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【読了】明日の広告 変化した消費者とコミュニケーションする方法

著者:佐藤 尚之氏

さとなおさんの本を読むのは初めて。ということで広告に関しては初の著書となる2007年に出版された本書から読んでみる。13年前だからスマホの登場については触れられていないけど、ネット時代のコミュニケーションの本質が書かれているからいま読んでもまったく色褪せていることはない。

■広告はラブレター。相手を知って口説き文句の精度を高める。
従来の広告コミュニケーションは送ったらOK貰えてた、広告がモテたけれど、ネットが普及してからはそうじゃなくなったよという話。

あと印象深かったのはネットによって生活者も情報発信できることになって、商品と生活者の優位性が変わったこと。すべてがそうではないけれど、それなりに値段がして長く使うもの(家電など)ってだいたい調べたり口コミで比較したりするけれども、購入前はより生活者優位だ。

■メディアをニュートラルに考えてクロスメディアに設計する
これは、メディア・ミックスと呼ばれるようなCMありきで他のメディアを組み合わせて考える、といったものではなくて、コンタクト・ポイントを見極めたうえで部分最適なコミュニケーションを実行するというもの。

認知して購入するまでのプロセスでどういうパスを多く通るかを考えて、それぞれのメディアを出し分けしていく。それを統合的に考える手法。

<ポイント>
・ターゲットの行動を分析してコンタクト・ポイントをすべて抽出
・コンタクト・ポイントがメディアになっていなかれば、メディア化する
・それらすべてをニュートラルに考えて中心メディアを決める
・生活者の導線や相乗効果を考えてクロスメディアに設計
・商品はAIDMAかAISASか
・検索対策(SEOやリスティング)
・口コミ施策の活用(生活者のパートナー化)
・生活者によるコンテンツづくり
・プル型のエンターテインメントのコンテンツ

とくに重要なのが、初動。
伝えてもらいたがっている人のことをリアルに想像すること
「買ってほしい相手」と「買いたがっている相手」は違うこともあるので、そこの見極めが大事。企業側でもちゃんと測れていないことだってある。
買ってほしいメインターゲットの調査はしていても、買いたい人の調査ができていなかったりする。競合商品とその商品とで、購入意向の消費行動を調べて、データを読み解いて、その商品を買いたがっている人を導き出す。
といってもこれは熟練のスト・プラの力が必要。

ちなみに、戦略PRで買いたい人をつくってしまう手法もある
胃が痛くなる原因はピロリ菌にあった!?

ピロリ菌を退治するヨーグルト発売!

■コミュニケーション・デザインとはなにか
伝えてほしがってる人に伝えてあげる。がゴールだとインフォメーションだけ伝えればOK。という考えに陥ってしまうけれど、似たような戦略を取っているとしたら2位が1位を逆転することは不可能だ。相手の心を動かすのはクリエーティブの力だから。

<クリエーティブの手法>
・認知に徹する・・・CMの認知させる力の活用
・プロモーショナルなクリエーティブ・・・アルゼンチンのプロバイダの話
・ありのままの自分を出す・・・欠点は隠してもネットで暴かれる
・買ってくれた人をもてなす・・・買ったらわくわくする
・買ってくれた人に参加してもらう・・・フィードバックをもらって活用

クリエーティブの手法を踏まえたうえで、クライアントを納得させた事例。
予算まるっと預かって企業秘密の収益構造で受けますよ、という提案だったけれども、分かりやすいストーリー仕立てだったので引用。
・広告の課題
店頭に商品があってもCMをスポットで流すだけでは商品が動かない。
・CMで解決できない問題
情報過多・・・情報が多すぎて周囲の情報に注意を払うひとがいない
視聴態度・・・眺めているだけでは記憶に残りにくい
メディア接触・・・人から人へ伝わるコンテンツが感情を揺さぶる
・人の頭の中に入る工夫
代替品もあるなかで差別化して記憶に残すためには、PR、ウェブ、POP、エリア、メディアの重要度と手法が変わってくる。
・解決策
クリエーティブ×コミュニケーション・デザインによって、表現とメディアを同時に考えてトータルでコミュニケーションを設計する。

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