大叔父の生い立ち

大家族のなかに

ヒラエルキーがあり

その最下層に“大叔父”がいた

私にはそれが理解できなかった

“人”は “平等”だと信じているからである

祖母の弟であり

戦争経験者であり

戦地に行き 無事に帰ってきたのだから

なおさら敬われる存在だと

そう考えていた

しかし そうじゃない多くの考えに

大家族は支配されていた

“大叔父”は

戦争の後遺症から

言葉を失い コミュニケーション力も奪われ

風呂にも入らず そのため

祖父に叱られ

私の兄妹弟からは蔑まれ

ほぼ隔離生活であった


祖母以外は

誰も部屋へ近づかなかったが

私はそっと忍びこみ

話しかけた

大叔父の記憶には残っているかは

定かではないが 戦争の事や

昔の話を聞いてみたりした

まともに返事が返ってきたことはないが

なぜか 気持ちが通じている気になっていた

ただの自己満足である

それでも 

祖母以外に味方がいない

大叔父の味方になりたいと思っていた


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