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文学フリマ香川1に出ました

たいへん遅ればせながら…
無事に出店できました!たのしかったー!
四国で初の開催。私も初めての出店。
なにもかも未知数。胸躍りました。
当日の景色や気持ちや
参加するまでの日々などなど
さまざまに思い出しながら
私なりに記録を書き残します。
(以下、本文4500字)




当日の朝8時半。
設営ボランティア向けに案内されていた時間に合わせて、始発列車で会場へ赴きました。
せっかくだから会場全体の設営からお手伝いしてみたいなと思ったのです。
しかし香川運営の皆さんのやる気と段取りがとても素晴らしくて、主要な準備は前日のうちにほぼほぼ完了していました。
お手伝いしたのは見本誌コーナーの設営。
集まった出店者兼ボランティアの方々と協力して、万事テキパキと進んであっというまに設営完了!
それを見た運営スタッフの方々が当初の予定を繰り上げてくださり、会場2時間前から個人ブースの設営に取り掛かることができました。感謝!




「すでに120人が会場前に並んでいます!」

設営中に聞こえてきたアナウンス。
文字どおり、目を丸くしました。
そして11:00、開場。
あっというまに目の前の通路が人で一杯に。
四国開催がここまで熱く求められていたとは…
緊張・高揚・驚嘆。
押し寄せてくる感情の高波たち。

自分のブースで足を止めるひとはいるだろうか
見本を読んでくれる人はいるんだろうか
だれかに届くものを作れたんだろうか

天井まで充満する熱気に呑まれてしまわないよう、緊張で乾く喉に水を流し、お隣のブースの方と談笑しながら、心を必死に落ち着かせていたときでした。

「あの、これください」

目の前にお財布を握りしめた方が現れました。
見本を読む間もなく、作品を指差しています。
「へっ!?あっ、はがき1枚ずつですね」
まるで状況が飲み込めないまま
あわてふためきながらそう返すと
「あっ、原稿も。3つとも、です」
その人ははにかみながらそう答えるのです。

「あ!え!こちらも!!」
「あっ、全部!そういうことですね!」
「失礼致しましたありがとうございます!」
素の自分と仕事(接客)モードの自分が交互に顔を出して、どうしようもなく挙動不審に。
震える手で作品を封筒に入れ、シールを貼って。
「全部で250円です」
ちょうどのお金を受け取りました。
あぁ。これは。
うちをお目当てにして来てくれたに違いない。
「ありがとうございます!!」
驚きと嬉しさが溢れて、作品をお渡ししながら深く頭を下げて、心底からお礼を言うので精一杯。
目や顔を見る余裕がまるでなかった。
初出店で、実績も何もない自分にこんなことが起こるなんて。

あの迷いのなさはきっと、事前にハッシュタグから私の投稿を見つけて、買おうと決めていたのだと思います。
友人知人ならいざ知らず、私のことを知らない方が、私の作ったものを求めていち早く買いに来られた、あの瞬間。
ほんとうにうれしかった。
今思い出してもドキドキする。
柑子堂来店第一号のあなたへ。
稀有な体験を与えて頂き、本当にありがとうございました。
買ってくださった作品のどれかひとつでも、琴線に触れていたら嬉しいです。




この日は著名な作家の方も委託出店していて、会場の一部では長い列が伸びていました。
そんな怒涛の午前を終えて昼を過ぎ。
混雑もずいぶん落ち着いた頃。
いつのまにか作家さんご本人が来場して、自ら本を売り、ファンの方と交流している。
はるばる香川まで来てくれた友人からその状況を知らされた時は、大層驚きました。
東京会場だったらパニックが起きていそうな状況ですが、地方ゆえに彼等の顔を知らない人が多かったのかもしれません。
ブース周辺は、ゆったりのんびり和気あいあい、といったのどかさでした。
私も自分のブースを一時留守にして、本を買いに行きました。
記念撮影をお願いすると気さくに了承くださって、ゆかいな1枚を撮ることができました。
4名とも仲良しでノリがよく、楽しい方々で
「後光が差してる風の構図にしましょう」
と言って、一発でポーズを決めるのです。
プロの小説家の後光を背負うという、これまた稀有な体験をしました。


お隣のブースの方々ともたくさんお話ができて、とても楽しかったです。
最初に会った時から明るく声をかけてくださったおかげで、1人で出店しているのも忘れるくらい、安心して過ごせました。
それぞれのブースから本が売れるたび、一緒に「ありがとうございます!」と言い、お互いに拍手を送り合い。
合同ブースってきっとこういう感じなんだな〜とあたたかな気持ちで浮き足立っていました。
最後に本を購入し合えたのも嬉しかったです。
「皿鉢文学(ぷち)@高知」のお二方へ。
本当にありがとうございました!
初出店で隣り合ったのがお二人だったことは、私にとって幸運そのものでした。
また文学フリマで、お会いできますように。



11時から開場し、撤収した14時までの間。
想定よりも多くの方が私のブースで足を止め、作品を購入されていきました。
場所が良かったのと看板役にと連れて行ったカラスの「からす」氏が大活躍してくれたおかげです。
終わってみれば、ミニ原稿(5枚)は完売。
はがき小説(20枚)は半分も売れていました。
人数にすると、おそらく10名前後の方が買ってくださったのではないでしょうか。
立ち止まって見本を読んでくださった方は、もっといたように思います。
誰かが立ち止まるたび、売れるたびに興奮していたので、記憶が曖昧で申し訳ないです。
どうなるか全く見通しが立っていない中、たくさんの方が見本を読んでくれたこと。
持っていった数の半分以上が売れたこと。
あの日の嬉しさは未だにふわふわとしていて、実態を得られていません。
ぽかぽかしたものが頭のちょっと上らへんで、ずっと浮かんでいる感じ。


