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音楽コラボSNSアプリ「nana」のリニューアルにおけるトラブルについての考察

この記事について

音楽コラボSNSアプリ「nana」の2023年6月14日のリニューアルで起きた一連のトラブルや、それまでのいきさつをまとめて考察する
また、nanaについての個人的な意見も記載する

自分は一人のシステムエンジニアとして、nanaの開発力に関しては尊敬しているし、今までの功績も認めているつもり
これはnanaへの苦情でも嫌がらせでもなく、単純にもっと良くなってほしいと願っての苦言や助言と思ってほしい
気分を害するようなことも書いているので、ネガティブな発言が嫌いな人は読まないで去った方がいいと思う

録音機能の強化版開発(iOS版のみ)

開発の経緯と仕様

まず2022年5月前、nanaの録音機能をアップデートするとの発表があった
iOS版のみ先行開発となった
こちらは録音機能のみのアップデートということで、主に次の点が機能強化されることとなった

  • 細切れで録音できる機能(従来と同じ1トラック)

  • 1パート毎にエフェクトを変更できる機能

  • エフェクトの追加(空間/ボイス)

  • 空間エフェクトとボイスエフェクトを分け、同時にかけられる機能の追加

  • UIの変更

ベータ版提供開始

2022年5月、iOSの一部のユーザーにベータ版の提供を開始した
ユーザーからのフィードバックをもらえるように、不具合報告フォームや意見フォームなどを設置、それなりの対応はしていたように思う
そのベータ版だが、バグが多発し、まともに録音できない自体に陥る
3ヶ月経ってもあまり進展が見られず、バグの改善もほぼなかった
また、ユーザーがいろいろな意見を出しても、全くといっていいほど反映されることはなかった
かなり集まったであろうユーザーの意見に対する反応も一切無かった

開発中止

開発がどうやらうまくいかなかったらしく、2022年の秋か冬ぐらいだったろうか(明確な時期を失念)、開発中止を発表すると同時に、全く新しいnanaを開発することを発表

あたらしいnana

開発の経緯と仕様

2023年2月、全く新しいアプリを作ると公式Twitterで発表した
「2023 Spring リニューアル」という謳い文句で2023年春にリニューアルされることが告知される
クローズドβ版→オープンβ版→公式リリースの予定とする
今回はiOS/Android共に開発しているということがアナウンスされる
下記の点が旧nanaと変わるということだった

  • 録音時間の延長(90秒の壁突破)

  • マルチトラックレコーディング

  • 1トラック中でも細切れの録音が可能

  • コミュニティ機能廃止

  • ライブ配信機能は後に追加

  • ダイレクトメッセージ機能(DM機能)追加

クローズドβ版提供開始(iOS版)

2023年3月、iOS向けにクローズドβ版の提供を開始した
利用者は人数限定で募集し、録音機能強化版の時とは違って、不具合修正やご意見募集というフォームは用意されていなかったように思う
いままでのnanaとはUIから根本的に違っており、UIは大変シンプルなものだった
ユーザーはTwitterを使っていろいろ報告していた
当然ながら不具合も抱えており、その報告が多かったように思う
また、要望なども多くあったように見えた

公式リリースキャンペーンの発表(iOS版)

当初はオープンβ版のリリースのはずだったが、なぜか公式リリースの流れになっていた
運営側の今までの説明から、この時点でオープンβ版のリリースというのを想定した人はいなかったように思う
明らかに公式リリースの流れだった

下記はリリースの6時間後のツイートだが、期待外れどころか、騙された気分になった人は多かっただろうし、まさか自分達がテスター&バグ修正要員になろうとは思いもしなかっただろう
「ご意見も頂きつつ」「見守っていただけますと幸いです」とはよく言えたものだと思う
なんのためのクローズドβ版だったのか、今一度自分の心に問いかけて欲しい

2023年5月22日、新アプリを2023年6月14日にリリースして、記念に下記のキャンペーンを行なうと発表した

  • 事前予約してアプリをダウンロードした人に10,000円相当のポイントをプレゼント(外れた人は300円相当のポイント) ※iOS16以降必要

  • 新しいアプリでログインもしくは新規会員登録した先着777名に、プレミアム会員7年間分の利用権利をプレゼント

キャンペーンの是非

特に先着777名に7年間プレミアム会員権プレゼントというのには驚かされた
現行のnanaのプレミアム会員利用料は580円/月である
それが7年間無料になるということは、48,720円を777人にプレゼントするということであり、実に4億円をかけたキャンペーンだからである
すでにプレミアム会員になっている人や今後もプレミアム会員であり続けようとしている人も多くいるわけで、これはnanaにとって、今後7年間で4億円近くを失うに近い
周りでも、これはやりすぎではないかという意見が多かった

また、先着制ということについても議論があった
こういうものはだいたいトラブルの原因になる
サーバーに一時的に大きな負荷が生じ、繋がらなくなって数時間もずっとアクセスし続け、ユーザーの負担が増すことも考えられる
特にnanaは今までそういうことをいろいろやらかしてきたので、ユーザーからは信用されていなかったように思う

