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原稿はチキンレースではない

■概略

二次創作小説を書いて同人誌を出しています。
そうすると発生するのが〆切です。
これに間に合わなければ本は出ません。
間に合うためには、早い段階から計画的に原稿を進めていくことが大切です。

ところが慣れとは恐ろしいもので、冊数を重ねるごとに原稿着手開始はどんどん遅くなり、入稿完了から〆切までの残り時間はどんどん短くなっていきました。
「ここ10年で最短の作業時間」「過去類を見ないほど限界な脱稿」「過去最悪と思われた前回を上回るギリギリの脱稿」とどんどんエスカレートし、内容をブラッシュアップする間もないままボジョレー原稿は巣立っていきます。
これではよくない。

これは、「〆切はチキンレースではない」という事実を今一度思い出すために、今回の原稿がどれだけ限界だったかを記し、もって次以降の原稿のスケジュール計画に役立てんとするものであります。

■参加イベントと〆切

2019/11/17に開催される、第九回科学世紀のカフェテラスに参加します。
サークルスペースは「封15」。
ということで、〆切は2019/11/12の午前11時でした。
(ここにも紆余曲折ありました。
本来は印刷所→11/13~15の間にヤマトの集荷所に到着・数日仮置き→即売会会場という流れで会場に搬入される予定で、その場合〆切はどんなに遅くても11/11の午前11時でした。完全にそれを忘れていたため会場にほど近い実家に(1時間半くらい)即売会前日に到着するよう郵送してもらうこととなり、〆切が1日延び(?)ました)

■考え始めた9月

なんと、9月時点から原稿をやろうという気概がありました。
サークルカットは以下のとおり。

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「密漁系秘封倶楽部」
なんとも素敵な響きですね。
これもサークル参加申込一次〆切の前日(7/28)に思い付き、えいやっとサークルカットをこしらえて申し込んだ覚えがあります。
ちなみにその辺りの日は夏コミの原稿の〆切(8/1午前)に追われてひーこら言っていました。

さて、9月に着手したならそれなりに余裕があったのではないか、と思われることでしょう。まあ9月といっても下旬なのですが、9/21から起算しても〆切まで50日強。1日1000字書くだけで50000字のちょっとした短編が出来上がります。理想的ですね。
実際のところ、そううまくはいきませんでした。
何を書きたいのかまったく分からなかったからです。
「はて、密漁系秘封倶楽部、俺はいったいなにを……?」
ぐにゃあ……と視界は歪み、一週間ほど唸りましたが何も思い付かず、どうしようもない日々が続きます。あと社の方で別の原稿が発生しており、そちらに気を取られていたのもあります。加えて社の方がバグっており、この辺りから残業が増え始めていました。
とりあえず家にいてもどうしようもないので定期圏内で見付けたおしゃれなキャッフェーに飛び込み、増税直前ということで買ったばかりのipad airくんを開いて唸り続けていました。9/29のことです。結局その日は今回の本の世界設定を考えることに終始し、原稿そのものは4時間だかかかって2000字くらい書けたかなといったところでした。店員さん、一品注文しただけで4時間粘ることを許してくれてありがとうございました。世界観はだいたい「第六ポンプ」になりました。

ここから、考えた設定をもとに話を積み上げて行ければよかったのですが、大変な事態が起こりました。いいえ、既に起こっていました。
FGOのイベント「バトル・イン・ニューヨーク 2019」です。
超高難易度クエストが立ち並び、ボックスガチャから素材が乱れ飛ぶこのイベント。楽しまない手はありません。超高難易度クエスト、手持ちのピースを組み合わせて難しいパズルを解いていく感じが好きなんですよね。
そういうわけで、9月後半から10月前半はなぜかNYにある七つの丘へと旅だってしまったのでした。

■迷走を重ねた10月

10/1になんとかローマ越えを果たし、このままでは良くない、と平日の晩に遅くまで開いている図書館に駆け込んで原稿をやろうとしたり行ったはいいものの虚無をして落ち込んだりしていました。
そもそも世界設定をなんとなく作っただけで、今後どういう話になっていくのか全く見えていない状況です。多分宇佐見蓮子が出てくることはわかる。彼女が酉京都に来る前、大学生以前だから高校生の頃おいのお話でしょう。多分その頃から結界破りをして、天然物を獲っては密漁していたのではないかな……? というイメージがなんとなくありました。密漁系秘封倶楽部ですし。焼く前のお好み焼きくらいふやふやのイメージのままでは書き進めることもできず、唸っている間に週末がきました。
サブカル映画館でサブカル映画(EX Libris)を見たり某デパートの屋上で月村了衛『黒警』を読んだりしていると、不意に天啓がおりました。なるほどこういう話だったのか。完全に理解した。いけるじゃんふっふーんどやあ。
るんるんで翌日の秋季例大祭に参加したりうちに泊まっていく友人の買った同人誌読み耽ったりしていました。いや既に「書けねえ……?」という片鱗は感じていたようにも思いますが。

