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距離が開いていくのが怖くて・・・。


秋。

私は塾の授業も増えて学校に居る時間も自習時間で奪われていく。


でも私の彼を思う気持ちは変わらなかった。


彼は一回目の医学部試験が1か月を切っていた。


そんな中迫った1年記念日。

その日はたまたま一緒に外部模試を受けに行く最後の日だった。


「おはよー。」

駅から一緒に試験会場に向けてのバスに乗り込む。

彼は前日も日付が変わるギリギリまで塾にこもって勉強していた様子。

目がパンパン、疲労感が表情にもでていた。


「疲れてる?」

「あーうん。ちょっと寝るわ。」

バスの中でコミュニケーションを取る暇もなく彼は休息をとり始めた。


彼は今日が1年記念日ということを覚えているのだろうか。
そもそもそんな余裕ないのか。


私はそんなことをグルグル考えながら試験会場に向かう。


以前のように私はソフト理系のため彼より早く試験が終了する。


試験会場に早めに着き教室の前で暗記物を二人で始める。

彼に意を決して冗談交じりで聞いてみる。

「・・・今日も私試験先に終わるけど、外で待っとこうか?」

彼は目線を一つ変えず私に伝える。

「・・・、終わる時暗いし先帰りな。待たなくていいよ。」


期待外れの返答だった。

受験間近の一番忙しい時に浮かれているのは私だけだった。

彼は真剣に取り組んでいるのに・・・。

でも一年前の今日は。私たちがオムライスを食べに行って、私が告白して、付き合えた日だよ・・・。



私はそんなことを思いながら試験を本気で受けた。


試験終了後、やはり彼を待っとこうと思い、バス停で座り何台もバスを逃し待った。

しかし朝の彼の表情がよぎる。

私が待っているってわかったら睨みつけてくるんじゃないか。
記念日とか馬鹿らしいって思ってるんじゃないか。

私は外も真っ暗で、バスの運転手にも変な目で見られたため、
次に来たバスに乗り込んだ。


私は真っ暗な夜道を通るバスの中で涙を浮かべた。

私たちの恋愛って受験で破綻するのかな・・・。
一年前には戻れないのかな・・・。

高校生の恋愛ってやっぱりそんなものなのかな。


彼の試験時間が終了した頃にLINEを入れる。

「お疲れ様。今日待っとこうと思ったけど、やっぱりやめっちゃった。ごめんね。
今日記念日だったから。私だけ浮かれちゃってたごめんね。」


その日彼からの返事はなかった。既読もつかなかった。


あぁ、終わっちゃったんだな。

私は彼との思い出を振り返りながら眠りについた。


翌日から、彼に負担をかけちゃうから自分から連絡をとるのはやめようと決め、

わざわざ学校でも彼の姿を探すのもやめた。


私は私の勉強を頑張る。

一旦、さようなら。


私の青春時代。

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