『イエスタデイ』人生で手にすべきものは?
モチーフが音楽バカの馬鹿げた夢みたいなこの映画。そのモチーフについて批判されていることが多いが、ビートルズの要素は最重要ポイントではない。この映画の主軸の一つは、すれ違う男女のラブストーリーである。もう一つは、世界に大きな嘘をついていることを告白する勇気についてで、それが愛ゆえというのがこの映画の肝だ。
そう、正直に生きる大切さについての映画でもあるのだ。それを確信するきっかけが殺されたはずのあの人であるという、この素敵さは批判できるのだろうか?西寺郷太さんは大好きだけどね。
ダニー・ボイルはカラフルな映像で、全く色のない冴えない主演俳優と、キュートなあの娘のラブストーリーを躍動させた。この映画を映画館で観たときより、今の自分の方が正直だ。それは中年のちんぴらである筆者の小さな喜びだ。