第六話~事例から法則を見つける~

科学者の卵

 はるかは、森の中の出来事を思い出していた。木の直径を知るために、木の周りに長さを測ったこと。そして、いろんな木について直径と木の周りの長さを測ることで、木の直径と木の周りの長さに関係があることがわかったり、その関係を使えば、木の周りの長さから木の直径について推測できたりすること。そして、はるかは森の中の出来事をさとしに話した。
 
はるか:パパ、こんな夢を見たみたいなの。なんだか、不思議な気分なの。
さとし:それはすごい夢をみたね。はるかは科学者の卵かもしれないよ。
はるき:何がすごいの?
さとし:はるかは、木の周りの長さから直径が調べられるかもしれないということ気が付いたんだ。そして、いろんな木を調べることで木の直径と木の周りの関係を調べたんだ。たくさんの事例から、法則めいたものをみつけることは、「帰納」という。最後に、発見した法則を使って、木の周りの長さから木の直径を推測したね、これは「演繹」という。
はるき:難しい言葉がたくさんあってよくわからないけど、はるかは難しいことをしたってこと?
さとし:そうだね。大人でもこれだけのことをちゃんと考えられる人は相当少ない。
はるか:本当は、難しい言葉の全部について知りたいけど、一つの話で話題に上げるのは一テーマにしないとわかりづらくなるから、今回は「帰納」について教えて。
はるき:書いている人のスキルからしても、あんまりたくさんのことをまとめられないと思うし。
さとし:メタな意見ありがとう。今回は帰納について説明するよ。

事例から法則を見つける

はるき:ぼくもよく事例から法則を見つけるよ。
さとし:どんな法則を見つけたのか、言ってごらん。
はるき:ぼくが部屋を汚すと、ママが怒るの法則。
はるか:はるきの汚し方、すごいもんね。
さとし:どうして、はるきが部屋を汚すとママが怒る法則に気が付いたのかな。
はるき:今日も怒られたし、昨日も怒られたし、その前も怒られたし。部屋を片付けなさいって。
さとし:事例から法則を見つけているから、確かに帰納だね。
はるか:でも、はるきが部屋を汚さなくても、はるきはママによく怒られてる。
さとし:ということは、はるきが部屋を汚すとママが怒るんじゃないて、はるきはママに怒られるという法則かな。
はるき:そんなの、嫌だ。辛すぎる。
さとし:ちょっと冗談が行き過ぎたな。はるかが部屋を汚したときはどう?ママは怒る?
はるか:わたしは滅多に部屋を汚さないけど、汚したときは怒られたかも。
さとし:それじゃ、はるきが部屋を汚すとママが怒る、じゃなくて、部屋を汚すとママが怒るだね。
はるき:よかった。ぼくだから怒られるわけじゃないんだね。
ママ :パパ!この板なんなの?ベランダがおがくずでいっぱいじゃない?ちゃんと片付けてね!
さとし:はーい。

はるか:パパもママに怒られる。べランダを汚したから。
はるき:パパもママに怒られる。
さとし:今日のお話はここまで。もう少し帰納について話したかったけど、それはまた別の機会に。
ママ :早く片付けて!


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