長靴の中の宇宙

玄関先の長靴の中に
真っ暗闇の宇宙

覗き込めば
煌めく無数の星

埃のような太陽の周りに
命の星がゆっくり回って

その星の上では
ミクロの人類が

壁画を描いて
火を囲んで踊っている

泣いたり
笑ったり

論争したり
殴り合ったり

愛し合ったり
殺し合ったり

それでもまた
光の珠をきらきら回して
踊り狂う国もある

戦いは止まず
街は滅びゆき

草が生えて
荒野になる

雨の日がやってきて
僕は長靴を履かなければならない

裸足の裏で
宇宙はぎゅうっと圧し潰されて

世界は・・・・終わってしまった

むずがゆい踵で
どすんどすんと街を歩く

夕暮れ

歩き疲れて
ふと見上げれば

空の彼方
雲の隙間から
巨大な眸が
覗いているではないか

僕らは首をかしげて見つめ合う

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