漠然と考えていた「NPO/NGOで働く」という道。アクセプトでの実務経験を通して、より現実的な選択肢として考えられるようになりました。【アクセプト・メンバーの声:松下 真菜(まつした まな)】
私たちアクセプト・インターナショナル(以下、アクセプト)の一員として活動するメンバーの声を届ける本コーナー。第4回目となる今回は、事務・広報局の管理部と海外総務を兼務する松下 真菜(まつした まな)さんにお話を伺いました。
松下さん|プロフィール
アクセプトでの業務について
ーアクセプトでの活動内容を教えていただけますか?
管理部の支援者コミュニケーションという部署でリーダーを担っています。具体的な業務内容としては、メールでの問い合わせ対応、支援者向けのイベントの企画・運営、支援者の方々の満足度向上施策の企画・実施があります。(例:限定Facebookグループの運営、ステップメールの考案、活動診断チャートの作成など)
海外総務に関しては、アクセプトが2021年9月に発表した「テロや武力紛争に関わる若者の権利宣言」の国際条約化(参考サイト:https://accept-int.org/10th/#toward2031)に関連するリサーチや海外事業に関わる業務の補佐を行っています。
ー学業との両立はどのようにされていますか?
管理部の業務に関してはリモートワークもできますし、週に何時間という目安はあるものの、働くタイミングを自身で調節できます。また、学生インターンと社会人プロボノが垣根を超えて協力し合う体制ができているので、忙しい時は他のメンバーに助けを借りながら活動することができています。
海外総務に関しては、職員の方との連携がより必要になります。そのため基本的に週2日は事務所に出勤し、頻繁に代表理事・永井と打ち合わせをするなど、正直かなりのコミットメントが求められます。ただ、管理部と同じように勤務日・時間は柔軟に決定することができるので、学業との両立もしやすいです。
大学で学んでいる分野の限界を感じたことが参画のきっかけ
アクセプトに参画することになったきっかけは、大きく2つあります。
1つ目は、アクセプトのテロ・紛争解決のアプローチに衝撃を受けたためです。祖父母が戦争経験者で、幼少期から戦争と平和、人権といったトピックにはとても敏感でした。大学2年生で国際法のゼミに入ったことで、国際機構の機能や司法という観点から上記のトピックを専門的に勉強するようになりました。紛争解決・平和構築には、いわゆる “justice(正義)” を実現するための刑事訴追といった司法的アプローチが有効だと信じ、国際刑事法を中心に研究を進めていました。
しかし、平和構築のための法的枠組みや国際犯罪に責任のある犯罪者を裁くという仕組み自体は存在するものの、実際は機能不全となっている現実や、そもそも国際法に違反した個人のみへの刑事訴追が、どれほど平和構築や地域コミュニティ間の和解に資するのかは不明だといった問題に直面し、自身の学んでいる分野にある意味で限界を感じていました。
そのようにもやもやしている中、インターネットでNPOのインターンを探していたところ、アクセプトに出会いました。「誰一人取り残さない、たとえ加害者とされる人であっても」というフレーズ、そして加害者とされる人々に対する、司法とは全く別のアプローチに衝撃を受けました。この団体は、「平和の実現」などと夢語りをして生ぬるく活動しているのではなく、本気でテロと紛争のない世界を目指しているんだと。
もちろん一人一人への対話からテロ・紛争解決を目指すのはものすごく地道な活動かもしれませんが、実効力に欠ける司法の枠組みと比べれば、断然根本的な解決に繋がると思いました。
2つ目は 、NPO/NGOでの働き方を内部から学びたかったためです。テロ・紛争解決といった分野に携わりたいと思った時、選択肢の一つにNPO/NGOが思い浮かびました。NPO/NGOでの働き方を知りたくて、アクセプトの活動を根幹から支える管理部にインターンとして参画しました。
若い人や学生の力を大切にするアクセプトの雰囲気
ー実際に内部で活動してみて、どんな気づきがあったでしょうか?