キャンペーンの混乱

公開予定日の前日深夜に突如公開

アプリは2023年6月14日に公開し、同時に前述のキャンペーンを行なうと発表されていた
しかし、6月13日23時過ぎに突如公開され、ユーザーは混乱した
気付いたユーザーはすぐにアプリを起動したものの、アプリはβ版そのもののように見えたので不思議に感じた
そして23時30分過ぎあたりからアクセスが多くなったのか、一切アクセスできなくなる
旧nana側にもその影響があり、アクセスできないようになっていた
それは24時前には修復される
しかし、相変わらず新nanaアプリはアクセスできないという画面が表示されたままだった
どうやら朝までずっとそのままだったらしい
キャンペーンに応募したくて、0時過ぎからずっと朝までリロードしていた人も散見された
誤って公開されたにも関わらず、翌朝まで運営による公式アナウンスは一切なかった

公式発表と契約違反

6月14日朝、運営による公式発表がTwitterにてあった
アプリは6月14日12時に公開しようと設定していたが、なぜか13日23時に公開されてしまった
この件についてはApple社に確認しているとのこと
これについて考察だが、日本時間6月14日12時はアメリカでは6月13日23時であり、運営側が設定を間違えたのだろう
Apple社側の不具合ということにしておけば責任は問われないと考えた上での発表ではないことを祈ろう

まずこの時点で、アプリ公開が「6月14日12時」の予定だったということをユーザーは初めて知った
誤公開の影響で予定は変更され、6月14日18時にリリースすることとし、同時刻にキャンペーンを開始することを発表した
前日にログインしたものは全て無効とのことである
これは前日に先着でログインしていたユーザーへの契約違反ではないだろうか
なぜなら、運営側は「6月14日に公開予定であり、キャンペーンは公開と同時に行なう」と宣言していたからである
あくまでも14日は「予定」であったから、13日に公開されてもユーザー側は納得するしかなかった
しかし、キャンペーンについては公開と同時と約束されていたので、これを無効としたのは明らかに契約違反である
ある意味、集団訴訟されかねない事案であると思えるし、ユーザーの信頼を大きく裏切った行為と思える

なお、Twitterでの各ユーザーの当選投稿を拝見するに、公開後1分以内に777人に到達してしまっていたらしい

先着キャンペーンの是非について考察

このような混乱が起きるのではないかということと、先着順だと不公平感が強まるのではないかというのは事前に予測できていた
しかしこれを強行した運営側の意図がよく分からない
社内で反対する人はいなかったのだろうか

特に7年間というのはかなり大きいハンデと思える
もちろん当選したユーザーはずいぶん得をしたと思えるだろう
しかし当選しなかったユーザーはどうか
今後7年間、損をしたという感覚に陥らないだろうか
そしてもうnanaは辞めようかなという気分にならないだろうか
少なくとも自分はそう思っている
今後プレミアム会員になることは、損をしている感覚であり、負けを認めたような気分になる
わざわざお金を払ってまで使う理由が全く感じられなくなる

Android版ユーザーの不満と不安

なお、これはキャンペーンに外れてしまった(先着を逃してしまった)ユーザーのみならず、Android版ユーザーや新規ユーザーにも言えることだろう
特にAndroid版はiOS版と比較して不便な仕様を強いられてきた
iOS版がステレオ録音に3年前に対応したものの、未だにAndroid版はモノラル録音のままである
Android版もステレオ対応しますと運営側から説明されて3年も手つかずのままだったのである
この時点で信用できていない

さらに今回もまたiOS版のみの対応であり、キャンペーンもiOSユーザーにしか参加できないものだった
これはAndroid版が完成するまで、Androidユーザーはプレミアム会員費を無駄に払う可能性があるということを示している
iOS版と同じ料金にもかかわらず、すでに3年間も劣った仕様に対してお金を出しているのに、さらにそれが続くのである
録音に関しては90秒までしか録音できない日々が続くので、新nana対応の作品に対してコラボはほぼ不可能である
これは明らかに不公平ではないか
Androidユーザーの心が離れていく様子が手に取るように分かる

なお、筆者もメインはAndroidであり、普段iOSはnanaの録音時ぐらいしか使っていない
今までしょうがなくiOSを使ってきたユーザーである
プレミアム会員もAndroidとiOSでは共通化されておらず、IDは共通で入れるのに、プレミアム会員の適用は別々なので、両方でお金を払うしかないという変な環境なのである
これに関しても、次期nanaでは改善してほしいと思っていたが、実際はどうなのだろうか
不安ばかりが残る

nanaの運営について

早急な対応を

nanaの運営は基本無口であり、対応が遅い
何かトラブルがあっても即座に発表することがほぼなく、大体が事後報告みたいな形になることが多い
通常の会社であれば、不具合が見つかった場合はすぐに「現在対応中です」などのメッセージをユーザーに対して発信する
そして不具合を修復したときも報告する
その基本的なことが行なわれていない