撤収後に、来場者側として会場を一周したのですが、無事に出店を終えた安堵と高揚感で、じっくり眺める余裕はありませんでした。
あらかじめチェックしていたブースに足を運んで、お目当ての本を購入するので精一杯。
売るのも買うのも両方満足にできるようになるには、まだまだ経験と体力を鍛えなくては。
まだ、もっと文フリを楽しみたい!
そう思いました。


文学フリマの経験は今回が2度目でした。
1度目は去年の大阪。
友人の作品を求め、買う側で参加しました。
文学フリマ香川の開催決定は、このときの大阪会場で告知されました。
買い物中におとずれた運営からのサプライズにとても驚き、その場で盛大に拍手をしたのを覚えています。

・地元四国での開催が嬉しい
・“初開催”に参加する貴重な経験をしたい
・電車一本で行ける好アクセス

瞬間でこれらの要素が浮かび、さらに友人にも背中を押され、高揚感に任せて「売る側」として参加することに決めました。
これがおよそ1年前の事。
とりあえず「短編を書いたハガキ」を作ることだけ決めて、内容はおいおい考えよう。
まだ1年もあるし!どうにでもなるね。
なんて、のんきに構えていたら
あっという間に1ヶ月前になっていました。

7月に入ってから、短編を書く練習を開始。
仕事の帰り道に見た景色
かつて撮ったどこかの写真
旅行の思い出
それらに着想を得て思いついた物語を、毎日即興で書いていく。
最初の1週間はそれを続け、何本か作品をストック。
次の1週間でストックの中からはがきに書く短編を3編選び、短くまとまるように再編しました。
そして最後の1週間で、やっと制作開始。
はがきに短編を書き込んだり、お渡し用の封筒などを全て手書きで作っていきました。
合間に展示の準備も進めたりと、怒涛の七日間。
ほんとうによく間に合ったものだと、自分でもすごいと思うし、呆れます。
同じ轍を踏まないようにしたいですが、こういう成功体験って癖になるから、おそろしい。


小説を書くのは、今回で3度目でした。
1度目はとあるアンソロジーに誘われての寄稿。
2度目はライブのレポートをアレンジしたもの。
どちらにも、基となる物語がありました。
全くゼロから書いたのは、今回が初めての挑戦。
自分の作っているものが小説になっているのか
物語として捉えられるものになっているのか
1人で向き合っているとわからなくなって
これでいいのか 合ってるのか
右往左往と怯えながら作りました。
今回、みなさまにお届けした三編。
「雷門」はビジュアルに惹かれた方が買い
「海の月」を買うのは女性が多かったり
「カラスとアンテナ」は男性に人気があったり
書いた本人が意図していない「ターゲット層」が生まれていくのを目の前で見ました。

作品は作者の手を離れてから始まる
と言う これに似た言葉が確かあって、
命が吹き込まれる とまでいうと大仰ですが
作品を広く外に向けて発表することの意味。
そういうものを理屈を超え体感できたのは、文学フリマに出たおかげだなと思っています。
今まで受け取るばかりでそこに気づかなかった。
知っていたけど、わかってなかった。

これまでは、送る相手が決まっていたから。


私は小説を書く以外にも
日記を書いたり
絵を描いたり
裁縫をしたり
粘土細工を作ったり
色んなモノづくりをします。

こうなったきっかけは、ある1人の女の子の存在でした。
私のものづくりは、彼女に向けた感謝や尊敬など多様な感情を伝えるために始まったのです。
発想力豊かな彼女のアイデアに力を借りたり、かけてくれる言葉に背中を押されて、色んなものを作るようになりました。
想像だけして心の中で終わっていたものを、形にして、届ける。
ものづくりに関する知識を蓄えるばかりで、ひたすらに受け身でいた私を、すっかり変えてくれました。
自分のためには何も生み出せなかったけど、気持ちを伝えたい誰かのためになら、初めてのことにだって挑戦できる。
小説もそうですし、ぬいぐるみやイラスト。
自分にこんなものが作れたなんて!
新しく何か作るたびに、驚いています。
そこから生まれた出会いもあったりと、ものづくりから得るものは私の感情をより豊かにしてくれています。

そういった日々を積み重ねたおかげで、このたびの初出店に至れたのだと思っています。
あの出会いがなければ「小説を書いて売る」なんて、こんな面白い世界には飛び込めなかった。
いつも私の視野を拓いてくれて、ありがとう。



どこかにいる、自分と同じ感性の人に出会う。
そんな特別な機会のひとつ。
それが文学フリマだと思います。
また来年も香川で開催されるとのこと。
ぜひまた出店したいです。
文学フリマの本拠地である東京でも、いつか。
ひとまず今はBOOTHに向けて動いています。
今月中にお知らせできるよう、がんばります…!


さてはて。文フリ香川の後日談。
達成感で肩の力を抜いた隙を狙われてしまい🦠
文フリの翌日から1週間ほど伏せっていました。
食事するだけで疲れてしまう状態。
ほとんど横たわったまま過ごしました。
気づいたら8月だった…
3時間超のゲーム実況動画を何本も観たり
図書館で借りていた本をまとめて読んだり
ひきこもりの夏休みもいいものでした。
でも咳やら発熱はもう当分いいや…
ゆるやかに休んで回復し社会復帰。
せっせと働いていたら、8月も既に中旬。
夏は時空が歪みやすいのでおそろしい。


しかし
私たちにエンドレスエイトは訪れない


それでは!
長々と(本当に長々と)お付き合いくださり、ありがとうございました!!

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