セリエAへの推薦状/Junior Messias
突如としてミランの補強リストに名前が挙がったジュニオール・メッシアス。恐らく近々メディカル入りし、加入が正式に発表されるでしょう。私はメッシアスの存在に気付いた最初の日本人だと自負している(※後に調べてみたらED-10さんがB時代に既に目を付けていました。あの人には敵いません。)ので彼のプレーや経歴について解説したいと思います。
20-21シーズンのほとんどを最下位で過ごし、1年での降格を余儀なくされたクロトーネですが、その中で印象的だった選手は4人いました。
20点を決めたシミー、左サイドから何本もクロスを上げ続けたアルカディウシュ・レカ、現代では数少ないファンタジスタの生き残りであるアダム・ウナス。そんな彼らを差し置いて一際異彩を放っている選手がいました。それがジュニオール・メッシアスです。昨シーズンのクロトーネからひとりチーム内MVPを選ぶなら私は間違いなくジュニオール・メッシアスと言うでしょう。
プレースタイルとプレーエリアについてですが、彼は右サイドを主戦場とするドリブラーです。このポジションのミランの本命はベラルディだったと思いますが、個人的には打開力はベラルディよりもメッシアスの方が数段上だと思っています。物凄くスピードがあるという選手ではないのですが、緩急だけで相手DFを抜いてしまうテクニックと身体の使い方が魅力の選手です。
彼のドリブル技術はデータにも表れていて、昨シーズンのセリエAでのドリブル成功率は105回でリーグ2位の数字となっています(1位はロドリゴ・デ・パウルの122回)。
※参考までに....ジェレミー・ボガ85回、ネイマール87回(リーグ・アン)。
この数字を降格チームで記録したのだから、メッシアスが如何にドリブルの技術が高い選手かわかります。
クロトーネが常に押し込まれているチームだったため、メッシアスのドリブル成功のほとんどはカウンター、そうでなくても前方にスペースがある状態でした。ミランに移籍することで、引いて守ってくるチームと対峙する機会が増えるでしょうが、密集地帯でのドリブルは正直未知数だと言わざるを得ません。そもそも密集地帯を単独突破出来る選手はセリエAだとフランク・リベリーとジェレミー・ボガしかいないのですが。
しかし、単独突破以外にワンツーでの崩しを好む傾向にあるので、優秀なポストプレイヤーが複数在籍するミランではポテンシャルを十二分に発揮出来そうです。
降格チームからの補強ということで、実力を疑問視する人も多いと思いますが、心配する必要はありません。私は昨シーズン、メッシアスがセリエAの名だたるDFを手玉に取っているのを何度も目の当たりにしました。
忘れてはいけないのはジュニオール・メッシアスが3年前まではアマチュアリーグでプレーし、昨シーズンにトップリーグ初挑戦を果たした遅咲きの選手だと言うことです。ジェイミー・ヴァーディーのようなシンデレラストーリーをサン・シーロのピッチでも描いてくれるでしょう。
(了)
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