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なぜ夫は娘の要求に全力で応えるのか

娘が12歳になった。

わたしが娘のことを話題にするのは、この子との関係性が非常に難しいと感じているからだ。最近仲がいいかもと思ってもすぐに険悪になるし、最悪だと思っても関係がスッと改善する。一息つく暇なく忙しい。行ったり来たりのシーソーゲームのように、娘と私は安定的な関係性というものを創るのがとても難しいようなのだ。

さて、わたしが解せないのが、夫(←娘のパパね)が、とにかく娘の要求を全力で叶えることだ。

娘が、見るからに大変健康に悪そうな、原材料名表示欄にカタカナがたくさん書いてあるおやつが食べたいと言えば、夫はサクッと買ってくる。「食べたいものを食べるのが幸せじゃん。」という理由らしい。そんな夫は、自分が口にするものは原材料をくまなく見て、変なものは食べないし買ってこない。

娘が、少し昔のデザインの、HIPHOPダンサーがはいていそうなダボダボのTシャツがほしいと言えば、中古店を一緒に回って、好みのものを見つけてやる。

娘は男の子っぽい格好に憧れていて、先日は「男の子みたいな髪型がいい。髪を切りたい。」と言い出した。夫は「いいね~」と言って娘を促してイメージに合う画像を探し、美容室へ連れていき、細かく打ち合わせしながらヘアカットをさせた。ちなみに、余談であるが、娘のヘアカット中、夫は待合室にいたようだが、美容師さんは娘にこう言ったらしい。「パパ、君のことがめっちゃ好きなんだね。」と。ベリーショートにした娘、けっこう似合っている。

そして娘は誕生日の少し前から「キーボードがほしい」と言い始めた。どうせまたすぐに飽きるだろうし、置き場所だってないと、最初から取り合う気がなかった私に対して、夫はあれこれ手を尽くしてキーボード以上の、「クラビノーバ」なるものを用意してきた。(どうも夫の交友関係から譲ってもらったらしい。なんという交流範囲。)

なぜだ。なぜ、娘の要求には全力で答えて、わたしや息子のことは、話さえ聞いていないのだ。(ちなみに、娘は7月22日に夏休みに突入している。高校生の息子は終業式が23日なので、夏休みがずれるのだが、その話を食事の時にしていたのに、娘の夏休み初日に制服姿の息子に向かって「あれ、お前今日学校なの?」と、とぼけたことを言っていた。)

最近、そんな夫に怒りさえ感じ始めた。
夫たるもの、妻ファーストじゃないのか?
あるいは、わたしはあるまじきことか、娘に嫉妬しているのか?

ということで、冷静に状況を観察しながら、気づいたことがある。

娘は、とにかく要求がストレートなのだ。わかりやすい。要求と違うものを差し出すと、とたんに不機嫌になり、「それじゃない」と、プイとそっぽを向く。せっかく用意してくれた相手の気持ちを思い図ることはなく、「それは違う」と言う。逆に、要求にピッタリのものが差し出されたなら、120点のスマイルでジャンプしながらぎゅ~っとハグしてくる。とってもご機嫌になるのである。

このわかりやすい要求の出し方と、受け取る時のストレートなリアクションが、男の狩猟本能をくすぐるのだろうか。

思い返せば、わたしはと言えば、何がほしいの?と聞かれても、相手のお財布事情とか、仕事で忙しいんじゃないのかなとか、余計なことを先回りして考えてしまい(←これは単なる一方的な妄想でしかないのに)、本当に欲しいものの2番手、3番手を要求してしまうことが多い。なので、それを与えられても、自分の一番欲しかったものではないので、そこまで喜んだりもしないのだ。

うわ、気持ち悪い。

そんなことを繰り返してきたものだから、一番に何がほしいのかも、今となってはすぐに出てこない。なんということだ。

そういえば先日、夫が「あっこちゃんは海外だとどこに行きたい?」とたずねてきた。わたしは即答できなかった。「うーん、日本の中でもまだ行ったことないとこいっぱいあるし、、、ごにょごにょごにょ。」と、的外れな受け答えをしてしまい、夫は一気にやる気を失っていた。

「えー、イタリアで美味しいピザたべた~~い!」とか、「シアトルの友達に会いにいきたーい!」とか、後で考えたらぽろぽろ出てきたのだけれど。どうも反射的に「遠慮」してしまうんだなという、自分のクセを見つけたところだ。

それもこれも、夫を手ごまのように扱う娘に教えてもらった。

もっと素直になろう。まずは自分に。そして夫に。

あぁ、娘よ。ほんとにイラっとするけど、ありがとう。


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