僕たちの酒vol.5

2018-2019年の醸造最後はvol.5です。
この醸造期最後はスパークリングに挑戦しました。

正確には
古代米×スパークリングです。

古代米とはその言葉の通り、古代から存在した野生種の形質を残した米品で、赤米や黒米、紫黒米、緑米などのように色素を含んだ米品種が代表的。

古代米を使った清酒は既に存在をしていて、古代米を清酒に使う主な要素は

色付け


つまり、特に着色剤などを使わずに酒自体に色をつける天然色素として使うケースが一般的です。そもそも着色剤を使った時点で清酒とは名乗れなくはなります。

当社では紫黒米を使用して、ピンク色を付けられればと思い使用しました。紫黒米などの古代米を色素として利用する場合はお米は磨いて使えません。この色素は米の外側についているので通常清酒で行う精米を行ってしまうと、ただの餅米となってしまいます。

つまり玄米を使用することになります。
しかりただ闇雲に古代米をたくさん使用すればいいということはなく、玄米を酒造りに使用するとデメリットも発生してきます。

<<酒造りで玄米を使用するデメリット>>
①玄米にはタンパク質や脂質、灰分などが多く含まれており、酵母の繁殖が盛んになりすぎて発酵管理が難しい

②玄米に多く含まれるタンパク質は雑味の原因となる
③玄米に多く含まれる脂質は異臭の原因となる
 →②と③を多く含んだのが糠である。玄米ではこの糠を除去することができない。

つまり玄米を使用すると、糠感が残り、苦味やえぐみ、渋みなどが浮いてしまうのです。しかも発酵管理が難しい。

当社の玄米の使用目的は色素を酒に乗せることなので、①に関しては製造の最後の最後で入れてあげることで、発酵バランスに影響することなく色だけを確保することができるだろうと仮説を立てました。

②,③の糠に関してはどうしようもありません。
既に製造販売している古代米の他社様のお酒をテイスティングすると大体が甘みで苦味、渋みをマスキングするものが多いです。

当社では、あえて玄米の渋みや苦味、えぐみなどを活かしてドライな設計の発泡性スパークリング清酒を目指しました。ただし、やはり味わいのバランスを見ても過度に紫黒米を入れてしまうと、玄米由来の苦味、渋み、えぐみが際立ってしまう為、そこまで多くの紫黒米は使用せず酒造りを行いました。

結果、玄米特有な味わいがドライな味わいの後押しをするようなスパークリング清酒が完成し、味は予想通りの味わいになりました。

味わい、、、、はです。


結果として、玄米の量が少なすぎてしまい、色がほぼつきませんでした。
ドライスパークリングという点では着地はうまくいった僕たちの酒でございました。


また、このお酒は非常にガス圧が高く開けるのがスパークリングワインなどを開け慣れていないと難しく開けづらい点しっかり伝えるべくラベルにしっかりと記載をさせていただきました。

アセット 1-100


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