世界中が誰もかも 偉い奴に思えてきて
とは、中島みゆき『蕎麦屋』の歌詞である。
この後『まるで自分ひとりだけが いらないような気がする時』と続く。
その時、主人公は「おまえ」から電話を受ける。彼か彼女か、わからないけれどとにかく「おまえ」は主人公を『蕎麦でも食わないか』と誘う。
蕎麦を食べていると「あいつ」は『あのね、分かんない奴もいるさ』と主人公に語りかける。突然の言葉に、主人公は『泣きたく』なる。
これほど鮮明に描かれているのだから「世界中が誰もかも偉い奴に思える」感覚というのは、とても普遍的な、よくあるものなのだろう。孤独は、ひとりきりだからこそ絶望が深いのだが、この世にまったくひとつだけの孤独というのは、たぶんありはしない。歌や、物語はそれを教えてくれる。救わなくとも、慰めにはなる。
せつない時は、誰かに会うのがいい。あるいは、会えるような人を見つけに出掛けるのがいい。見つけられなくても、やっぱり出掛ける方がいい。
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