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蝸牛にのった猫

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クオリアの空

ふいに、ただの道行きに ひらけた視界の新鮮さ 旧道木陰のふちの外、 広大無辺な光のもとに 小さき粒を連ねる空と――  のかんかく、と   カチリ。 嵌り込んだ器。がこぼす、自然な 流れるモノの輝きを ――野のユリと 呼ばずにはいられない

クオリアの空

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記事

    よこ波

    横なぎのウリズンベーや島泳ぎ

    飛燕

    まくろうと虻の向かふに飛燕かな

    アースカラー

    潮騒に 白いTシャツのなびいた休閑期 スチルは暑いまなざしを 水平線へのグラデーションカラーにそっていく こたえない空のした かたむける太陽の あいまいな長針でいれたなら あの真っ青に白いシロのまま

    アースカラー

    大都海

    水ととらえる上空を なぞらえるコンクリート稜線 その深層で凪うつた 生ぬるい呼気のふきだまり。 なんて窮屈なのだろう しのばずにはいられない かた手落ち缶コーヒー 思いをはせるガラス戸がうつつより 仕様のないなぐさめに 不出来な面をしてくれる

    大都海

    波さい

    波際の泡にひかれまいとする

    寒月

    茫洋と月に寒みゆわたくしの影

    きつねアメ

    晴れ日にそそぐ雨あし さし延べうる枝の葉 朴訥と賢明に くすぐるよじりの斉唱は―― はたはた はたはた  はたはた ハタハタ 笑ってる

    きつねアメ

    春来

    梅の毬よう気にころんとほころばせ

    水き言

    形を捉えんと曖昧なままに 知った気持ちで、さらに――あそび ゆうらぐ真実の 不定を知った、その矛盾 口よりこぼれ、挿し入るモノは 八拾重億と膨大に、日々化かせる。 呆然の、満たしたるさまの、 ――なんと水き言だろう

    水き言

    魂をぬかるつ

    とっておきの晴着を纏う一家をまえに 「魂をぬかるつ」と男は激情をあげた。 もはや、当て布を着ているその様相は とまどう写真屋の指さきに_とどかない。 一家の主は迷惑を 母は子らに安心を、 黒黒とレンズにぬかれ いならぶ顔端に浮かんだ恥入る口を キャメラは仔細を捕らえたむ ――男の、怒りを燈した瞳のうちの 手もと一点に朽ちゆ母の背中さへ

    魂をぬかるつ

    うたかたる発光

    おとなしく 音もなく 燦燦と、降りそそぐ 万遍と、ひとしみ くすぐったがりに欄干よじり 枝葉をふりふる木木はてにてを遊び いろ深む影のまにまを空は、白く 瞬き――また白く  おしみ   ほころび 恩寵とかたむけんメロディ 夢うつつの彼岸ヲヤ

    うたかたる発光

    ネビュラのつゆ

    新鮮のさなか 木立わたる暁に 青青らのおこす新星 どうして――儚く どうして――尊い ミをときゆく朝露のうちに どうして。 と、零しつた夢は 知るべない銀河の ――群れ、群れ、群れ

    ネビュラのつゆ