23-24前半戦のユヴェントスを振り返ろう
2024年あけましておめでとうございます。以前にPSMの振り返りから今季の展望をしたきり、ユヴェントス関連の文章を全く書かなくなったのですが、半年ぶりに更新させていただきます。
何故こんなにも間隔が空いたのかと言うと、ひとつはアメリカツアーと開幕のウディネーゼ戦で見せた攻撃的なスタイルを一旦封印したことにより、戦術的特徴が見られなかったこと。もうひとつはポグバのドーピング疑惑とファジョーリのギャンブル依存により、(2年連続で)ピッチ外のゴタゴタに不快感を憶えたため、一旦ユーヴェについて考えることを放棄したからです。決してブルーアーカイブにうつつを抜かしていたわけではありません。愛してるよアズサたん。
前置きはこれくらいにして、23-24シーズンの前半戦19試合を消化したので、前半戦の雑感なり、選手の評価なりを書き連ねていきたいと思います。
前半戦雑感
先ほど、戦術的特徴が見られなかったと申しましたが、これは半分本当で半分嘘です。[個人能力の向上]をテーマに(これは私が勝手に言ってるだけです)戦った昨季はツッコミどころ満載の目も当てられない試合が続きました。
無駄にこねてボールロストを繰り返すディ・マリア、三角コーンを置いた方がマシなレベルのボヌッチの怠慢守備、相手の脛を思いっきり蹴って自らが前十字靭帯断裂の怪我を負うデ・シリオ。生き地獄が存在するのならユーヴェの試合を見ているこの時間がそうなんじゃないかと本気で思っていました。
しかし今季は欧州戦がないこともあり、練習に充てられる時間が増え、昨季苦しんだ面々が成長したこともあり、各々のプレーの幅が広がった=個人戦術の押し付けが可能になったと捉えられます。前線で孤立していたヴラホヴィッチのボールキープ力が上達し、横パスマシーンだったブレーメルが縦パスをバンバン通せるようになれば、アッレグリがわざわざ細かい戦術を仕込まなくても良いわけです。ただやはり再現性という面では物足りず、スクデットを狙うのであれば更なる練度向上を期待したいところ。
リーグ全体に目を向けると、首位のインテルが48ポイント。ユーヴェは2差の46ポイントで2位につけています。正直2チームともここまでハイペースで勝点を重ねるとは思いませんでした。ほとんどの試合で横綱相撲を展開しているインテルと比べて、何で勝ったんだろう?と思う試合が少なくないユーヴェですが、リーグタイトルはギリギリの試合をモノにし続けるチームに回ってくる傾向があるので、接戦を制す勝負強さは後半戦も引き続き備えて欲しいなと思います。
選手評価
GK
シュチェスニー B
17試合出場してクリーンシート9回は褒められるべきなんですが、個人的な評価は控えめに。サッスオーロ戦の大ポカ2つはまだいいとしても、フロジノーネ戦の不用意な飛び出しは軽率だったんじゃないかなと思いました。それ以外ではほぼノーミスなので、及第点は与えられるかなと。
ペリン B
欧州戦がないことも影響し、出場機会は例年と比べても少ないですが、出た試合は自分の仕事を全うしたと思います。でも今季ペリンに助けられた!って場面思いつかないんですよね。それだけチームとして上手く守れているという証拠なのかも。
ピンソーリオ B
PSM全試合完封してユヴェンティーノを笑顔にさせました。公式戦の出場はありませんでしたが、ムードメイカーとしてユーヴェにいなくてはいけない存在です。
CB
ブレーメル S
昨季の彼には「悪くないけど、もうちょいやれるでしょ?」と思っていましたが、今季は私が知ってるブレーメルでした。おまけにビルドアップ技術も向上したことで、チームの攻撃の質が格段に向上。個人的にはセリエAで最もハイパフォーマンスを見せたCBだと思ってます。
ダニーロ B
