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皮膚科医がオーガニック系コスメを勧めないたった1つの理由

A『唇がガサガサして治らないんです。』
私『このリップ、オーガニック系ですね。二度と使わないようにね』
A『オーガニックって体にいいんじゃないんですか?』

どうして、オーガニックは体にいいと決めつけているの?

今日はオーガニックが本当に体にいいものなのか。

■オーガニックとは

『農薬つかってなさそう』『化学薬品使ってなさそう』そんなイメージのオーガニック。

保存料や着色料などの添加物をできる限り低減し、食品の安全性を確保します。また、化学的な染料や塗料を使用せず、アレルギーのない生活を目指します。

食品に関してはこのような定義ですが、少しあいまいです。しかし、食品もさることながら、環境への配慮といった点ではいいですよね。添加物や化学的染料も使用せずに地球にやさしいです。

日本でのオーガニックコスメの定義

・過去2年間、農薬・化学肥料ともに未使用の土壌で栽培していること
・科学合成農薬や化学肥料は使用しない
・遺伝子組み換えの原料は使用しない
    などです。
そして、日本では有機栽培で作られた植物が一つでも使われている商品『オーガニック●●●』と呼ぶことができると言う事も付け加えておきます。

最後の項目もくせ者ですよね。。。

■なんだかオーガニックよさそうじゃん?

ぼくもいいと思います、特に食品に関しては。
でも皮膚に使用するものはあまりオーガニック系を勧めません。

オーガニック系のコスメと、普通のコスメの違いは何か。

なんだと思います?

■オーガニック系コスメにはフルーツを使用することが多い。

『オーガニック系のコスメなんだ?化学薬品あまり使ってないの?そしたら、何由来なの?』と普通思うでしょう。

企業もきっとそう思い、何か皮膚によさそうな印象の食材を使用したコスメを作りました。

リンゴ、パパイヤ、バナナ、アボカド、ヤシの実…etc

他に調べたところ、米ぬかやひまわりの種、ゴマなどなど。

■つまり食品を体に塗っている。それの何がいけないの?

それが、アレルギーのはじまりだからです。

わたしがオーガニック系コスメを勧めない理由は、
アレルギーを持ってしまうから。

そう、アレルギーを持つ原因は口から摂取することのほかに、皮膚からアレルゲンが入ってアレルギーを持つことが言われてます。

逆に『皮膚にアレルゲンが接触しなければ、アレルギーの発症は少ない』を証明したのが以下の研究です。

2014年に、当院から世界で初めて有効なアレルギー疾患の発症予防法が研究成果として発表されました。成育出生コホート研究におけるランダム化臨床研究介入試験で、新生児期からの保湿剤塗布によりアトピー性皮膚炎の発症リスクが3割以上低下することが分かりました。皮膚のバリア機能が障害された状態で、早期に十分な対応がなされず皮疹の改善が遅れると、食物アレルゲンの皮膚感作が進行します。スキンケアを徹底して行い、皮膚バリア機能を改善し、新たな皮膚感作を起こさないようにしましょう。国立成育医療研究センターHPより抜粋

これは医学界でもとてつもなく、すごい発見でした。もちろん上記は乳幼児の話ですが、大人でも同様です。ちなみに、皮膚からアレルゲンを摂取してアレルギーを持つことを『経皮感作』といいます。

大人になってからアレルギーを発症することが少ないのですが、
『茶のしずく石鹸』では、大人の経皮感作によるアレルギー発症が有名です。そして、世界的な発見の第1歩となる事件です。

■茶のしずく石鹸事件(小麦アレルギー)

知ってる方は知ってるかもしれません。詳しく知りたい方はこちらへ。

2005年から2010年に延べ約467万人に対して販売された「茶のしずく石鹸」約4,650万個について、同製品に含有される小麦加水分解物により、小麦アレルギーを発症する事例(重傷者だけでも66人)が報告されており、厚生労働省は2010年10月に消費者に対し、加水分解コムギを使った石鹸全般に対する注意を発表した。
茶のしずく石鹸で小麦アレルギーに…
被害者「パン、ラーメン、パスタ…全部食べられなくなった」

これは当時センセーショナルな事件で、今は知ってる人も少なくなってきたのかもしれません。石鹸の材料に小麦が入っていて、それを使用したのちに小麦アレルギーを発症、しかも人によっては重篤になってしまった事件

この出来事がきっかけで、より一層経皮感作の説が有力になり、現在では定説にまでなり、アレルギー発症予防に役立っている事件でもあります。

■経皮感作を避けるべし

人は過ちを忘れてしまう生き物なのかもしれない、とも思います。茶のしずく石鹸事件があっても、今もオーガニック系コスメは人気です。

生まれたての赤ちゃんは何もアレルギーを持っていません。

アレルギーは遺伝しないのです。生まれた瞬間から、皮膚や口を通して色んなアレルゲンをもらい、そしてその中でアレルギーになるもの、ならないものを体が選択する。

ちなみに、小児のアレルギーに関しては専門家に聞くようにしてください。摂取した方がいい時期もあるので。(食物除去=アレルギーを持たない、ではない!!これすごく注意です。お子さんがいる方で、親御さんがアレルギー多い人は特に!!!)

大人になって、『あれ、今年からなんだか花粉症発症したかもー』は、鼻からの粘膜感作によって、スギなどのアレルギーを持ってしまった症例。

大人になって、オーガニックコスメで『アボカド成分入りのリップ』を使っていたら、いずれ『アボカドアレルギー』になる可能性があります。

自然界の材料によっても
『アレルギーになりやすい物質』『アレルギーになりづらい物質』があり、たとえばアレルギーになりやすい物質として一番有名で、なおかつアレルギーになりやすさNo.1は『うるし』です。

すべてのオーガニック系コスメが、アレルギーを持つわけではないです。
材料の種類と人によって、さまざまです。しかしアレルギーをもつ確率を上げる必要はないと思います。

■なんでもかんでも、植物・食物由来成分がいいわけではない

ぼくからしてみたら化学薬品の方が、ほとんど口にしない分、アレルギーを持っても安心って思います。

でも、リンゴとか、ゴマとか、よく口にするものを皮膚に塗ったり、石鹸として使用することに抵抗があります。リンゴアレルギーならまだしも、ゴマアレルギーとか、怖すぎる。。。てか、生きる上でめんどくさすぎる。

だからみなさん、気をつけて。自分の身は自分で守るように。

特に治りづらい唇の荒れは、まずは皮膚科へゴー。
アレルギーの可能性がありますから。

一方、花粉症がひどく、オーガニック系のリップも使用してなく、唇荒れる人いません?特に冬ではなく、夏に唇荒れる人いる?それはもしかするとOAS。今度説明するね。

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