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【Vol.16】ニーズと本気

■ニーズに合わせようとして失敗する工務店

弊社が街の工務店さんのホームページをリニューアルする際、その工務店の《ターゲット》《ウリ》をまずお聞きします。

この2つがあやふやだとどんなホームページを作るのかが決まらないからなんですが、だいたい

「予算的にハウスメーカーでは建てられない人のために、同じ仕様の家を安く建てられます」

というような答えが返ってきます。

なぜそんな家づくりをするのかを聞くと

「消費者のニーズに合わせないとやっていけないから」

という答え。

その通りです。
事業としてやる以上、【ニーズ】がないと成り立ちません。

ところが問題点が2つあります。

ひとつは、
他の工務店も同じように考えているのでライバルがすごく多いこと。

もうひとつは、
ライバルが多い以上、必死で取り組まないと競争に勝ち残れないこと、です。

この条件をクリアするには工務店さんの【本気度】が欠かせないのですが、「ニーズに合わせないといけないから」と語る工務店さんの顔を見ると、どこか表情が曇っている場合があります。

本来やりたいことと違うから本気になれていないんですね。

この場合、まず間違いなく失敗します。

それはホームページづくりの失敗ではなく、事業そのものの失敗を意味します。

この状況を乗り越える選択肢は2つ。

  1. 《ニーズに合わせた競争を勝ち抜くため》に【本気】になるか?

  2. 《自分たちがやりたい家づくりのため》に【本気】になるか?

どちらの本気を選ぶにせよ、「他社がやってるから」「そうしないといけないから」という、どこか他人事の動機では茨の道まっしぐらです。



■本気でニーズに合わせる覚悟はあるか?


…東海地方の設計事務所さん。

  • 経営陣の年齢は50~60歳代で、個性あるデザインのこだわり住宅を得意としている。

  • 今まで紹介で受注を取ってきたものの年々減少。

  • もっと新規客を集めないといけないので、ニーズに合わせた家づくりをしなければいけない。

  • 狙うターゲットは若い世代の一次取得者層。

  • だから若い世代でも建てやすいよう値段を下げた規格化住宅を展開していきたい。

というご相談がありました。

一見、市場ニーズに合わせた正しい選択のように見えますが、本心は【設計事務所らしい少し個性のある家づくり】をしたいことが、話の端々から感じられます。

でも、そんな家づくりでは食べていけない。

実際に受注が減ってきている。

だから市場ニーズに合わせないといけない。

でも本気になれない。

だから表情が曇っている。


…関東地方のある工務店さん。

  • 宮大工の経験もある技術系の社長なので本当は昔ながらの日本建築が得意だが、そんなニーズは少ない。

  • 受注を取るために、ハウスメーカーと同じ仕様の家を安く建てることで消費者にアピールしていきたい。

とは言うものの、心に迷いがあるのはひと目で分かる。

だから表情が曇っている。


これらの工務店さんは
【本気で】ニーズに合わせる覚悟がない
と言えます。

残念ながら、どちらの道を歩むにせよ、そんな【本気じゃない工務店さん】を一般消費者が選ぶ理由がありません。



■本気で【守りたい】と思えるお客さん探し


そんな工務店さんは市場から消えるべきなのか?

当然答えはNOです。

家づくりの多様性を確保するためにも
街の小さな工務店は、中小零細を淘汰しようとする時代に逆らって生き残るべき!
と弊社は強く思っています。

だから【本気】になって欲しいのです。

ポイントは《何に対して本気になるのか?》ということ。

その答えは過去のお客さんの中にあります。

例えば前述の《経営陣の年齢層が高くて、少し個性のある家づくり》がしたいと考えている設計事務所さんの場合。

過去に家づくりを依頼してくれたお客さんの特徴を挙げていくと、ハウスメーカーの画一的な家づくりでは満足できないが、突拍子もない家づくりはしたくない、50~60歳代の方が多いことが分かりました。

経営陣に近い年齢なので、おそらく価値観や生活の悩みを共有できたんだと思います。
 
ではそんなお客さんが商圏内にどれぐらいいるかを考えると、年間20名ぐらいはいるだろうとの答え。

その数で事業が成り立つか?と聞くと充分とのこと。

だったら【ニーズはある】ことになります。

ならばやるべきことはひとつ。
その20名のお客さんを守るために【本気】になるしかありません。

そうすれば、お客さんの悩み事を解決できる家づくりを提供できる上、それらのお客さんに役立つイベントを企画することができます。

まさにお互いにとってWIN-WINの関係が築けて、狭いニーズの中でナンバーワンの地位を確保できる可能性があることになります。

 
宮大工の経験がある工務店さんも同じです。

日本建築を建てる工務店が少なくなって来ているということは、日本建築を建てたい人が困っているということになります。

そのニーズがなければどうしようもありませんが、商圏内に年間10人ぐらいは確実にいるだろうとの答え。

年間10棟も取れれば事業は成り立つとのことなので、あとは【本気】になってそんなお客さんを守るだけです。


このように、無理して時代のニーズに合わせなくても

本気で『守りたい』と思えるお客さんは誰か?

を考えることで、御社ならではのニーズが見えるケースがあります。

もちろん茨の道であることに変わりはありませんが、わざわざライバルの多いレッドオーシャンに、中途半端な気持ちで戦いを挑むよりも遥かに可能性はあります。


右に進んでも左に進んでも難しいこれからの舵取り。
本気で舵を握らないと船は難破してしまいます。

これからの御社の方向性について心に迷いがある工務店さんはぜひご相談ください。

弊社も【本気で】お答えします。

※ご相談は【こちら】から



■今日のまとめ

ニーズに合わせるにしても
ニーズを生み出すにしても
絶対に【本気】が必要。


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