「若い人や学生の力を大事にしたい」という雰囲気を感じます。代表理事・永井が学生時代、周囲の大人からかけられた「経験を積んでからにしなさい」という言葉にあらがってきた経験があるからこそなのかもしれません。
学生にも裁量権を大きく持たせていただけるので、自分が組織の成長に貢献できていると実感する場面が多く、常にやりがいを感じています。
また、専門的なスキルの有無よりも、真摯に取り組む姿勢や熱意といったものの方が強く求められているなと日々実感しています。私自身、参画した当初は熱意だけを持つ学生で、特に専門的な知識やスキルを持っていませんでした。それらは業務をこなしていく中で経験として段々と積み上がっていくものだと思います。それよりも、物事に対して真っすぐに向かう姿勢、素直さ、正直さといったものがまず何よりも重要だと考えるようになりました。
業務を通じて培われた真摯な姿勢
ー確かに。そのようなメンバーの姿勢に感銘を受けて参加する人は多くいますよね。アクセプトの活動でのやりがいはありますか?
管理部の業務に関しては、支援者の方と直接関わるため、温かい言葉をかけていただけることがやりがいです。プロジェクトリーダーとして担当していた企画を運用していた際、アンケートにて「アクセプトへの理解がより深まった」「寄付するだけで終わってしまいそうな気持ちを引き寄せてくれる」といった声をいただきました。
自分の担当した業務が直接の寄付のモチベーション向上に繋がっていることを実感でき、頑張ってよかったと心の底から思いました。「業務の結果が見える」というのは、支援者に一番近い部署である管理部だからこそ感じることのできるやりがいの一つだと思います。
ーでは逆に、苦労していることはありますか?
個人プレーでは成り立たない業務が多いことです。管理部の場合はチームで活動するため、周囲を気にかけながら業務を進めていく必要があります。認識のずれがあったり、タスク終了期日に遅れなどが発生すると、他メンバーに迷惑をかけてしまうため、部署内でのコミュニケーションを緻密に取るよう心掛けています。
また、特に統括的な立場の私は、メンバーに仕事を上手く割り振らなければならないのですが、人に頼るのが少々苦手なのと、自分でやった方が早いとつい考えてしまいます。マネジメント力は絶賛改善している最中です(笑)
海外総務の業務でも、代表理事・永井や職員の方々を少しでも支えられるよう、管理部内と同様に逐一コミュニケーションを取りながら、スピード感を持って業務をこなせるよう意識しています。もちろん卒論で忙しい時などは事前に伝えた上で休みをいただいたりもしていますが…。
ーアクセプトの業務を通じて、得られたものはありますか?
得られたものを挙げだしたらキリがありませんが、管理部での業務に関しては、情報一つ一つを丁寧に扱う姿勢ですね。支援者の方々からのメール対応なども行いますが、私たちの対応一つ一つがアクセプトへの信頼度に直結すると思っています。何か不誠実な対応を取れば、アクセプトへのイメージや信頼度が下がってしまいます。真摯な姿勢は常に大事にしていますし、業務を通じて培われました。
また、実際にNPOの内部に入り、職員の方々と共に仕事をする中で、行政や国連機関と比較したNPOの役割・仕事内容、活動を続ける上での課題に加え、NPOでの働き方や新卒で就職する難しさなども知ることができました。「将来NPOで働くことも選択肢の一つ」とざっくりと考えていたことが、より現実的に考えられるようになった気がします。
今後もアクセプトに関わり続けたい
ー今後の目標や展望をお聞かせください。
今、ちょうど悩んでいる部分ですね。卒業後は民間企業に就職しますが、国際刑事法・人権法など学部で学んできたことを深めるために、何年かしたら海外大学/大学院に進学することを考えています。大学院卒業後は、そこで学んだ事がダイレクトに生かせるような国際的な学術・研究機関か国際NGOに勤めたいとざっくり考えています。今は卒論執筆・研究が楽しいので前者も魅力的に感じていますが、アクセプトを見ると実務分野にもやはり惹かれます。
民間企業に勤務する間は両立可能であれば、社会人プロボノ(そして毎月の寄付者であるアクセプト・アンバサダー)としてアクセプトに関わり続けたいと考えています。
ー最後に、アクセプトの活動に関心のある方へ、一言お願いします!
「学生時代は時間がある」と思って受動的に過ごしてばかりだと、チャンスを逃してしまうこともあるかもしれません。私は思い立ったらすぐ行動派なのですが、アクセプトの活動に対して何か感じるものがあるのなら、すぐに飛び込む事をおすすめします。熱意に満ち溢れたメンバーばかりなので、きっといい経験になるはずです!
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