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【第18回日本デュアスロン選手権男子レースレポート】

1stRun-Bike-2ndRunで構成されるデュアスロン
その日本選手権がお台場で開催されました。

2012年から2017年は福島県あづま総合運動公園で開催されていましたが、今年は初となる台場!(2018・2019年は未開催)
トライアスロンの聖地でデュアスリートがどんなレースを魅せるかに注目です!majide

実施距離は毎年変更がある中で、今年は1stRun5km-Bike20km-2ndRun2.5kmという距離で競われます。

スタートリストでは前回王者の安松青葉(アクサスホールディングス)、デュアスロン界を長く牽引し続ける皇帝 深浦祐哉(ゴーアップ・杉沢歯科医院)、そしてトライアスロン界からの刺客 古谷純平(三井住友海上)といったところが優勝候補に挙げられます。

《王者 安松vs皇帝 深浦vs最強の刺客 古谷》
という構図。

◎安松青葉
2017年日本チャンピオン
2017年の日本チャンピオンに輝いた後もさらに成長し、トライアスロンでも海外転戦しながら表彰台も獲得するレベルになって出場!3年越しの2連覇なるか。

◎深浦祐哉
2006年・2015年日本チャンピオン
デュアスロンの国内転戦シリーズ“カーフマン”においては10年連続(2007〜2016年)のシリーズチャンピオンに輝きデュアスロンの時代を創ってきた選手!ベテランの走りに期待。

◎古谷純平
トライアスロンの東京五輪代表のギリギリまで候補に残りながらパンクやコース侵入者と接触により代表を逃す。その後2021トンヨンWTCで8位入賞し、冬場にはラン強化に取り組んでいる中での出場。絶対的なバイク力で単独逃げも考えられる。

◎田中文也
2021世界デュアスロン選手権24位
2017年日本デュアスロン選手権準優勝
3000m8:41という好タイムをマークし世界選手権標準記録を突破、学生時代からデュアスロンに出場し、残すは日本チャンピオンのタイトルのみ。

他にも台風の目な選手として
◎森拳真
トヨタ所属の実業団ランナーで5000m PB14:10という実力者!1stRunから逃げてレース序盤を盛り上げる可能性大、バイクを先頭集団で終えることができれば2ndRunでも面白い展開に。

◎本多晴飛
自転車ロードレースでの活躍から、来年度国内トップチームであるチーム右京に所属。
2021インカレではスイム後1分半の差、9名の先頭集団に対しバイク20kmでほぼ単独(集団牽引)で詰めて先頭集団まで追いつく。ランの遅れを最小限にすればバイクで大暴れする可能性大。

気温6℃、風7mの中、72名がスタートしました。

〜1stRun5km=1.25km×4周〜

ランコースは平坦かつ直線路を4周します。
スタート直後から前に飛び出したのは森。レース前に「1stRun終了時には後続を40秒話したい」と語っていた実業団ランナーがその宣言通り抜け出しを図ります。この動きに高校1年生ながら5000m14分40秒の記録をもつ大島(城西高)がついていきます。森が最初の1kmを2:52で通過し、大島は徐々に後続集団に差を詰められて森の独走状態になります。1周目通過ですでに後続との差は8秒と広がり、2周目の勢いも変わらず後続と18秒差に広がっていきます。ここまではレースまでの森の宣言と同じペースで差が広がっていきますが、ここからなかなか差が広がらずに最終的に14秒差でバイクへ移ります。有力選手の揃った後続集団の先頭を海津(日本大)が走っていきます。

〜Bike20km=5km×4周〜

バイクコースは平坦で難しいコーナーのないコースを4周します。
第4の種目と称されるトランジッション、先頭の森はまだまだ不慣れな様子でこの種目転換だけで後続と6秒差となりバイク乗車となりました。バイク集団形成を左右するバイク乗り出しの局面ではどの選手もペースを上げていき16名の大きな集団となります。大集団でのレース展開と思いきや4km地点で古谷の次の番となった大石(中部大学・チームゴーヤー名古屋)がローテーションを回せず番手の譲り合いとなりペースダウン。この状況に古谷も振り向いて後続選手を鼓舞しますが、なかなか追いつけない状況で1周目を終えます。

