仏教余話

その162
次に我々は、ヨーガとは、また異なった別なインド思想と漱石との関わりを見ていこう。これも、かなり難物である。それを通じて、仏教の根本思想である「無我」を、違った視点から眺めることが出来るのである。そこに入る前に、やや特殊な分野について、述べておきたい。大分以前に玄奘三蔵にも、若干、触れた。恐らく、玄奘こそが、中国や日本の「仏教論理学」の火付け役である。私としては、常に、インド仏教における「仏教論理学」を見据えて、色々な論を展開しているのだが、この「仏教論理学」なるものは、中国や日本では、インド的な発展とは、別な道を歩んだ。1種特殊な学問といえよう。あくまでも日陰の花という印象が強いのではあるが、仏教学中の話題としては、面白い面もある。まず、先にもディグナーガ絡みで少し触れたが、至極特異なこの分野のことを述べてから、続きの話をしたい。
  

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