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#Ⅷ さーちゃんの場合

すごい不思議な少し怖いnoriくんとの恋愛が終わり、友達からカンボジアのボランティアに誘われた。
そこで添乗員として参加していたのがさーちゃん。
私がながーい、ながーい恋愛の欲しかった愛情を満タンにしてくれたのが彼だった。
年齢差がかなりあり、親の方が年が近かった。
友達は2回目の参加もあり、さーちゃんとも知り合いだったため、すぐ話せるようになる。
さーちゃんがnoriくんの実家の最寄り駅に住んでいたこともあり、話が盛り上がる。
話しやすい気さくな存在と頼りになる姿に心は惹かれていった。
恋愛に関してはどちらかというとすぐ告白!ダメなら次だ!!が合言葉だったのもあり、カンボジアから戻ってきてすぐ電話をして、ダメ元で告白してみた。
向こうは年が年のため、とても驚いていたが、OKしてくれた。

浮かれた私は次の日すぐに親に話してしまう。
親は驚愕。
それもそうだ。自分達のほうが年が近いのだ。
帰省で地元に戻っていたので、帰る頃にはとても心配されていた。が、付き合いたての楽しい私は親の心配なんざ気にしない♪

久々に会ったのがどこだったか忘れたが、何回かデートを重ねて、彼の家にも遊びにいくようになった。
年上で、自分が知らないことはなんでも知ってて、職業柄たくさんの旅先での出来事を話してくれた。
安心して、安らげて、この人しかいらないと思った。
子どもはもう授からないかもしれない、でもさーちゃんと二人でカフェとかして、楽しく最後まで生きていきたいと本気で思っていた。
仕事も親も家族も友達も全て投げて、この人と二人で生きていきたいと何度も思った。
親が反対していたので、結婚は無理だと思いつつ、駆け落ちを一人でもんもんと悩んでいた。
一番長い、四年も彼と付き合った。

こんなに愛している人と自分から別れを切り出したきっかけは、東日本大震災だった。

さーちゃんはあの時、宮城に住んでおり、震災にあった。

あの日、私が住んでいたところも揺れて、一緒に働いていた子が宮城の子ですぐ電話して大騒ぎだった。

さーちゃんとのお付き合いは周りには伝えていなかったから、伝言ダイヤルを何度も確認して、最悪の事態を一人で想像して気が気じゃなかった。
無事に避難所に移動できていたことがわかった時は心底安心した。
本当は地震の次の月に会う約束をしていたが、それどころではなくなり、さーちゃんは仕事の対応におわれ、私も今いる場所でのできること、色んなことを考えさせられた。
そこから、ずっと会う機会がなく、冬に会ってから二人が会う約束の話題になったのは、夏になってからだった。
この時に、会う約束の話題があがりはじめるころ、私のなかでなんとなーく別の感情が現れる。
おや、一人でも生きていけてるな。
今までは休みは会いに行って、会いに来てもらって、依存はしていなくても彼と一緒が一番だった四年間が、会えない事態に遭遇し、無理矢理一人でいる時間が増えたのだ。
好きなもの、一人映画、友達との時間、一人で過ごす楽しさ。それを知ってしまったのだ。
あの、yutaくんから途切れなかった彼氏、好きな人が初めて途切れたのだ。
そして、それぞれの人からもらった愛情が、さーちゃんの父のような優しさと長年一緒にいたなかでの信頼関係における本音の出し方、素直な自分をだしていく訓練、きっと父親から貰うはずだったものを四年かけて貰えていた証なのだと気づいた。
気づいたとき、実はその気づいた気持ちをみたくなくて。
変わりたくない心、ずっと一緒にいたいと思ってたのに、気持ちの変化に悲しくて、みたくなかった。
でも、、一人で歩けてる自分が声をかけてくる。
大丈夫だよ。一人で歩けてるよ。頑張れ。

その自分を受け入れ、さーちゃんに別れを告げた。


さーちゃんとの別れから何年かして、当時働いていた仕事を結婚のタイミングで退職した。
その時、たくさんの人に支えてもらっていたことを想いだした時にさーちゃんにもずいぶん支えてもらっていたと思い、懐かしいmixiでメッセージを送った。

さーちゃんもまだ見てくれていて、返信がかえってきていた。
今はずっと住んでみたかった土地で頑張ってること、相変わらず仕事に邁進してること、奇跡的な年齢差で付き合えた四年は楽しかったこと、感謝しかないことが綴られていました。

そのあとは、お互い連絡もせず何をしているか、どこにいるかわからずの現在です。

ながーい、ながーい人生、彼氏途切れない人だよね、といわれ続け、父親の存在を彼氏に求めていたのを認めたくなくて、人をたくさん好きになって、欲しい愛が時にわからなかったけど、人と付き合うなかで私のなかの愛情ボックスがたまっていって、一人で歩けてる自分に出会った。
あ、大丈夫だと気づいたときの嬉しい、悲しい涙は今でも忘れない。

よく頑張ったね自分。おめでとう。

愛情ボックスが溜まるのがいいわけでもないし、恋愛を謳歌するのも大切。

でも、私の場合は溜めなきゃいけないものだったのだと、なんとなく思う。

noteに今までの想いを綴れて良かった。
また、覗いてくれた方々にも感謝です。


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