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自分探しの旅 (1)運命の出会い

季節で言えば晩秋だろうか。人生の晩秋とは、その仕上げを考える時期だ。私は、どこから来てどこへ行くのか。過去を丁寧に振り返ることによって、見えてくる未来がある。

私は、運命的な出来事をいくつがあげられるが、最初は中学時代だった。 新しい学校、新しいクラスメート、そこで私の前の席に座っていたのは、 中1なのに身長170㎝超、派手なパフォーマンス、存在感の塊のような男、健(たけし)。彼との出会いだった。

不良学生にはにらみを利かせながら、何故か正義感が強く、弱いものいじめを許さない。いつも楽しいことを追いかけ、恋愛は真剣そのもの。勉強も 一応熱心、おせっかい焼き等々、あげればキリがないほどの強烈キャラで、ケタ外れのエネルギーの持ち主だった。そんな健と私は、席が前後という こともあり、何かにつけて行動を共にしていた。

健の行動は、まるでナイフの上を歩くようだった。彼の存在は近隣の中学校でも知られており、健と共にいる時に他校のワル学生と遭遇すると、いつも緊張感が走った。ある日、健はボコボコに殴られた顔で登校した。   「ああ、ついにやられたか」と思ったが、彼はそのことには一切触れようとせず、いつも通りの元気さを飛ばしていた。またある日、健が言った。「俺、生徒会長やってみたいんだ。だから、お前は副会長をやってくれ」。

こんな調子で、健の自由奔放な人生につき合わされ、やることが増え、私も変わっていった。それまで現状を受け入れるだけの少年は、いつのまにか、健のように、自分で何かを求め、主体的に動くようになっていった。   今日の冒険好きの私を形づくる土台は、間違いなくこの時にできたものだ。彼との出会いがなければ、私の人生は退屈なものになっていたに違いない。だが、健はその後・・。

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