Lap1
先頭 古谷
+10s 15名(安松・田中・森・徳山など)
+30s 13名
+53s 3名(本多など)
10秒差で図らずとも古谷の1人逃げとなりました。バイクの注目選手である本多は53秒差の3名集団で前を追いかけていきます。

Lap2(6:47,Av.44.2km/h)
先頭 古谷
+21s 15名(安松・田中・森・徳山など)
+60s 16名(本多など)
+1:36 9名(森田・山下など)
70%強度で漕ぎ進める(本人談)古谷に対して15名の集団が差をつけらる状況。本多を含む集団は先頭との差は開きますが、一つ前の13名集団との差を着実に縮めて吸収し16名の集団となります。

Lap3(6:46,Av.44.2km/h)
先頭 古谷
+39s 15名(安松・田中・森・徳山など)
+1:15 5名 (本多など)
+1:35 11名(米谷・大室など)
+2:05 9名(森田・山下など)
先頭と後続集団との差が確実に開き、1人逃げを完結させる可能性が高まってきます。この集団の後ろからは本多が追いついた16名のうち5名を引き連れてさらにひとつ前の集団を狙って、集団差は39秒から26秒に縮まります。

Lap4(6:54,Av.43.5km/h)
先頭 古谷
+50s 12名(安松・森・徳山など)
+1:40 5名 (本多など)
周回を重ねる毎に着実に差を広げてバイク終了時には50秒の差となり、古谷が先頭で2ndRunへ移ります。後続集団では小原が先頭、次に堀田・安松・阿部といった選手が集団前方でバイクを終えます。また最終コーナーで田中と坂野が落車し、田中はそのままDNF、坂野はなんとか立ち上がりレースを続けます。本多の集団は他の選手との実力差から足並みが揃わないため2ndRunに備えてペースダウンします。

〜2ndRun2.5km=1.25km×2周〜

古谷がバイクを単独で走ったとは思えない足取りで走り進め、50秒差の後続の走り出しでは安松・堀田・小原、そこから10秒差で森・山岸と続いていきます。低温かつ激しいレース展開にふくらはぎの痙攣に襲われる選手も見受けられます。

1周目を終えた段階で古谷が先頭、後続との差はほとんど変わらず逃げ切り優勝が濃厚になります。安松・堀田、その3秒後ろに小原・岩本という順で通過し表彰台争いというのも楽しみになってきました。2周目のペースもしっかりと走り進めた古谷が完璧といえる逃げ切り優勝を決めました。2位で入ったのはデュアスロン王者 安松、表彰台争いの3位は小原が獲得しました。

〜総合成績〜

優勝 古谷純平
2位 安松青葉 +38s
3位 小原北斗 +42s 
4位 岩本敏  +45s
5位 堀田光輝 +52s
6位 山岸穂高 +55s
バイクでの展開を楽しみにしていましたが、1周目のローテーションがままならない状態の頃から不意に抜け出したタイミングを逃さずに逃げを完結させ、まさしく古谷の圧巻のバイク力が決まったレースでした。セカンドランのトップタイムを出した安松、それに次ぐタイムの小原とトライアスロンの重要種目ランの実力がどの選手も向上しているレースでした。
来シーズンの活躍に期待です。

ちなみに日本選手権の賞金・強化費については大会開催後も公式大会HP では《調整中》の表記でしたが、JTUのHPでは追記のニュースが1月7日に発表されました。
優勝75,000円
2位 62,500円
3位 50,000円
4位 37,500円
5位 25,000円
(上記から源泉税10.21%を差し引きして支給)

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