Twitterに頼りすぎ

さらにまずいのは、公式発表がTwitterであることが多いことである
運営はユーザー全員がTwitterをやっていてフォローしているとでも思っているのだろうか
そういうのはアプリ側で発信すべきである
もちろんサーバートラブルでアプリ自体起動できなければTwitterという手段は有効であるが、そうでない場合はアプリや公式サイトで報告すべきことであろう
なお、noteにもnana boxというものがあるのだが、そちらもこっそり重要なことが書かれている

ユーザーの意見を聞こう

今回の開発に関しても、ユーザーの意見をほぼ聞いていないことが確実である
あれだけ意見を集めたのにもかかわらず、実現していないことが多すぎる
なんのための意見聴取だったのだろう
Twitterで多くのユーザーが機能について要望していることは間違いなく目にしているはずである
公式ハッシュタグを自ら使ってくれと公言しているから、それを見ていないはずはないだろう
見てみないふりは一番いけない
ユーザーの信頼を損なう

利益追求はいいがこれはSNSアプリである

他の件でも、企業であるから利益追求するのが当然であるので分かるが、nana出身アーティストとかを育てようとする動きばかりが見えて、一般ユーザーを置いてきぼりにしているのが散見される
歌がうまい人、若い人、クオリティの高い伴奏を作る人、アーティスト志向の人をとにかく推奨する動きは、SNSアプリとしてどうなのだろうか
ランキングの仕組みや、お勧め投稿の判断基準も気になる
歌や伴奏のレベルはみんな違うものの、一人で歌ったり、コラボしたり、ライブ配信したりしてコミュニケーションを楽しんでいる
にもかかわらず、nanaとしてはそういう人たちは特に気にせず、会社の利益になりそうな人をプッシュしている
下手な人はほぼ相手にされない
他の歌系アプリでもその傾向はあるが、特にnanaはその傾向が強いように思える

ギフト制度や応援制度もそう
利益のため当然考えそうな仕組みであるが、ユーザーの立場になって考えてほしい
ギフトを貰えなかった人、応援されていない人はどういう気分になるか
また、ギフトを送られたら返さないといけないという義務感
しかしお金がない(払いたくない)ので返せない心苦しさ
つまり、それらは全く無用であり、むしろ害であると思える

個人的には拍爆(拍手をいっぱいして通知が大量に来るアレ)も不要である
通知が大量に来て嬉しいと思ったら一人で大量に拍手していただけだったというがっかりなことが結構ある
気持ちは嬉しいが、大量の通知から目的のものを探しだすのに苦労するので、あれは無効にするか、通知カウントは1にして「拍手×5」みたいな表記にしてほしい

nana自体に魅力を感じているユーザーは多いが、nanaの運営方法に共感する人は多くないはずである
それはユーザーが普段感じていることを運営側が感じ取らないのを繰り返してきたからである
nanaはSNSアプリだということを忘れてはならない
新人発掘アプリにしたいわけではなかろう

キャンペーンに関する今後の対応(至急)

今回のキャンペーンについて言いたい
先着777人の7年間プレミアム会員無料特典について、見直しを行なうこと
もちろん当選した方々はそれなりの努力をしたのだから有効であるべき
しかしながら、前日に努力した人たちを無効にするのは明らかにおかしい

また、Android版ユーザーに対して不公平である
キャンペーンに参加できたのはiOS版ユーザーだけで、ただでさえ虐げられている感覚のAndroid版ユーザーは怒り心頭どころか呆れていることだろう

つまり、iOS版、Android版共々、追加で当選者を出すべきである
そうでないとわだかまりは収まらないのではないだろうか
今回の件でユーザー離れが加速することは目に見えている
ユーザーを増やす目的でやったのかもしれないが、完全に裏目に出ている
すぐにでも対応策を考えた方がいいだろう

そして真摯な対応を

そして、今後は真摯に対応すべきであると思う
どうも公式Twitterや社長の発言を見ると、悪気があってやっているようには思えず、ユーザーの気持ちをうまく理解できていないのではないかと思えた
何か感覚が違うのだろうか
もっとユーザーと真摯に向き合って、よりよいアプリと会社にしてもらいたい

ぜひ今後はユーザーの意見を尊重し、迅速に真摯に対応してもらいたい
それができなければ未来はない
自分はnanaが好きであり、素敵な人たちにたくさん出会えたことに感謝している
この火を消さないようにぜひ運営のみなさまにはがんばってほしい

参考リンク

音楽コラボアプリ nana 公式サイト

公式Twitter

あたらしいnana(iOS版)リリースについて(公式ブログより)

「#あたらしいnana」のツイート

https://twitter.com/search?q=%23%E3%81%82%E3%81%9F%E3%82%89%E3%81%97%E3%81%84nana&f=live


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