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アメリカ(外国)で生きるということ

先日、佐久間裕美子さんがゲストの「note creator meetup」に行ってきた。

実は佐久間さんのことは全く存じ上げなかったのだが、テーマが面白そうだったのと、noteを運営するPOCの加藤さんが登壇されることに興味を惹かれて参加した。そしたら当日会場で「佐久間さんのファンの方?」という問いかけに何人も挙手されていたので、あっ私が来ちゃって良かったのかな、とちょっと焦った。

けれどトークが始まったら、日本の大学生活に馴染めず留学したのをきっかけにアメリカでの仕事や生活につながっていく……という話がとても面白く、これは来て良かったと思った。また佐久間さんと加藤さんはともに1973年生まれで、私も年が近いため、佐久間さんが歩んできた時代のこと(あの頃ネットはなかったとか、911のこととか)は分かるので、それも含めて面白かった。

なかでも印象に残ったのは、このイベント前日にあったイチローの引退会見で「アメリカに来て外国人になった」とイチローが発言したことについて、「言ってくれてありがとうと思った」という話。それと「Vice」というメディアを作った人物が極右化してしまったという話。

イチローの発言というのは、おそらくこの部分だろうと思う。

アメリカに来て、メジャーリーグに来て、外国人になったこと、アメリカでは僕は外国人ですから。このことは、外国人になったことで人の心を慮ったり、人の痛みを想像したり、今までなかった自分が現れたんですよね。この体験というのは、本を読んだり、情報を取ることができたとしても、体験しないと自分の中からは生まれないので。
孤独を感じて苦しんだこと、多々ありました。ありましたけど、その体験は未来の自分にとって大きな支えになるんだろうと今は思います。だから、つらいこと、しんどいことから逃げたいというのは当然のことなんですけど、でもエネルギーのある元気のある時にそれに立ち向かっていく。そのことはすごく人として重要なことではないかと感じています。
(AERA dot.の「イチロー引退【会見全文・後編】」より)

極右化やヘイトについては、このイベントの数日前に同僚や元同僚と「アメリカの大統領もだけどヨーロッパも、というか世界的に右傾化してるよね」なんて話をしたばかりだったので、タイムリーだなと思って聞いていた。日本にいてさえ気になるのだから、実際に海外で暮らして仕事をしている人はもっと思うところがあるだろう。

私自身は外国で暮らしたこともなければ、民族主義的なヘイトを向けられたこともないけれど、最近ずっと調べている曽祖父のことを連想せずにいられなかった。曽祖父のいたカリフォルニアと佐久間さんのいるニューヨーク、100年前と現代のアメリカでは状況も全く違うだろうし、いち庶民の曽祖父とイチローのような大物ではスケールが違うけど、曽祖父も異国の地で孤独を感じたり逃げたいと感じたりするようなことがあったかもしれないな……と思った。

そして歴史は繰り返すのだとも、つくづく思った。同僚たちと話したときもちょっと頭をよぎったのだけど、明治時代〜戦前のアメリカにいた日本人移民はだんだん疎まれていき排日運動に遭い、土地所有を禁止され、帰化もできずアメリカ生まれの子供の市民権も制限され……やがて第二次世界大戦が起きて強制収容所へ、という歴史を辿っている。現在のアメリカでそこまでの排斥はないかもしれないと思いたいが、トランプ政権下で移民に対する制限はすでに始まっているわけだし、今後どうなるかは分からない。各国で起きている右傾化、ヘイト、ナショナリズムの先にあるものは……。

なんだかイベントの趣旨とはだいぶ離れてしまったけど、まあそんなことを考えた。


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