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ポスドクの保活事情(10) 祖父母の協力  #ポスドク総研

祖父母の状況も「保育指数」のポイントにかかわる自治体があります。

祖父母が同居や近居している場合、世帯が別であっても日中保育にあたれる成人とみなされ、減点対象とされることがあります。うちはそうでした。就労や疾病により保育にあたれない場合、その理由を明記した祖父母の署名捺印入りの申立書と、理由を証明する書類が必要です。

最初の保活の際、私はこれらの書類を用意できませんでした。

子どもたちの祖父は会社勤めをしていますし、祖母は持病で通院をしています。保育所代わりに毎日子どもを預けるということは現実的ではありません。就労と病療は正当な理由なので、書類を揃えられればポイントの減点は免れたはずなのですが、最初の保活の際には彼らの協力を十分に得ることがができず、結果的に書類不備になってしまいました。

両親にとっては子どもの保育は死活問題ですが、祖父母にとっては違います。直接的に生活に影響があることではないので、当事者意識はありません。認可保育園の申し込みの制度を説明し、勤務先や病院に書類の発行を依頼して欲しいとお願いしましたが、「そこまでしなくても大丈夫でしょう」「親じゃないんだし、関係ないじゃない」と言いたげな反応が返ってきました。その場で勤務先の名刺と病院の領収書を渡され、申立書までは作成してもらえませんでした。

勤務状況や治療方針は個人情報ですから、あまり見せたくないというのもあったと思います。納得してもらえず、自治体の様式の書類は揃えられませんでした。

第一子は2人にとって初孫でした。非常に可愛がってくれていますし、保育園に入る前は、非常勤で受け持っていた講義がある際に祖父母宅に第一子を預けることもありました。保育園へ入園がかなわなかった場合、また次年度以降も非常勤の際に子どもを祖父母に預けることになる可能性は高く、また保育園に入園できたとしても、土日の学会などで祖父母を頼ることが今後も必ずあるとわかっていました。

祖父母の協力に感謝しています。

そのような状況にありながら、「孫の保育はできない」という申立書を書いてくれというのも説明が困難でした。

さらに、子どもたちの祖父母も、役所の担当者と同様、ポスドクのことをあまりよく理解してはいません。私が大学で教えているということはわかりやすく、非常勤には協力してくれていたのですが、大学院を退学しているのにまだ論文を書く必要があること、研究員に採用されていて研究専念義務があることなどは、道楽のように思われている節がありました。

「子どもが小さいうちは無理せずできる範囲でやっていけば?」

「会社に通勤するわけじゃないし、子どもみながらでもなんとかなるんじゃないか。授業の時間くらい預かってあげるよ」

保育園について話題にすると、そんな発言が返ってきていました。

あくまで善意で、親身になってくれる祖父母でしたが、保育園に対する想いには我々両親とは温度差があったのです。

第二子が産まれてからの2回目の保活では、状況に変化がありました。

認可外保育園に通った後、幼稚園にも通った第一子の様子をみていくなかで、なぜ認可保育所に入園したいのか、という具体的な理由が臨場感を持って彼らにも伝わっていったのです。

それまでは、

 ● 保育所すなわち「児童福祉施設」は、事情のある家庭の子どもが預けられる場所で、親の都合によるもの。
 ● 子どもにとっては満3才までは家庭で過ごした後に「教育施設」である幼稚園に通うほうが、伸びのびとできて理想なのではないか。
というようなステレオタイプイメージが祖父母には多少なりともあったようです。

その認識は間違っているとはいえませんし、わたし自身も実際に子どもを預け始めるまでは迷いもありました。

しかし、保育園に通い出した第一子が成長していく姿や、送り迎えに協力してもらうなかで保育の現場を目の当たりにし、保育園に対するイメージもかわってきたようです。

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