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読書びより

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2022年6月の記事一覧

森鷗外の『青年』ってどんな小説?鷗外ってどんな人?

 森鷗外の『青年』ってどんな内容の小説なのでしょうか。  新潮文庫版の『青年』のカバー裏に紹介文が載っています。 作家を志して上京した青年小泉純一は、有名な作家を訪ねたり、医科大学生大村に啓発されたりして日々を過ごす一方、劇場で知り合った謎の目をもつ坂井未亡人とも交渉を重ねる。 「謎の目をもつ」って興味がそそられますね。 しかし、夫人を追ってきた箱根で、夫人が美しい肉体の塊に過ぎないと感じた時純一は、今こそ何か書けそうな気がしてくるのだつた。 「今こそ何か書けそう」

内田百閒著『第一阿房列車』の「標幟」(ひょうし)について。

『第一阿房列車』を読んでいて【標幟】という知らない言葉が出てきたので調べました。字面で見当は付くのですが……  本書第二話「区間阿房列車」は国府津、御殿場線、沼津、由比、興津、静岡をめぐる旅。  といっても特に目的のない旅です。これは第一話「特別阿房列車」と同じです。東京大阪間の往復でしたが、大阪が目的地というわけではありませんでした。行って帰るだけ。  百閒さんの旅。強いて言えば目的は、◯時◯分の列車。その列車に乗ること。列車の勇姿を愛でること。鉄道のあれやこれやを楽