかの理由で手錠とか足かせとかしたまま行動せざるおえない感じ、とっても大好き。
 でもね、爆弾首輪とかは風情がない。そんな機械的なもんじゃなくって、もっと情緒を持った拘束を実現してほしい。
 あと、ただ牢屋に閉じ込めるとかも良くない。監禁じゃなくってあくまで拘束が好きなので、ついでに肉体的自由も奪ってほしい。

 でもね、SMは興味ないんです。違うんです、そんなフェティッシュなヤツじゃなくってこうさ……もっと……臭くって、血錆な感じでギリギリで、の匂いがしそうな、戦いの面持ちを感じさせる、生死を賭けたデッドオアアライブな……
 そう、


 パンクなの! パンクなのが良い!




 拘束、というキーワードはパンクにとってとても重要。



 たとえば、シド・ヴィシャスは自らの首元を南京錠で飾っていたし

 (それはやがてシド・チェーンというパンクの典型アクセサリーとなる)



ボンテージパンツはベルトがあしらわれていて、拘束衣で縛られた囚人のよう

 (ボンテージパンツのボンテージは、SMのボンテージから来ている)


その他、安全ピンをピアス代わりにしたり服に穴が開いてたりと、その姿は拷問でも受けたんか!?的な装い。


 しかし、彼らの姿からは、あわれ捕らえられ拷問され拘束された無様なる囚人、という風情は感じない。
 むしろ攻撃的。いますぐ殴りかかってきそう。絶対女王様に蹴りいれるでしょ、こんなの。
 そんな、動きづらそうなズボン履いて、自ら首に首輪やらチェーンをつけてるのに、なんでそんなに強そうに見えるのか?


 それで、わたし。
 気が付いたんですよ。わたし、拘束萌えじゃないんです。
 むしろ、拘束クソ食らえ。レッツ自由。アイキャンフライ。

 わたし、拘束破り萌えなんです!


 それは、例えば『マッドマックス 怒りのデスロード』であわれ輸血袋として捕らえられていたマックスが、猿ぐつわをしたまま自らの両足で歩き出すシーン(片腕にニュークスと車のドアを抱えてるのが最高にクール!)
 『東京喰種』で悲惨なる拷問を受けた後覚醒するカネキ
 『ジョン・ウィック』で捕らえられたジョンの華麗なる反撃
 『池袋ウエストゲートパーク・骨音』で拘束され、右腕を落とされそうになるも仲間の援助で反撃に出るマコト
 ほかにも、ほかにもね……そう、


 パンクなのがいいんだってば!!


 パンクとは、自由のために反撃する囚人たちの姿である。

 1970年代後半になっても残る階級制度、激しい貧困、見えない未来、それらに反撃する姿だ。
 そして、クローゼットの奥に隠された、フェティッシュを暴く行為だ。『寝室から街中へ』それがパンクの女王、ヴィヴィアン・ウェストウッドのスローガンだった。
 寝室のクローゼットの奥に隠され、真夜中裏の顔として行われていたフェティッシュでエロティシズムな行為を、ストリートのファッションとしてなんでもない顔で着飾った。

 それって、なんだか『昼は上品な紳士、夜は可哀想な下男をなぶる驕れし貴族』だとか『あわれな娼婦を買い弄り悦ぶ下品な金持ち』へのさいっっっこうな挑発だって思いませんか?

 俺は、お前が夜悦んで着ている、もしくは着させている服で自由に街中を歩く。
 首輪もしている。チェーンもしている。服は穴だらけ。でも、お前の奴隷じゃない。
 残念だな。お前が夜、興奮している恰好は、俺にとってストリートの恰好。


 そんな声が聞こえてくるようだ。
 だからヴィルも首輪をしている。俺は自由だと言うために、不自由な恰好をしているのだ……

 なんてカッコつけていっても……ようは一言でいえばですね、


萌えるからです。

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