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彼とはずっと一緒に居たい。だからこそ…。


クリスマス以降はお互い塾や部活動で予定がびっしり。


部活の後に一瞬顔を合わせたくらいで、コミュニケーションが取れないまま年末年始に入った。



『そしたらさ一緒に患者のケアできる存在になろうよ』

『俺が医者になって、美嘉は看護師さんになるのはどう?』


クリスマスの日に言われた言葉が頭をめぐる。


私は小学生の頃は看護師に憧れていた。

テレビで医療系の番組を見ては興味津々になっていたし、
実際に祖母が現役の看護師だったことが影響していた。


しかし高校一年生の際に職業体験で病院の看護師の分野を見学させてもらったとき。


「ここは汚物処理室です。患者さんのオムツとか交換した物はここに捨ててます。」

「今から栄養剤入れるんだけど、お腹の音聞いてみて。」


人間が完全に他者に依存している状態を見ることがあのとき人生で初めてだったためかなり衝撃的だった。

知らないおじいちゃんの肌に触れなければいけなかったり、

汚物を処理しないといけないなんて

当時の私には考えられなかったのだ。


そこで看護師という道筋は消え去っていた。


だからこそ看護師を目指すなら、その汚い部分を覚悟して挑まないといけないと感じていた。


…でもちょっと待てよ。

彼が医師で私が看護師なら…長い目を見て一緒に居れる可能性が上がるのではないか?


あわよくば一緒に働けるのではないか??

そんな幸せなことはない。

しかも看護学部なら私の成績でも見込みはある。


大晦日の日、彼にLINEを入れる。


「私あれから考えたけど、看護師目指すことにする。あなたと少しでも近い存在で働けるように頑張るよ…!」


そして彼の影響で看護師を目指すようになったのだ。

明確な目標もでき、私は勉強に励んでいった。



年が明けて、冬休みも気づけば終わった。

冬休み明け一発目の帰り道一緒に帰ろうと誘いを受けた。


学校からの帰り道は、あのオムライスを食べた日、告白をした日と同じ道。

あれから何度か一緒にこの道を通って帰っている。

それにしてもちゃんと会って話すのはクリスマスぶりで合ったためかなり久しぶりだった。


「お疲れ様、久々だね。」


「ずっと会いたかったし、喋りたいこといっぱいある…!」

その帰り道は、わざと遠回りしてたくさん喋った。

冬休みのこと、私が目指そうと思っている大学、勉強の進捗、部活のこと、何より彼が大好きということ。

暗い道を歩いていると、狭い道の少しのスペースで作られた公園が出てきた。

2人で自然とその公園に入り、ブランコに座る。

「ブランコとかいつぶりだろ。」

そこは本当に人通りがなく、2人だけの空間であった。

「ここ穴場だね。笑」

公園の木々の隙間から月が見えた。真冬で空気も澄んでおり、綺麗に月が見える。

2人でボッーとしてると、

「あ、雪降ってきた。」

1月中旬。雪が降り始めた。2人で手を合わせて、寒い寒いと言いながらその公園を後にした。


「美嘉となら、受験乗り越えれると思う。一緒に頑張ろう。俺も教えられる範囲なら教えるし。こうやってたまに一緒に帰ったら息抜きにもなるやろ。」


彼のその言葉に私のやる気は奮い立たされた。


「一緒に病院で働こうね!!!」


2人で月に向かってそう誓った。


私の青春時代。

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