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長澤靖浩
2021年1月4日 03:14
<作品集『黎明・複葉機物語』より>鉛色の冬の出米事 長澤靖浩 17歳(初出『大阪府立長尾高校紀要第4号』1978年) 第一章 時々、わけもなく苦しくなったんだ。何故なのかは自分でも分析しきれない。ぼくは精神病なのかもしれなかった。あるいは苦しみの見えない奴らの方こそちょっとおかしいのかもしれなかった。しかし、多い方を正常と定義するならば、ぼくは異常だった。ぼくの精神は何だかわ