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研究者にも衣裳? 研究者の服事情

10月が近づいてくると、街中はハロウィン一色になり、さまざまな仮装コスチューム・道具が店頭を賑わせます。アニメや映画の〇〇博士の役など、研究者も時には仮装の対象になりますが、そのコスチュームは決まって長めの白衣、それも前のボタンが開いているものですよね。
実際のところ、研究者は日常や学会などのシーンで、どんな装いをするのでしょうか?今日は研究者の日常を少し覗いてみましょう。

白衣は特定の場面にしか出番がない

研究者のイメージと深く結び付けられている白衣ですが、実際のところでは、ごく一部の分野・業種の研究者にしか使われていせん。
最も白衣の印象が強い医学・看護学のほか、広い意味での生物学系の研究者や化学系の研究者も、白衣を着用して実験を行うことが多いと思われます。その理由はとても実用的で、「汚れが目立つ白衣を着れば、衛生面に注意を向けやすくなる」というものです。人間や動物を扱う実験では汚れや細菌は最大の敵ですし、化学系も試薬の扱いを間違えると大きな事故にもつながりうるため、衛生レベルの要求が高く、白衣が必須とされることが多いです。
同時に、清潔感やプロフェショナルなイメージにつながることから、白衣は実験室以外の場面でも好まれることがあります。特に相手に対して自分の専門性を強調したい場面では白衣を着用することが多く見られます。心理学者である筆者も、唾液サンプルの採取や脳イメージングのスキャンなどの生理指標を測定する心理学実験に携わる時は、白衣を着用した上で実験参加者に接した経験がありました。
だが一方、白衣は相手に威圧感をもたらす可能性もあります。相手との関係性の中で威圧感を与えたくない場合には、あえて白衣を回避する場合もあります。例えば臨床心理学者や精神科医の中では、来訪者との心理的距離を縮めるため、白衣よりも普通のシャツなどの一般的な服装で来訪者に接する人も少なくありません。
これらの特定の場面以外では、研究者が白衣を着用することは一般的ではありません。大多数の研究者は日常の仕事の場面では、いわゆる「普段着」を着用しています。

普段着はバリエーション豊か

一言に「普段着」と言っても、具体的にどのような服を選ぶかは、人によって大きく違います。ビシッとスーツを固める人から、タンクトップに短パンで出勤する人まで、研究者ほど普段着のバリエーションが豊かな職業はなかなかみられません。大学のような職場であれば、着装に関して明示的に決められていないことも多く、ある程度の暗黙なルールのもとに、各々が服を選んでいることがほとんどです。
大学教員の仕事時間を考えると、授業の時間と会議の時間以外は、オフィスの中で一人で過ごすことが多いです。そのため、他者の目を気にしすぎることなく、自分がリラックスできる服装を選ぶ研究者が多いです。筆者もその一人で、特に暑い夏日はとにかく快適さを優先して、普通にTシャツとワイドパンツとサンダルで大学内を歩くこともほとんどです。そのため、警備員さんに学生さんと勘違いされることもしばしばありますが、「これも若さの証拠」ということでポジティブに捉えることにしています。
一般的な傾向としては、研究者は他の研究者の服装に対しても寛容であると思います。同僚や他の研究者がどのような服装をしていても、「へぇ〜こういう個性なのね」と思うことはあっても、「けしからん」と思うことはあまりありません。気心のしれた人同士では、相手の服の個性をネタにすることもありますが、冗談の通じる相手だけにとどめておく必要があります。

服で主張するアイデンティティ

研究活動の中では、常に研究の独自性が問われ続けます。研究者として生きることは、ある意味では他者とは明確に区別される自分として生き、そしてそのことを周囲にアピールし続けることを意味しています。元々個性的な人が研究者になりやすいのか、それとも研究者として生きているとどんどん個性的な生き方を習得してしまうのかは、定かではありませんが、相関関係くらいはありそうですね。少なくとも筆者が接している人々の中では、研究者の方が圧倒的に個性的な人が多いです。

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