セリエAへの推薦状/Walid Cheddira
セリエAからカタールW杯に参加した選手は68人に及ぶと言います(本当は80数人参加するはずでしたが…?) 。セリエBからもポーランド代表としてグリク(ベネヴェント)、オーストラリア代表としてカラチッチ(ブレシア)が選ばれました。カタールW杯のサプライズ国となったモロッコ代表にもセリエB戦士が存在するのをご存知でしょうか? 現在マッテオ・ブルノーリと共に得点ランキングのトップを争っているワリド・ケッディーラです。今回はこのモロッコ人ストライカーの解説をしようと思います。
経歴
まず読み方について。『シェディラ』と呼んでいる方がいたので、一時期私もシェディラと呼ぶことにしたのですが、実況だとケッディーラと発音していることが多いです。Khediraとはスペルが違うので、差別化をするために『ケディラ』ではなく『ケッディーラ』と表記することにします。
以前にも紹介したロレンツォ・ルッカや、現在ケッディーラと得点王争いをしているブルノーリはCやDからの成り上がってきたストライカーです。彼らは下部カテゴリーで結果を残して、Bに殴り込みにきたわけですが、ケッディーラはそうではありません。
Aに在籍していた時代のパルマが保有権を持っていたものの、アレッツォやレッコといったアマチュアチームで武者修行という形で放出されました。ディヴィジョンだと4部相当ですね。その後は3シーズンもの間、セリエCでプレーをするのですが二桁得点を決めたことはありません。バーリは昨季セリエCのチームでしたが、そのバーリでも先発19試合で7得点と、決してストライカーとして満足のいく数字を残せず。
ジェイミー・ヴァーディーやジュニオール・メッシアス、時を更に遡ればピアチェンツァでセリエA得点王に輝いたダリオ・ヒュブナーもアマチュアからの叩き上げです。しかし、半年前までは3部リーグの控えだった選手が、W杯に出場するまで登り詰めるシンデレラストーリーが他にあるでしょうか?
W杯に選ばれるきっかけとして、今季のバーリでの活躍を除外するわけにはいかないでしょう。セリエBで得点ランキングトップタイの13得点。ゴール関与数は単独トップの18です。
プレースタイル
複数人に囲まれようとも強引に突破する突破力を武器にゴール前へと迫ります。エヴァートン時代のルカクほどの理不尽さがあるとは思いませんが、16-17のベロッティのようなイメージでしょうか。闘争心剥き出しで運ぶ姿は迫力満点です。フィジカルとスピードはBでは敵無し。充分にセリエAで通用する水準になると思います。
これはバーリの戦術にもハマっていて、今季のバーリは失点を恐れずにゴール前に多くの人数を掛けて攻め込むサッカーが特徴的です。ケッディーラのフィジカルを頼りにボールキープして味方が上がる時間を作ることが可能です。自ら突破する力があるので、味方の上がりを待つ前にフィニッシュに持ち込むこともなくはないのですが…笑
一応センターフォワードの選手ではあり、フィニッシュの精度もストライカーのそれなのですが、クロスに対しての合わせ方はシャドーストライカーのような印象を受けます。PAの外にいる状態からクロスが上がったタイミングで飛び込むのは往年のイグアインを彷彿させます。現在はラツィオやトリノがインモービレ、サナブリアの控えとして獲得に興味を持っているらしいです。
まとめ
遅かれ早かれセリエBからは出ていくことになるでしょう。バーリが昇格してセリエAで見られればそれがベストなんですが、もしかすると他のチームからの引き抜きがあるかもしれません。或いはイタリア以外に行くか…。BからAへの挑戦はものすごい高い壁になると思います。特にストライカーにとっては。
アルフレッド・ドンナルンマ、ジャンルカ・ラパドゥーラ、マッシモ・コーダetc…。セリエBで得点王になった選手がセリエAで全く通用しなかったケースは一度や二度ではありません。フランチェスコ・カプートでさえ18-19のエンポリでの活躍がなければ、今とは違ったキャリアになっていたでしょう。私に出来ることはケッディーラの挑戦を見守るだけです。
(了)
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?