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2024年2月の記事一覧

水き言

水き言

形を捉えんと曖昧なままに
知った気持ちで、さらに――あそび
ゆうらぐ真実の
不定を知った、その矛盾

口よりこぼれ、挿し入るモノは
八拾重億と膨大に、日々化かせる。
呆然の、満たしたるさまの、
――なんと水き言だろう

魂をぬかるつ

とっておきの晴着を纏う一家をまえに
「魂をぬかるつ」と男は激情をあげた。
もはや、当て布を着ているその様相は
とまどう写真屋の指さきに_とどかない。

一家の主は迷惑を
母は子らに安心を、
黒黒とレンズにぬかれ
いならぶ顔端に浮かんだ恥入る口を
キャメラは仔細を捕らえたむ
――男の、怒りを燈した瞳のうちの
手もと一点に朽ちゆ母の背中さへ

うたかたる発光

うたかたる発光

おとなしく
音もなく
燦燦と、降りそそぐ
万遍と、ひとしみ

くすぐったがりに欄干よじり
枝葉をふりふる木木はてにてを遊び
いろ深む影のまにまを空は、白く
瞬き――また白く
 おしみ
  ほころび
恩寵とかたむけんメロディ
夢うつつの彼岸ヲヤ