今季から正式にキャプテン就任。DFながら色々なところに顔を出し、攻守共にサボらない献身性は素晴らしかったですが、左CBでプレーすると途端にプレーの質が落ち、足を引っ張る試合が一度や二度ではなかったので、後半戦は右に専念できる環境になって欲しいです。
ガッティ B
かなり評価が難しい選手だと思っていて、正直言うとディフェンダーとしての能力は微妙だと思っています。ただ3得点を挙げ、その全てが決勝点であることは考慮外できないため、総合的に考えてB評価としました。課題は山積みだけど、ボロボロだった昨季序盤を考えると、ここまでの成長は予想外でした。
ルガーニ A
DF陣の中でブレーメルの次に評価が高かった選手。右利きであるにも関わらず、左CBがメインの出場でしたが、左に回ったダニーロよりも安定していたと思います。目立ちはしませんが、ベンチの時期があっても文句を言わずに、黙々と自分のタスクをこなし続けるプロ意識の高さに脱帽です。
アレックス・サンドロ C
ダニーロを左に回したり、例年と比べてもルガーニの出番が増えたりしたのも、彼の離脱時期が長かったから。もちろん左CBでプレーした選手の中では最もハイクオリティですが、試合に出ないことには始まらないので。契約最終年らしいので悔いのないように頑張って欲しいです。
WB
ウェア C
試合中にマッケニーとポジションを入れ替えながらボールを前進させる試みは、チームのストロングとして一定の機能はしていたかと思います。ただPSMほどの爆発感はないので、調子悪いのか遠慮してるのかわからないですが、もう少し持ち味を活かすことが出来ないか模索中です。
カンビアーソ B
当初は左WBのレギュラーとして考えられていたでしょうが、徐々に右でのプレーが増加。彼もウェアと同様、マッケニーとのポジションチェンジを繰り返しながら右サイドを活性化させました。個人的には左サイドで見たい選手です。
コスティッチ B
カンビアーソの加入により放出候補と臆されていましたが、最終的に左WBのポジションはコスティッチが独占していました。よくあの状況から腐らずにレギュラー奪還したと思います。チームトップの4アシストを記録しているのは流石です。
イリング C
本業ではない中盤起用があったせいか、本調子には程遠く、プレミア方面の移籍の噂も浮上。19節のサレルニターナ戦で復調の兆しを見せたのはポジティブ。夏にもこのように評価できれば良いのですが。
デ・シリオ -
私が珍しくこの男にストレスを溜めないシーズンになっています。理由は公式戦のピッチに1分も立っていないから。
MF
ロカテッリ A
ロカテッリが最終ラインに吸収されてビルドアップに参加する形は今季のユーヴェのひとつの特徴に。それよりも特筆すべきはスペースを埋める感覚。不在時にその存在感の大きさを痛感させられました。
ニコルッシ=カヴィリア D
もともと放出候補だった選手に期待を背負わせるのは酷だったかもしれません。守備面で後手を踏むのは仕方ないにしろ、アンカーにも関わらずボールを受けられる位置にいないのは如何な物でしょうか。
ラビオ S
圧倒的なボールキープ力と、ポケットに侵入する頻度でユーヴェのラインを何度も押し上げました。ここまで大きな離脱もなく、リーグ全体で見ても特に輝いたMFのひとりだと思います。
ミレッティ B
コンディションと守備のバランスも考慮されたのか出場機会は減少。プロデビューから1年半ゴールから遠ざかっていましたがリーグ戦とコッパで1点ずつ記録。プレースタイルに依らず、意外とボックス内に飛び込むタイミングも上手い選手です。
マッケニー A
離脱者が多発し、層の薄かったユヴェントスが崩壊しなかったのは、MFとWBという2つのポジションをこなせる彼がいたから。ボールプレーに難はあるものの、運動量とフィジカルでそれ以上の貢献を見せてくれました。
ポグバ E
