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読書びより

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2021年9月の記事一覧

《三銃士》第26章 「アラミスの論文」より

人生を幸福に導いている糸はどんな糸でも、もしそれが黄金の糸ならばなおのこと、握っている手の中でつぎつぎに切れていく。 と、三銃士の一人、アラミスが主人公のダルタニァンに悲しみの心中を吐露する。 悩みがあったら、そっとそれを隠しておくことだ。沈黙は、不幸の唯一の喜びっていうわけさ。 さらに思い余ってか、隠遁と自壊の淵をさまよい歩く傷を負った敗残の狼といった風情だ。 ところが、である。 ありがとう、きみ。もう幸福で、息がつまりそうだよ! あることをきっかけに、さっきと

「行間」 岡潔の著作を読むなかで

いま、新潮文庫で岡潔(森田真生編)の『数学する人生』という本を読んでいて感じるのですが、文章の行間・余白というものについてです。 なお、岡潔(おかきよし)は、もう亡くなりましたが、世界的業績を残した数学者で、思想家でもありました。 最初にお断りしなければいけないのは、本書はまだ途中まで読んだばかりであり、以下記す内容もいわば一部の印象であることです。 さて、ここで言うのは、見た目の行間や余白ということではなく、いわゆる「行間を読む」ということで、表現上のことです。含蓄な