阿部野

読んだ本のこととか自分のこととかを書いていきます。

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最近の記事

空の教室(小説)

ぼくの学校は新校舎と旧校舎に分かれている。旧校舎はぼくらが普段勉強する教室や職員室があり、先生や生徒は主にこの旧校舎で過ごしている。新校舎は一昨年造られたばかりで、特別教室が入っていた。この学校の生徒はみんな、この新校舎が大のお気に入りだ。 ぼくがいつも過ごしている4年2組も、もちろん旧校舎に入っている。が、今日の3時間目は待ちに待った総合学習の時間だ。4年生の総合学習の時間は主に新校舎の特別教室で行われる。ぼくは一週間ぶりの新校舎での授業に胸が躍った。 2時間目が終わる

    • 緊急避妊ピルを使ったときの話

      最近SNS上でアフターピルの可否について話題になっている。実は私も約2年前、社会人になりたての頃に緊急避妊ピルを使用したことがある。 恋人とのセックス中にコンドームが破れた。幸いにも恋人が途中で気づいたのでそのまま行為を続けることはなかったが、それでも不安なことに変わりはなかった。 幸運なことに私の出身中学は性教育をしっかりやってくれていた方で、望まぬ妊娠の可能性があるときには72時間以内であれば緊急避妊ピルによって妊娠を避けることができるという知識を持っていた。 だか

      • 渋谷サイキックリサーチに入りたい!!

        先日、小野不由美の『ゴーストハント1 旧校舎怪談』『ゴーストハント2 人形の檻』を読んだ。 ゴーストハントシリーズは全7巻。シリーズ初版の刊行は1989年のかなり古い本だ。 しかし今年6月に角川文庫から大幅リライトされて1・2巻が刊行された。来年6月までで7巻すべてを刊行する予定ということだ。(↓原典) 小野不由美作ということで前々から気になっていたのだが、絶版になったのか本屋では見つけられず、少し高めの中古本を買うかと悩んでいたところだった。 そこに来て本屋で目にし

        • 母親があんまり好きじゃないってことを誰にも言えなかった話(後編)

          長々と、前・中・後の三編構成で書いてしまった。最後は、今まで母とどのように関わっていて、今はどうなのかを書いていきたい。 高校までの母と私前編で書いた通り、高校までの私は母、ひいては両親を貶すことは全くなかった。むしろ自慢することの方が多かった。 まだ自己が確立できていなかった私は、自分と母を分けて考えることができなかったのだと思う。母を貶めることはイコール自分を貶めることだっだ。 高校入学前の春休み、事件が起きる。東日本大震災だ。北関東の我が県も深刻ではないが被災。家

        空の教室(小説)

          母親があんまり好きじゃないってことを誰にも言えなかった話(中編)

          前記事に引き続き、母親を好きになれない要因について書いていく。ちなみにここに書いていることについて自分が実は傷ついていたと気づいたのは高校から大学にかけて。 この「気づけた」ということが私にとってかなり大きなことだったのだが、その話にたどり着く前にもう少しなぜ母を好きになれないのかについて掘り下げていきたい。 本選び、漫画選びに口出しする母またまた小学五年生頃。私は母に本屋に連れて行ってもらった。その頃にはもう本が好きだったので、私は母と別れて児童書のコーナーにいた。そこ

          母親があんまり好きじゃないってことを誰にも言えなかった話(中編)

          母親があんまり好きじゃないってことをずっと誰にも言えなかった話(前編)

          実は先日noteで高校時代の友人と相互フォローになった。こんなことを書くともしかしたらその友人には驚かれるかもしれない。 なぜなら私は高校まで両親のことを、尊敬している!夫婦仲良しで憧れる!というようなことしか言わなかったからだ。 そもそもずっと、自分が母に対して鬱屈した気持ちを持っていることに気づいていなかったというのが大きいのだが、それに気づけたこと、ひいては他人に言えるようになったということが私にとって大きな出来事だったように思うので、ここに記録しておきたい。 まず

          母親があんまり好きじゃないってことをずっと誰にも言えなかった話(前編)

          コロナ禍で小野不由美『屍鬼』を読んだ話

          緊急事態宣言が発令された今年のGW、私は『屍鬼』を買い込んで過ごした。 『屍鬼』は漫画やアニメでメディアミックスされており、知っている人も多い作品だろう。私はというと一度小学生の頃に手を出したものの、暗い雰囲気に読み進められず挫折。今年約13年ぶりに手に取った。 本を開いてすぐに、その重厚なストーリーと細かな設定に圧倒された。薄暗いじめじめとしたものが胸に蟠り、恐怖に胸が締め付けられるが、それを解消するにはページをめくるしかない。その手を動かしているのは自分のはずなの

          コロナ禍で小野不由美『屍鬼』を読んだ話

          退職一歩手前の社会人一年目を支えた『夫のちんぽが入らない』

          社会人一年目、私は非常に疲れ切っていた。 具体的に指示をせず、持って行った資料にダメ出しをするだけの上司。常に完璧を求められ、怒られるが褒められない仕事内容。わざと傷つけるように失敗を責める先輩社員。心が疲弊し、8月半ばから常に頭痛と吐き気と戦っていた。立っていると膝から崩れ落ちそうになる体を支えるのに必死だった。風呂や行き帰りの電車で毎日泣いていた。 9月頭、人事部の新卒担当に声を掛けられた。一緒にお昼に行こうというものだった。精神的な苦痛を抱えていそうな一年目に声を掛け

          退職一歩手前の社会人一年目を支えた『夫のちんぽが入らない』

          今の私を形作った本3冊

          私はいたって普通の24歳、会社員だ。子どものころから何かに強くハマることなく生きてきた。もちろん今もだ。 そんな私が唯一続けてこられたのが本を読むことだ。心を許せる友達もいなかったし外で遊ぶのもあまり好きではなかったから、本を読むしかなかったというのもある。 そんな私は人生の様々な場面で本に助けられてきた。その中でも特に今の私の考え方や人生に大きな影響を与えた3冊を紹介したい。 ついでに私の独断で各本と似た系統の本も紹介できればと思う。 あさのあつこ『バッテリー』/小学校

          今の私を形作った本3冊