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不登校生の勉強のコツ

お子さんが不登校になったことで
勉強面の心配をされる方は多いと思います。

ぜんぜん勉強をしていないけど、このままでいいのか、とか
やっているけど身についていない、どうすればいいのだろう、とか
学校の勉強から遅れてしまうけど取り返せるのか、とか
そのようなご相談は多いです。

そこで今回は
お子さんが不登校で、かつ勉強が全然はかどっていない
そのようなケースでの「勉強のコツ」について。

本来、
その子に合った勉強方法は無数にあります。
科目や内容や進捗、理解度、によってもずいぶんと変わってきます。

勉強がはかどる子、すでに気持ちが回復している子は、
YouTubeなどでも多くの勉強方法の動画が紹介されていますので、
自分に合ったもので勉強を頑張るのが望ましいと思いますが、

今回は「不登校で勉強がはかどらない」状態の
多くの子に共通したコツをお伝えします。

ちなみにボクは「コツ」という言葉が好きではありません。
どうしても「短い期間で、楽をして」といったイメージがあり
子どもの気持ちという複雑なものに対峙するには、
適切でないと考えているので、あまり使わないです。

ただ便宜上、今回は使います。
不登校生で、勉強が全然はかどらない、そんなときの「コツ」をいくつか。

「前提となる考え方」

勉強をするためには土台、ベースが必要です。
たとえば建物には必ず基礎、土台があります。それがあって初めて、家やビルを建てることができます。
そのようなイメージで、勉強をやるにも必ず土台が必要です。

その勉強の土台は言葉にすると
興味、関心、好奇心といったものになります。

「これはなんだろう」
「どうしてこうなるんだろう」
「もっと知りたいな」といったものが
子どもの内面にあることが、勉強をする上で必要な土台となります。

これは全ての子がもともと持っているものです。
赤ちゃんのころや、今よりももっと小さかった頃から、
確実に持っているものです。

勉強のことに限らず、
「どっちのオモチャが楽しいかな」とか
「なんで今日のカレーは美味しいんだろう」とか
あらゆる場面で興味・関心・好奇心は育まれていきます。

この興味・関心・好奇心があって
はじめて勉強というものに着手できる状態になります。

勉強がめちゃくちゃ面白くなる、という意味ではなく
今よりもはかどるようにするため、まずは興味・関心・好奇心の土台は必要です。

不登校生の場合ですと
「ウチの子は興味などなさそう」という方は多いと思います。

それは
興味・関心・好奇心が「ない」のではなく
本来はあるはずなのにフタをされている、というイメージが正確です。

ではなぜフタをされているのか。

その原因は
大きなストレスやプレッシャー、
あるいは傷ついた出来事、などによることが多いです。

勉強についての、興味・関心・好奇心がフタをされてしまうケースとして
わかりやすい例は「やらされる勉強」です。
本来は、子どもの内面から出て育まれるはずのものが、
あれこれと「やらされる勉強」が習慣づくことでフタをされてしまっていることは多いです。

また受験のストレスやプレッシャーが過度にかかっていた場合や
志望校に合格できなかった挫折感とか
あるいは模試や受験の結果に対する周りの反応が深い傷になっている子も少なくありません。

もちろんこれらは一例で、
勉強に関係のないストレスや出来事のこともあったりと原因は様々です。

いずれにしても、不登校になった子は、
本来、持ち合わせている興味・関心・好奇心に
フタをされている状態のことが多いですので、
まずはそのフタを少し開けて、
興味・関心・好奇心あるいは自信といったものを
出てきやすくしてあげることが大切になってきます。

この前提は勉強面に限らず、
これから成長していく上で大切なことですので、
勉強を通して気持ちの回復を図るためにも、頭に入れておいていただきたいと思います。

勉強がはかどらない不登校生のためのコツ

先にお伝えしましたように、自分に合ったやり方は様々です。
気持ちが回復して元気になってきたら、あらゆる勉強法を試したり、頑張ってみるといいでしょう。

ただ、今回は
不登校生で、勉強がはかどらない、
気持ちはまだ回復している途中段階、
そうした子の多くに試していただきたいコツを
2つだけ挙げてみます。

①好きな科目だけをやる

好きな科目、あるいは、できそうな科目、できる内容

そればかりをやる、という方法です

親という立場ですと
どうしても「できないこと」に目が行きがちです

塾に通わせるのも「苦手科目の克服」が目的になることは多く
「できること」には、なかなか目が向かないものです

仮に、小さい頃から
「できないこと」ばかりを指摘されたり、直そうとされたりしすぎると
子どもの興味・関心・好奇心にフタがされている可能性はあります

いわゆる発達障害の診断を受けた子にも多いのですが
特性そのものよりも、できないことばかり注目されてきたことがストレスとなり
心の面に大きな影響を与えることがあります。

興味・関心・好奇心にフタをされていて、
土台が弱い状態ですと、当然、勉強面にも影響しますので、
頑張ろうと思っても、なかなかはかどらない、という現象が続いてしまいます。

「できないこと」をなんとかするのではなく
いったん「できること」をどんどんやって
まずはフタを少し開けてあげることが、
勉強面の興味や関心につながっていきます。

もし好きな科目、できそうな内容があれば
それだけやっていればOK、というスタンスにしてみましょう。
できない科目はタッチしなくても構いません。

学力をつけることも大事ですが、
まずは心にあるフタを少し開けてあげる意識を優先して
好きな科目だけでOK、というやり方にしてみて下さい。

期間は個人差が大きいですが、
中学生くらいなら3ヶ月〜6ヶ月、小学生なら1年くらいは、
もう好きな科目だけでいいよ、というスタンスで接してあげて良いかと思います。

