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この世に投げ返されて (8)~臨死体験と生きていることの奇跡~

 前節では、私の臨死体験を浄土教の言説と照応してみました。
 ふたつの点にまとめると、

1.浄土の荘厳(しつらえ)を究極の一句にまとめるとただただ「清浄」である。

2.阿弥陀仏とは人格神のようなものではなく、「尽十方無碍光」である。

 その二点がとても重要です。

 それは第五節の終わりに私があえて散文でまとめた説明にもきれいに一致すると感じます。

 そこにはただただ広大な宇宙が広がり、無数の星々が集(すだ)いました。それは完全に透明で静かな「永遠の今」でした。→ 「清浄」
何ものにも碍(さま)たげられることのない覚醒が宇宙の隅々まで行き渡っていました。その覚醒はすべてのものに沁みわたり、貫き、透き通っていました。→ 「尽十方無碍光」

「清浄」は浄土の性質をやや静的にとらえたものといえます。「尽十方無碍光」はその透明な覚醒(智慧と大悲)が、常にひたひたと何の碍(さま)たげもなくすべてに染み渡っていく動的な側面を捉えているといえます。

ここで光というものの性質について、少し付け加えておきたいことがあります。
光は物質と、非物質(空?)の境界線上にある不可思議な存在=非存在です。
この世のすべての存在は、実は光がある種の方程式に基づいて物質性へと固着したものといえます。
全存在は物質でもあり、同時にエネルギーでもあります。
アインシュタインが発見した「エネルギー、物質、光の関係性」は、E=MC(2乗)という方程式で表現されているのは多くの人々の知るところです。
日本語に置き換えると、エネルギー=物質の質量×光速の2乗という法則がこの時空を貫いています。
すべての物質は実はエネルギーが固着したものであり、それがエネルギーに戻るときには、質量×光速の2乗という莫大なエネルギーを放つのです。
 ウランなどの物質は核分裂によってそのエネルギーへの還元が起こりやすい特別な鉱物です。
そのような鉱物や核分裂を引き起こす方法が発見されることによって、それは原子力の根本原理ともなりました。
この発見自体は存在の秘密の鍵を開ける科学のひとつでした。
が、悪用されると膨大なエネルギーで、一瞬にして都市を壊滅させられます。
その悪用への抗議については本書の守備範囲ではありません。が、「平和利用」の名のもとに全地球を放射能の危機にさらしている原子力発電の問題も含め、非常に大切なテーマです。

ここではとにかく「光」というものが、空なるものの放つエネルギーを物質的な存在へと固着させていく際の、最も重要な鍵となっていることを押さえたいと思います。
そのようにして成り立っているのが、時間と空間の中での物質的存在であることを確認したいと思います。
時空の中にあるすべての物質的存在は、エネルギーが光という媒体に基づいて、方程式によって固着したものといえるのです。

それを「エネルギーとしての実相」で観るためには、実際に核分裂を起こし、閃光とエネルギーを解き放つことが必ずしも必要というわけではありません。

 私たちは深い瞑想体験や、また臨死体験によって、「時空とそこに存在するかのごとく仮想される物質」は「空なる世界に遊ぶエネルギー」でもあるという世界を目の当たりに知ることができます。
 私はそのような色即是空空即是色の光景を、若いころから瞑想などによって垣間見てきました。
そしてその光景は、臨死体験によって最終的に透徹した視野となりました。

それ以後、そのような光景を私はどのように表現したらよいのか、常に探求してきました。
 あるとき、私はインドの楽器シタールの基本的なコードDを中心にしたロックンロールでそれを表現することを試みました。
CDにも収録し、ライブ映像などもYOUTUBEにアップしていますが、この紙面では歌詞のみ紹介してみたいと思います。

海辺の万華鏡  作詞・作曲 ひかる 2021年

指の先から零れる光の粒子
虹の羽を広げる無数の蝶に変化(へんげ)

眩しい空に広がる

波打ち際で振り向く君の笑顔
水平線の向こうが眸にハレーション

砂浜に倒れて空飛ぶ

僕の頭が吹っ飛んだ
君の頭が吹っ飛んだ
すべての垣根吹っ飛んだ
月も太陽も吹っ飛んだ

踊れ宇宙を貫いて
踊れすべてを貫いて
君の秘密を貫いて
踊れすべてを貫いて

やがて燃え尽きるこの命
やがて燃え尽きるこの太陽
砕けて舞い踊る銀河の吹雪


時空の尽き果てる今ここ

僕の頭が吹っ飛んだ
君の頭が吹っ飛んだ
すべての垣根吹っ飛んだ
月も太陽も吹っ飛んだ

踊れ宇宙を貫いて
踊れすべてを貫いて
君の秘密を貫いて
踊れすべてを貫いて

やがて萌えいづる命の息吹
やがて萌えあがる新しい太陽
砕けて舞い踊る銀河の吹雪

時空の花開く今ここ
時空の花開く今ここ


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