【Vol.14】やらないこと宣言
工務店さんから
「最近のお客さんは予算に余裕が無い」
「ネットや雑誌で勉強していて警戒意識がすごい」
「家づくりに真剣じゃない人が多い」
と、消費者に対する悩み事を聞くことが多々あります。
そんな工務店さんのホームページやチラシを見せていただくと
「家づくりを検討している子育て世代の皆様へ!」
「新築・リフォーム、なんでもお任せください!」
「まずは当社にご相談ください!」
という言葉が並びがち。
こういった、【どんな家でも建てられる】工務店さんがよく使う
という表現は、逆に《真剣なお客様》を遠ざけてしまいます。
【なんでも出来るのに、真剣なお客様から歓迎されない】。
これはいったいどういうことなのでしょうか。
今回はそんなお話です。
■どこでラーメンを食べる?
《なんでも出来る》のに敬遠されてしまう。
その理由は、視点を変えて消費者目線で見てみるとよく分かります。
あなたが【一生に一度】しか来られない都道府県に旅行に来たとします。
そこで、その地域にしかない御当地ラーメンを食べようとした時
のどちらを選ぶでしょうか。
おそらく多くの方が【専門店】に入って、いったいどんなラーメンが食べられるんだろうとワクワクして待つと思います。
一方、定食屋を選んだ方は、そもそも一生に一度の御当地ラーメンを期待していないはずです。
「定食屋なんだから、味はそこそこだろう」
「定食屋なんだから、安くて早いだろう」
「定食屋なんだから、とりあえず食べられればいいや」
そんな気持ちで席に座ると思います。
冒頭で
なんでも出来る工務店さんには
「最近のお客さんは予算に余裕が無い」
「ネットや雑誌で勉強していて警戒意識がすごい」
「家づくりに真剣じゃない」
お客さんが来るという話をしましたが、まさにこういうことなんです。
【一生に一度】の家づくりは、定食屋型の工務店さんに頼みにくい。
「なんでもできます」とアピールすることで、真剣なお客様を遠ざけ、真剣じゃないお客様を呼び寄せてしまってるんです。
■たった1.5%でいい
年間の新設着工数で考えます。
人口40万人の都市であれば、分譲なども含めた新設着工数は年間1,300棟ぐらいでしょうか?
仮に御社がこの都市で年間20棟の受注を取ろうとした場合、割合はどれぐらいだと思いますか?
なんとたったの《1.5%》です。
単純計算で、残りの98.5%のお客様を相手にしなくても受注目標は達成できる、ということになります。
にも関わらず、多くの工務店さんは「なんでも出来るからみんなウチに来て!」と、まるで1,300棟すべて受注しようとするようなアピールをします。
たった1.5%のお客様に振り向いてもらえばいいんです。
御社の得意な家づくりや考え方に共感してくれるお客様だけを集めても十分だと考えると、ちょっと気が楽になりませんか?
■1.5%のお客様を集める方法
「どうしても御社で家を建てたい!」
「御社じゃないと嫌なんです!」
と言っていただける1.5%のお客様と巡り合うにはどうすればいいか?
もちろんいろんな戦略が必要ですが、その中でも最低限やっていただきたいのは
【しない事・やりたくない事を勇気を持って宣言する事】
です。
【建築のプロ】として、または【家づくりの信念】として、例え《300万円余分にお金をもらっても御社がやりたくない事》をズバッと伝えてあげてください。
ビニールクロスは使いません!
結露する家は建てません!
こだわりを実現できない打ち合わせはしません!
自慢できない外観デザインにはしません!
地震に弱い家は建てません!
木が見えない家は建てません!
これだけ絞り込んでも御社の家づくりには大した影響はありません。
にも関わらず、真剣なお客様からすると
《なんだかこだわりのある工務店っぽい》というイメージは伝わりやすくなります。
「なんでも出来る」は【なんにも出来ない】のと同じこと。
勇気を持ってプロのわがままをアピールしてください。
★今日のまとめ
《出来る事》より《やらない事》を言われた方が、その理由(御社のこだわり)を知りたくなる。
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