ここから2週間強の断絶があります。

かいつまむとこんな感じ。
・10/12-14の三連休で社のイベントがあったが、台風とともに「ハチャメチャ」が押し寄せてきたのでその前後で東奔西走していた。
・イベント当日の休みは勝ち取ったものの、気圧かなんかでバグってしまい、結局丸一日月ノ美兎さんと本間ひまわりさんの百物語配信を見ながら六層の途中で止まっていた世界樹の迷宮5をやり始めた。
・本格的にバグった。

この頃は一応書こうという意欲はあったのですが、普通に帰宅して飯食って寝落ちたり精神を取り戻すために必死にコンテンツに触れたりしていたら時間がなくなっていました。10/20の三行日記には「依然として虚無」の文字が並んでいます。あと『少女庭国』を読んで「なんにも事態を進展させずただだらだらと滅びまでを間延びさせる女子高生のおしゃべりな~!!」となったりしました。その前後で、少しだけ(数百字単位)進んでは止まり、別のものを書いては止まり、という感じで二つ三つ書いていました。10/22の三行日記にも「依然として虚無」の文字が並んでいます。オタクの進捗はライザ・ラードナーの横顔ではないが。

そして時は更に進み、世界樹の迷宮5も終わりを告げようとしていました。10/27、流石にこれはまずいとおもって少し遠方の図書館に向かいます。ここは駐輪場が無料で近場にカフェもあり、長時間の作業に適しているのです。閉館日でした。バカ! 絶望しながら近隣の作業できそうなカフェを探し、入ったところ大当たり。椅子こそ硬くて尻が痛いものの、そこで原稿と向き合うことができました。
そうするうち、気付きました。原稿の方向性を変えた方がいいな、と。3週間前に完全に理解した展開は残っていましたが、そこに至る過程が異なっていたのでした。具体的に言うと登場人物がほぼ2人だけの予定が、名前と台詞ありだけで7人くらいまで増えました。ちょっと特殊な書き方をしたので、恐らく私以外に区別できる人はいないでしょうが……。

その後一瞬「無」になる事態を経由したものの、10/30頃から本格的に描き始めました。10月が終わった段階で、全部で5000字くらいです。
こうしてみると10月はほとんど進んでいませんね。考え始めた頃からいくと100字/日くらいでは? 最終原稿に寄与した作業をした日が10/27と10/30くらいしかないのですが。

■泣きながら追い込んだ11月

この辺りはあまり面白くありません。時間の従量課金制のマンガ喫茶みたいな作業スペースを発見して一日籠もったり、ここにきてようやく表紙をまともに考え始めて依頼したり(そもそも完成しない畏れが結構強かった)、セイバーウォーズ2が始まったりバンドリの即売会で横浜まで行ったり、世界樹の迷宮5が終わったので新世界樹の迷宮2に回帰したりしていました。文字数で淡々と進捗を見ていきましょう。

11/1 2200字
11/2 6600字:表紙イラスト発注(バカ!)
11/3 2000字:セイバーウォーズ2完
11/4 3000字:バンドリ即売会
11/5 2300字
11/6 1800字:表紙イラスト届く(本当にありがとうございました……)
11/7 3200字
11/8 700字:始原の幼子に勝ちました。泣いた。
11/9 5100字:本棚が届いたので組み立てた。
11/10 6500字・表紙裏表紙暫定案作成
11/11 シンポジウム行ったり校正したりして脱稿! 完!!

なんか記録の字数を全部足しても38000くらいなのですが、実際のところ脱稿時は40000字でフィニッシュです。+ちょっとした掌編もついています。

そういうわけで『密漁系秘封倶楽部』出ます!!
2019/11/17京都はみやこめっせで開催される科学世紀のカフェテラスにて!
「封15 阿吹屋」をよろしくね!!!

■まとめ

実質原稿が始まったのが10/27で、終わったのが11/11(の26時)でした。
17日間で41500字、その間の休日は7日です。
こうしてみると日割りで2600字ずつくらいですね。休日に4000字割り振ると平日は1300字。あれだけ大変だったのですが……。
まあ世界樹の迷宮につっこんでhageたり即売会にいったり変わらずコンテンツを楽しんでいたので、そういうことです。

ちなみに夏コミの原稿は13日間5休日でやっていてそっちの方がやばそうな雰囲気ですが、全部で17000字くらいしか書いていないのでむしろまだましでした。社がバグってなかったし。限界さを競うんじゃねえよ。

終わり終わり! 同人誌の宣伝せずに何を書いていたんだ!!? これが宣伝だよ!!!

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