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津久井やまゆり園事件について思うこと

事件の概要


2016年7月26日未明、津久井やまゆり園(知的障害者施設)において、刃物を用いて入所者19名を殺害、入所者、職員26名に重軽傷を負わせるという、前代未聞の大量殺戮事件が起きました。犯人は、元職員の植松聖(事件当時26歳)で、優生思想に基づく事件であるとされています。


犯人の植松聖

犯行の時系列


午前2時頃

 裏口から敷地内に侵入して、ハンマーで入居者東居住棟1階の窓ガラスを割り、そこから施設内に侵入

職員を結束バンドで縛り、犯行を開始する。
西棟2階の担当職員が、異変を察して部屋にこもり、そのまま出てこないことから、警察に通報されることを恐れて逃走

事件に気づいた施設の当直職員が、非番の男性職員にLINEを使って「すぐ来て。やばい」と連絡を取り、連絡を受けた男性職員が電話で確認のうえ警察に通報

午前2時38分

 神奈川県警察、相模原市消防局に、「刃物を持った男が暴れているとの通報が入る」

午前3時過ぎ

津久井警察署に、植松聖が出頭。「私がやりました」と述べる

午前四時半前

死亡した19歳の女性入所者への殺人未遂、建造物侵入容疑で緊急逮捕

問われた罪

殺人罪        男女19名に対する殺害容疑
殺人未遂罪      入所者男女24名を刃物で刺して重軽傷を負わせた
逮捕・監禁罪     職員3人を逮捕・監禁した
逮捕・監禁致傷罪   別の職員3人を逮捕・監禁して負傷させた
建造物侵入罪     
銃刀法違反

刑事裁判

2017年2月24日  横浜地方裁判所に起訴
2017年9月28日  第一回公判前整理手続
2019年4月24日  4月22日付で、初公判期日を2020年1月8日と指定
2020年1月8日  初公判
2020年1月10日  第2回公判
2020年2月17日  第15回公判 論告求刑が行われ、死刑が求刑
2020年2月19日  第16回公判 結審
2020年3月16日  判決公判 死刑判決
2020年3月27日  弁護団が控訴
2020年3月30日  本人が控訴取り下げ
2020年3月31日  0時に死刑確定
2020年4月7日  横浜拘置支所から東京拘置所へ移送

これはただの優生思想の事件なのか?

この事件は、優生思想に取りつかれた異常な男の暴走として片付けられていますが、そうなのでしょうか?普通に働いていた職員が、ある時期を境に障害者の殺害を肯定するようになった不可解な事件です。刃物で19名を殺害し、26名に重軽傷を負わせましたが、刃物でこの数は異常です。強い信念があったはずです。

犯行に至るまでの精神状態や出来事がしっかりと検証され、調査・研究されていない。

思想に目覚めるきっかけとなったのは、施設内で行われた入所者の葬儀での、ある入所者の一言が原因だったそうですが、これはきっかけであって、その前から色々とあったはずです。施設内では、人手不足からの、安易な身体拘束が横行していたとも言われ、入所者の待遇に問題もあったと言われています。しかし、心理状態の変化などの調査が、ほとんど行われておらず、事件に至るまでの心理状態はほとんど明らかにされていません。

福祉施設内で多発する事件

大口病院事件も、いわゆる看取りの病院で、福祉施設に近い病院ですが、そこでも大量殺人がありました。川崎老人ホーム連続殺人事件でも、三名の被害者が出ました。他にも、入所者への窃盗や暴力などで、定期的に逮捕者が出ています。また、入所者による職員への暴力も多発しているようです。

離職率の異常な高さ

介護職は、離職率が高いことで知られ、植松死刑囚も、転職を考えていたそうです。やはり、精神的、肉体的に疲労するのが原因ではないでしょうか。

社会の落伍者の行き着く先としての福祉施設

植松死刑囚、教員を目指すもかなわず、薬物使用などの荒れた生活を経てブラック企業勤務となり、そこを辞めてこの職場に辿り着いたそうです。福祉施設が、社会の落伍者の辿り着く先のようになっています。オウムの菊池直子も介護職でしたが、問題のある人物が集まりやすくなっているという面もあると考えられます。

まとめ

この問題、介護の現場の問題点が最悪の形で爆発した可能性があり、様々な調査、研究が必要な事件の可能性が高いです。しかし、政府はそのことに向き合わず、異常者の暴走と優生思想の問題として片付けようとしています。このままでは、また、似たような事件が続くでしょう。



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