ほぼ全てを棒に振った昨季からの復活が望まれましたが、ドーピング疑惑により4年間の出場停止を言い渡されました。もうビアンコ=ネロのシャツを着たポグバをピッチの上で見ることはないでしょう。
ファジョーリ E
FIGCが禁止している球蹴り賭博をしていたことで、こちらは8ヶ月の出場停止処分。来季からは戦線復帰できるように、まずはギャンブル依存からの克服。借金返上に全力を尽くしてください。
AT
ヴラホヴィッチ A
股関節の痛みに悩まされ、1ヶ月以上ゴールから遠ざかる時期がありましたが、前半戦を終えて7ゴール3アシストと10得点に関与しました。ポストプレーの質も上昇したことで、チームの戦略の幅が広がりました。
キエーザ B
無の状態からチャンスを産み出せる力は唯一無二。その反面、1stプレスに行く時もそうですが「無駄走り」も多いので、攻守共にもう少し頭を使ったプレーをすれば、より攻撃で違いを作れる選手になれるはずです。
ミリク B
交代出場がほとんどでしたが、誰と組ませても腐らないIQの高さと物理的な高さで、後半の苦しい時間にチームを落ち着かせる余裕を作ってくれる頼もしい存在でした。黒子役に徹する献身性とプロ意識の高さはユヴェントスそのものを体現しています。
ケーン B
スペースを見つけてはボールを引き出して、背負った状態でも反転してチャンスを演出。身体能力の高さはアタッカー陣随一。ただただゴールだけが遠かったのが惜しまれます。
イルディズ B
アッレグリが慎重に出場機会を探っていた秘密兵器が解禁。セリエA初先発となったフロジノーネ戦では挨拶代わりのゴールを決め、続くコッパ・イタリアでも得点。狭いスペースを苦としないボールタッチと、守備ブロックを切り裂くドリブルにワクワクしない人はいないでしょう。
アッレグリ S
2年連続でピッチ外のゴタゴタに巻き込まれながら、今季はここまで首位と2ポイント差の2位につけています。“アッレグリ自身は出来ることをやった。”よりも“アッレグリでなければ成し得なかった”が適切な評価でしょう。本人は決まり文句のように「4位以内」と言っていますが、虎視眈々と「アレ」を狙っているのは明らかです。
冬のメルカートについて
噂に挙がってる選手の個人的評価を↓
カルヴィン=フィリップス
パレデスで味わった失望をもう一度経験したいですか?私はNOです。せめてサッカー選手を連れて来てください。
ヘンダーソン
ヘンダーソン側から逆オファーがあったらしいですが、ユーヴェは一度現役引退した選手を取るほどお人好しクラブではありません。
パーティ&ホイビュア
ドライローンなら歓迎。残念ながら2人の移籍金を払えません。あと3歳若ければナシではありませんでしたが。
フレンドルップ
比較的安価で獲得できそうですし、右のラビオとしてのクオリティはジェノアで見せてくれています。現状挙がっている選手の中で最も心が躍るかつ現実的な獲得候補かなと。
サマルジッチ
やや守備的なユーヴェの中盤に攻撃面で違いを作ってくれそうな選手。しかし残留争い真っ只中のウディネーゼが、冬に攻撃の核となる出すのかという疑問と、ナポリ移籍の可能性も再燃しているのが、ユーヴェにとって大きな障害になっています。
スダコフ
ユーヴェとナポリの一騎打ちになりそうなスダコフ争奪戦ですが、ナポリがサマルジッチ獲得に動くなら、スダコフのユーヴェ入りも近いでしょう。
スペルツァン
11月に一瞬だけ名前が挙がりましたが、最近はあまり聞きません。あくまでリストアップした選手のひとりといった立ち位置かと。
コネ
移籍金は4000万ユーロとも言われており、冬にユーヴェがオファーを出すかはわかりませんが、本人はユーヴェ移籍を望んでいるという話を耳にしました。
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