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「負けない」が本質でなければ、勝ち続けることはできない

勝つ」と「負けない」は一見似た結果をもたらすように見えますが、その本質は全く異なります。私は、この違いを桜井氏の著書『負けない技術』から学びました。桜井氏は、麻雀で二十年間無敗を誇り、「雀鬼」と称される伝説的な代打ちです。彼の著書には、サイバーエージェントの社長との共著も含まれています。

「勝つ」ことに固執しすぎると、欲望に支配され、醜さや卑しさが生まれます。一方で、「負けない」ことを追求する姿勢は、単なる強さではなく、状況に応じた柔軟な対応を意味します。この柔軟性は、多様な経験と深い洞察から生まれるものです。

麻雀とビジネス、そしてスポーツに共通するもの

麻雀と経営には多くの共通点があります。迅速な意思決定、周囲の状況の把握、最終的な成果を競い合う点などがそれです。スポーツも点を競うという意味では似ていますが、特に麻雀と経営に共通するのは「耐えること」の重要性です。櫻井氏は、麻雀での敗北の多くが自滅によるものであり、それは流れに耐えきれず、妥協したり無理に欲を出してしまうことから起こると指摘しています。耐えるとは、次のチャンスに備えて今の場を捨てるのではなく、どんな状況でも本当のチャンスが訪れるまで堪え忍ぶのを楽しむことを意味します。

これはビジネスにも当てはまります。目先の成功に飛びつく人もいれば、状況に応じて常に対応し続ける人もいます。これこそが「負けない」ことの本質です。「勝つ」ことを追求しすぎると、自分を追い込みすぎて余裕を失い、相手を徹底的に打ち負かそうとするかもしれません。しかし、それではやがて自分も同じように苦境に立たされ、早々に撤退を余儀なくされるかもしれません。長期的な成長を目指すのであれば、一攫千金を狙うような人とは距離を置く方が賢明です。適度な緊張感を保ちつつ、フェアに戦い続ける姿勢こそが、持続的な成長の鍵です。

経験から生まれる感覚を重視する

勝ち負けにこだわらず、経験を重視することも重要です。パターンやジンクスに頼らず、多くの経験を積むことで、言葉では表現しにくい感覚が磨かれます。例えば、長嶋監督が「球がこうスッと来るので、そこをグーッと構えて腰をガッとし、あとはバッといってガーンと打つんだ」といった擬音でアドバイスするような感覚です。スポーツでの失敗や経験を重ねることで、周囲の状況をより深く感じ取り、環境に順応する力が養われます。このような感覚を大切にしつつ、さらに専門外の分野にも目を向けることで、多様な経験を自分の新たな感覚にすることが重要です。さらにこれらの経験や実績を周囲と共有し、共に成長することで、自分自身もさらに成長していきます。

怒りの感情をコントロールする

また、怒りの感情についても考慮することが重要です。人は、何か問題が起こると相手にすべての非があると考えがちで、それが怒りの原因となります。しかし、「自分にも悪いところがあるのではないか?」と考えるだけで、その怒りはかなり和らぐものです。これは加害者意識を持つことの重要性を示しています。自分の役割や責任を冷静に見つめることで、被害者意識から生じる怒りをコントロールできるのです。

現代社会では、怒りに囚われやすい状況が増えています。詐欺や不正に遭ったとき、怒りの感情に支配されることもありますが、そのようなときこそ、自分にも何かしらの落ち度があったのではないかと振り返ることが大切です。「自分も加害者になり得る」という意識を持つことで、怒りを客観的に捉え、心の安定を保つことができます。

結局のところ、人が起こすことには、自分にも何かしらの関連があると認識することが、怒りに囚われず、自分を見失わないための秘訣です。これにより、感情をコントロールし、より冷静に物事に対処できるようになるでしょう。

最後に

この文章を通じて、私が伝えたかったことはおおむね伝わったと思います。ぜひ、この心構えを持って、コンピューターの麻雀ゲームを最強レベルで挑戦してみてください。数回の半荘を、ビジネスの半期決算と捉え、「負けない」戦い方を試してみると良いでしょう。自滅すると、年間の成績にも影響が出るため、ビジネスの意思決定にも役立つかもしれません。この本を読んでから、私自身も麻雀が以前より上達し、仕事やプライベートでの意識づけにも役立っています。

また、人間同士でリアルに麻雀をすることで、さらに多くの学びが得られます。ビジネスや技術の実績がある人と対戦すると、より多くの気づきを得られ、お互いの人柄も分かり、さらに楽しくなります。経営が上手い人ほど、麻雀でも「負けない」ことに気付きます。その時、なぜ彼が勝ち、自分が負けたのかをビジネスの視点で相談してみると良いでしょう。麻雀のルールを知り、この本を読むことで、さまざまな気づきを得られるはずです。ただし、お酒を飲みながらだと、少し状況が変わるかもしれませんが……。

学生時代や社会人になりたての頃、高田馬場にある麻雀店「西武」ともう一店舗(名前は忘れてしまいましたが)に通い、徹夜で麻雀を打ったことを思い出します。朝まで遊んでも1,500円ほどだったことだけは覚えています。さすがに今では徹夜は厳しいですが、まだその店があるようなので、久しぶりに訪れてみたくなりました。

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