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クリスマス当日。

朝からずっとハラハラドキドキ していた。

前日からクリスマスプレゼントに同封する簡単なパウンドケーキも作り、
準備は満タン。


彼から連絡が入る

「おはよう、今日とりあえず部活終わり次第○○駅きてくれる?」

○○駅というのは大都会の駅である。17歳の時点で2回くらいしか行ったことがなく、
土地勘も全くない。

彼に引っ張っていってもらわないと何も分からない場所であった。


ひたすら部活を頑張り、夕方16時頃部活終了。

同期には事情を伝え済み。

「美嘉めっちゃ女の子じゃん〜〜笑」


恥ずかしいけど、こっちはもう本気モードなのである。


この前新調したら洋服。タイツも破れていない。ブーツもふわふわの可愛いもの。
髪の毛はアイロンとかが使えないため、ヘアアレンジと可愛いリボンのピン留めでなんとか作り上げた。


「よし、いってきます!」

同期より早めに部室を出て走り出す。

もうワクワクが止まらない。

彼に連絡を入れ、まっすぐ大都会へ向かう。

初めて乗る路線で降り間違えないように神経を尖らせて、背筋を伸ばして座っていた。


約1時間後、駅に到着。


「…その顔めっちゃ迷ったやろ?笑」

私の必死な顔つきをみて、彼は笑う。
実際に出口がわからず迷ってやっと辿り着いていた。

「だって、この駅で降りるの初めてやもん。」

「わかったって、笑 そしたら俺についてきて!」

人の多い改札前で彼は私の手を握る。

手を温めてくれていたのだろうか、安心する温もりに一気に包まれた。

人混みを掻き分け、2人で突き進んでいく。

気付けば徐々に人気がなくなっていった。

ディナーの場所は駅から少し離れた、市街地の裏側であった。

一気に薄暗くなり、周りに人がいなくなる。


「美嘉とここ歩いてるの不思議だわ」


彼はこの辺りを熟知している様子。

私は全く知らない土地でひたすらチョコチョコついて行っているだけ。


彼の足が止まった。


私の方を見つめる。

「今日おしゃれ頑張ったの?可愛い。」

クリスマス大作戦成功…?!いや…それよりも顔が近い。

「…こっちおいで」

人がいない路地に入ると、

彼は私を抱きしめて、フレンチキスをした。

「?!」

「ごめん、頑張ってくれたんやな、って思ったら嬉しくて」

薄暗い路地、もちろん誰も居ないから2人の空間で。

彼の温もりを初めてちゃんと感じた。

「…さぁ行こうか。お店もうちょっとで着くから!」


何事もなかったかのように再度歩き出す。

もう私は心臓が持ちません…。


高校生にしては雰囲気の良すぎる個人店であった。
イタリアンのお店だが、ワインを飲むような場所だなーと子供ながら感じ取った。

もちろんお酒は飲めないので、2人で葡萄ジュースをオーダー。

案の定ワイングラスで入ってくる。

「とりあえず乾杯、来てくれてありがとう」

高校生にとっては高いディナーだったが、とても美味しいパスタディナーであった。


その後有名なイルミネーションスポットがあるとのことで連れて行ってもらう。

ショピングセンターの建物全体がイルミネーションになっている有名な場所に連れて行ってもらった。

「綺麗……。」

私がイルミネーションの動画を撮っていると

「貸してみ」

私の携帯をとり、私とイルミネーションの姿を撮ってくれた。

一つ一つの動作がもうキュンキュンして幸せであった。

ツーショットもいっぱい撮って、思い出が増えていった。


イルミネーションを周り終えて、ベンチに座る。


「プレゼント交換しよう!」

私からは、今思えば笑ってしまうのですが。

ドラえもんのティッシュケースとパウンドケーキをお渡しした。…笑

なぜドラえもんかというと。
彼は自分からもドラえもんが大好きと公言しており、漫画も全部持っていると。

あの夢の世界にドップリはまっている人なのである。

だから半分ネタ枠であったがガッツリドラえもんを渡した。

彼は笑いながら

「最高やんありがとう笑」

と喜んでくれた。


そして彼から私に。

ちゃんと可愛いケースに入った物がでてくる。

箱を開けると、


「え、ネックレスじゃん!!」

ハートのネックレスが入っていた。

いやいやドラえもんチョイス恥ずかしすぎでしょ。自分。笑


「これね、自分で作ったんだ。パーツ選んできて作った」

まさかだった。

あんなに忙しいスケジュールで過ごしている彼が、

私のために手作りのアクセサリー??

センス良すぎて、当時の私は感激。


プレゼント交換を終え、彼は話し出す。


「美嘉、薬剤師諦めるって前言うてたやん。医療系は諦めちゃうの?」


夜景を見ながら冷静に話し出す。

「医療系は諦めたくない…。でも致命的に化学できないし、今後化学をずっとやり続けるって思ったら地獄なんだよね。笑」


「そうか。そしたらさ一緒に患者のケアできる存在になろうよ」


その言葉の意味は。

「俺が医者になって、美嘉は看護師さんになるのはどう?」

看護学部は薬学部よりも偏差値下がるし、目指しやすい学部であった。

あー…その手があったか。!

「落ち着いたら色々調べてみたらいいよ、じゃあ行こう!」

彼は私が進路で悩んでいることをなんとなく察してくれていたのだ。

看護師ね…。確かに昔は看護師さんになる!と言うてた時期もあったので全然アリだなと思った。


その後は彼が遠回りしてくれて私の最寄りの駅まで電車に乗ってくれた。

最寄りの駅で一緒に下車して。

周りに誰も居ないことを確認して。

「じゃあね。」

一度キスをして私たちは解散した。



興奮が止まらない。

誰かに聞いてほしい。

親友に今日あったことを報告だけし、

私は疲れ切っていたのか一瞬で眠りに落ちた。


私の青春時代。

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