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北欧の国々 -「危機をチャンスに変える」発想の転換-

5月26日にメンバーズ・コミュニティ(略してMC)「ヨーロッパ旅行研究会」の定例会を、「北欧各国の魅力」をテーマにして開催しました。スピーカーは、六本木ヒルズライブラリーのメンバーで北欧の航空会社に長年勤めている高泉光男さんです。仕事を通じて感じた北欧5か国の文化やライフスタイルを中心に語ってくれました。

最初に基本的な情報のおさらい

北欧という場所はイメージできますが、5か国の正確な場所は曖昧かも…という方(私はそうです!)もいらっしゃると思うので、高泉さんのお話を紹介する前に、各国の基本的な情報をおさらいしましょう。

日本の外務省のサイトによると、
フィンランド(首都:ヘルシンキ)は、人口553万人(2021年 IMF)、面積は33.8万㎢で日本より少し小さいそうです。
スウェーデン(首都:ストックホルム)は、人口1,045万人(2021年12月スウェーデン統計局)、面積は約45万㎢で日本の約1.2倍です。
ノルウェー(首都:オスロ)は、人口541万人(2021年IMF)、面積は日本とほぼ同じで38.6万㎢です(人口は日本の1/23なのに…)。
デンマーク(首都:コペンハーゲン)は、フェロー諸島及びグリーンランドを除いた数値として、人口581万人(2019年デンマーク統計局)で兵庫県とほぼ同じ、面積は4.3万㎢で九州とほぼ同じです。
アイスランド(首都:レイキャビク)は、36.4万人(2020年1月アイスランド統計局)、面積は10.3万㎢でほぼ北海道と同じです。

上記の地図に国の位置と国旗を記しましたが、国旗のデザインが類似していることを知りました。これはスカンディナビア十字と呼ばれており、世界最古の国旗の1つであるデンマークの国旗が元になっているようです。

5か国の関係性

定例会では、高泉さんが今までの経験を踏まえて、5か国の関係を下記のように表現してくれました。
スウェーデンが長男、
デンマークが年子の次男、
ノルウェーは油田のお陰でお金持ちなので、ある意味で我関せず、
アイスランドは地理的な影響もありポジティブな意味合いで独立しており、
フィンランドは北欧らしさを保ちつつも、その中で独自路線を歩んでいる。

とのことです。

先ほどの外務省のサイトのデータによると、5か国の中でGDPではスウェーデンが1位、一人当たりのGDPではノルウェーが1位でした。参考までに一人当たりのGDPの2位がデンマークで、3位がスウェーデンでした。そのあたりの感覚が、長男と次男という表現(特に“年子”という表現)に繋がったのかなと思います。

一方で、フィンランドは人種や言語が他の4か国とは由来が違うこともあり独自路線と表現をされているようです。
言語・民族について調べてみると、5か国ともに各々の言語を持っていますが、スウェーデン語、デンマーク語、ノルウェー語、アイスランド語はインド・ヨーロッパ語族の北ゲルマン語の分類に属しており、北ゲルマン系民族が多くを占めているようです。それに対して、フィンランド語はウラル語族に属する言語です。ウラル語族としてはエストニア語、ハンガリー語と同じ分類になります。ウラル語族は、フィンランド語を含むフィン・ウゴル語派と、ハンガリー語を含むウラル語派に分けられます。そういったことが“独自路線”という表現にも繋がりました。

今は北欧文化として共通点が多い

歴史を紐解くと色々と違いはあるものの、現在は「北欧文化」として共通点が多いとのことです。
高泉さんのお話では、「ダイバーシティ・インクルージョンやLGBTQは当たり前、リスキリングも以前から行われているので新しい概念ではない」とのことです。
その根底にあるのは「豊かさの指標が違う、お金ではない!」ということです。
何故、そのような発想になったのかと尋ねてみると、「多分、良い意味で身の程を知っている、つまり自分の位置や役割、制約や限度を把握しているのだと思う。小さな国なので大国を真似せず、小さいからこそできることを独自路線で進めているのではないか」という感想を述べられていました。

そして、高泉さんのお話の中で一番印象的だったのは、ノキアの経営危機への対応でした。
スマートフォンが出現する前は、携帯電話機器市場で高いシェアを占めていたノキアはスマホにシェアを奪われて経営危機に陥り、多くの社員が去ることになりました。その時にノキアは「Nokia Bridge」というインキュベータプログラムを立ち上げて、新しくスタートアップを立ち上げる元従業員に最大15万ユーロの資金を出資するプログラムを開始したという話です。この動きに、フィンランド政府も後押ししたそうです。
その結果、2014年にノキアの携帯電話事業はマイクロソフト社の傘下に入りますが、2016年にはノキアの元社員によるスタートアップ企業へ売却されることになります。またノキア自体も、世界でも有数の通信インフラ設備製造・開発会社として、現在も存続しています。
このノキアの危機が、フィンランドのスタートアップ機運を高め、SLUSHという世界でも有数のスタートアップイベントに繋がったそうです。

「危機をチャンスに変える」発想の転換

この話の中で、「危機をチャンスに変える」発想の転換が凄いなと感じています。
その根底には高泉さんが言われるように、「豊さの指標がお金ではない」という発想があるのだと思います。
我々も「お金ではない」と言いつつ、でも「お金は必要!」という考えを拭い切れていないと思います。しかし北欧の方々は「お金ではない!」という価値観を強く持っているような気がしました。

そして、高泉さんはお話の後半で、「地球の歩き方」をもとに北欧5か国の観光スポットを紹介してくれました。


ようやく自由に旅行ができるようになったので、「百聞は一見にしかず」ではありませんが、是非北欧へ行って、その空気を体感してみたいと思います。

アカデミーヒルズ 熊田ふみ子

#アカデミーヒルズ #メンバーズ・コミュニティ #ヨーロッパ旅行研究会 #北欧 #NokiaBrige #SLUSH #スタートアップ


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