ではコツの2つ目

②目標や計画を立てない

これは、
ストレスやプレッシャーによって
興味・関心・好奇心にフタをされてしまっている子には
ぜひ取り入れてみて欲しい方法になります。

多くの大人は
勉強のために目標を立てることが一般的です。

まず目標を立てて、
そして、目標達成のためにどうすればいいか、と
そこから逆算して計画を立てて
そして「1日○ページ」などと勉強を進めようとします。

その方法は
気持ちが回復して、興味・関心・好奇心がむくむくと出てきてから実行して下さい。

フタをされている状態、心にケガをしているような状態、なかなか勉強がはかどらない子には
その「目標」「計画」そのものがストレスやプレッシャーになります。

もともとストレスやプレッシャーを抱えているのに
そこへさらなるストレスやプレッシャーがかかることは
興味・関心・好奇心のフタをさらに閉じてしまうことになりかねません。

また、計画通りにいかなかったり
目標までの道のりを遠く感じたりして、無駄に落ちこむこと可能性もあります。

計画通りに行かなかったからと、また計画を立て直して、
そしてさらにストレスがかかる、こうなっては悪循環です。

今よりも元気になってきたら、
ストレスやプレッシャーがかかっても構いませんし、
むしろボクは、成長のために一定のストレスやプレッシャーは必要だと思っています。

しかし、はかどらない状態では逆効果です。

いったん目標や計画は無しにして、
やれるときはやる、やれないときはやらない、
やれそうならいっぱいやる、やれないときは1問だけでもOK、やらなくてもOK
というくらい、勉強についての目標や計画を立てない時期を過ごさせてあげて下さい。

元気になってきて、
興味・関心・好奇心のフタが開いてきたら、
目標や計画を立てて頑張れば、勉強は後からいくらでもやることができます。
今は、
フタを少し開けるために、目標や計画といったストレスを取り払ってあげてましょう。

タイプ別のコツ

最後に、大きくタイプを2つに分けてコツを1つずつ。

「以前は勉強ができていたが、今は全くはかどらないタイプ」

たとえば、小学生の頃は何の問題もなかったのに、
いまは勉強をしようと思っても全くはかどらない中学生、といった場合ですね。

コツを1つだけお伝えします、それは

○勉強から離れて、勉強のことを考えない生活を送ること

です。

このタイプの場合は、
先にお伝えした興味・関心・好奇心が
完全にフタをされている状態の可能性が高いです。

フタを開けるため大切なのは、
ストレスを減らすことと、もうひとつ、一定の時間が必要です。

はかどらない勉強をいくらさせても、逆効果ですので
ここは気持ちの回復に務めて、勉強は一切やらない生活を過ごしてみて下さい。

リラックスした時間が増えて、ストレスが減ってくれば、
興味・関心・好奇心のフタが必ず少し開くときがきますので、
そこまでは「もう何も勉強しなくていい」と
親であるみなさんも決めてしまって下さい。

では、
もうひとつ別のタイプとして

「もともと学校の勉強がはかどらないタイプ」

今だけではなく、以前から勉強面では課題があったり、はかどらなかったという場合ですね。

この場合のコツは

○今までと全く違う勉強方法に変えること

です。

いわゆる発達障害、学習障害と診断をされたり
あるいはそれに近い状態である子に多いタイプです。

そうした場合、
勉強自体ができる・できないよりも
実は「やり方」が合わない、ということは少なくありません。

うちの子は発達障害だからもっと努力させなきゃ、ではなく
「学校の勉強」というやり方が合わないだけかもしれない、と思ってみて下さい。

これまでのやり方で「もっと努力」をではなく
これまでとは全く違う方法での学習を試してあげて欲しいと思います。

たとえば
漢字の書き取りを一切やめて音読ばかりにしたら国語に興味を持った子もいますし、
学年や科目も考えずに、百科事典での学習にしたらみるみるはかどった子もいます。

発達障害の子の場合、もちろんその特性はあるにせよ、それ以前に
やり方や環境によって、単に自信をなくしていただけ、ということもあります。

大人の常識ややり方にとらわれず「全く違う勉強方法」は試してみて下さい。


タイプ別に1つずつお伝えした2つのコツ

・勉強をさせない
・全く違う方法に変える

これらは、
どちらも親としてすごく勇気がいるかもしれません。

しかし、
「どうせ今のままでは勉強がはかどらないんだから」と
思い切って、気持ちを転換していただくことをおすすめします。


というわけで今回は
「勉強のコツ」についてお伝えしました。

まずは
「前提となる考え方」として
勉強には興味・関心・好奇心が必要で、
それは全ての子どもが持っているということ。
そこにフタをされている状態であれば、
まずそのフタを少し開けてあげることを優先して下さい。

その上で、コツとしては
・好きな科目だけやる
・目標や計画を立てない

そしてタイプ別に
・勉強しない生活にする
・全く違う方法にする

といった、内容でした。

子どもが不登校になると、親として勉強面のお悩みは尽きないかと思いますが、
悩めば悩むほど、はかどらないこともあります。
気持ちが回復すれば、着手できる状態になりますので、
勉強のことばかり考えずに過ごしてみて下さい。

といったことを話している動画です↑

最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。


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