「生成AIの時代でのメディアの課題感」を聴いてみて 〜マーケ広報meetup 2024
8月29日に「マーケ広報meetup 2024」という交流会に参加してきました。参加したセッションのうち、CaseHub.Newsという新しいメディアの立ち上げに参画している谷川さんのセッションサマリと所感を綴ります。
TL;DR
いまやITメディアのサイトで記事を直接読んでもらえる機会は減少傾向
記事が読まれないので多くのメディアは広告からデマジェンをサービスとして提供
でもデジマちゃんとやってる企業ならやがてインハウスのリストで回せるようになっちゃう
結果、広告にしろデマジェンにしろ、メディアの記事は使い捨て傾向 それがイヤなので新しい形のメディア「CaseHub」を立ち上げた
Fact:
注:ここでいうFactとは、ここに書いた言葉の定義や数値が正しいかどうかではなく、スピーカーが説明していた内容がこうでした、という意味です。
生成AI時代になって、今メディアが大きな課題を抱えてるという話がある。例えば、Googleで検索すると生成AIの結果が出て、 知りたいことの要約が表示されるので、大体の人はそこ読んで概ね必要な情報は得てしまう。
メディアからすると、これまでは検索結果で表示された記事へのリンクをクリックして読んでもらうというのが検索の利点だった。それがなくなってしまってるので、メディアの記事を読者が直接読んでくれる機会がすごく減っているという現実。
じゃ、どうしてるかというと、特にIT系のメディアなどを中心に、クライアントに良質なリードを提供する(いわゆるLead Genとかデマジェンて言われてるやつ)っていうビジネスモデルが主流。いま、バナー広告とか効果はない(なぜなら前述のように記事読まれない傾向なので、記事周辺の広告は機能しない)けれども、そういった広告や記事広告などをやって、そこをゲートにしてコンタクト情報を取り、そのコンタクト情報をクライアントに渡すことで収益にする。
でも、このモデルにも限界があり、クライアントが2、3回同じメディアで広告企画を回したら、取れるリードって似たようなものしか取れなくなる。さらに、もしそのクライアントがデジマをしっかりやってれば、 インハウスのリストとメディアからもらえるリードリストって、ほぼほぼ重なって、投資対効果ないねみたいな状況になるという話もよくある。
結果、こういうビジネスモデルの下で作られたコンテンツはどうなっているのか。とにかくなんとかそういう状況下でもリードを取るために、コンテンツはどんどんどんどん作られ、そして使い捨てにされてるっていう状態が、書く側の人間として結構悲しい現実に。
本来はメディアのコンテンツそのものに対価を得られるだけの価値があって、企業広報は記事になったことで評価され、読者はそのストーリーに感動してもらうとか、そういうものであるはず。なのに、コンテンツは使い捨てにされるっていう現実があって、メディアの中の書く側としては、本当にすごい危機感を持ってる。
で、そういう状況がよろしくないということで、新しいメディア立ち上げることにした。ビジネスITの世界の事例ばっかりを集めたサイトを9月に立ち上げようとしている(注:記事公開時点ではすでにサイトオープンされてます)。週刊BCNで編集長をやってた本多さんが編集長、スピーカー(谷川さん)がサポートという立場で、2人で動き始めている。
この媒体では、幅広く事例を紹介することで、企業が何かアクションを起こすときの意思決定の参考にしてもらおうというメディアを目指している。 ということで、とにかく事例をたくさん集めようと動いているところ。そうすることで、これまではどちらかというと各事例そのものだけを見ていたというところから、いくつか集まった事例から新しい価値みたいなのが生み出せるのではないかなと考えている。そこに生成AIも組み込んでいきたい。
ビジネスモデルはコンテンツの2次利用収入を中心で考えていて、リード創出サービスはやらない。それから、コミュニティ的なエコシステムみたいなものを作って、そこでスポンサーとかできたらと考えている。新しい形のメディアなので、収益モデルも模索中。
メディア開設にあたり、東京都のコンテンツインキュベーションセンターに拠点を構えていて、そこでメンターに言われたのが、「メディアね、もう古いんだよね、ビジネスモデル」ということ。そこで、じゃあ古くないメディアってどんな形かなっていうのをこれから模索していきたいと考えている。なので、広報の方たちと一緒に活動しながら、新しいメディアの形を探りたい。現時点ではビジネスITにフォーカスしているけど、もしこのモデルが上手くいくようなら、違うカテゴリの事例を集めたサイトっていうのもあり得るのかなと思っている。
というお話でした。
Thoughts:
生成AI時代がもたらしたメディアの課題感、というよりは、だいぶ前からすでにあった課題(特にIT専門メディア?)に、生成AIが拍車をかけてるという感じ
前職時代に特に感じたことだけど、セグメントが明確に絞れるほど各媒体が保有しているリードリスト(コンタクトDB)の母数がほぼ一緒な感じで、そうなるともはや同じ媒体じゃなくてもアクティブリードはダダ被り感が否めない
CaseHub.Newsが特徴的なところとしては
コンテンツは事業会社の事例に特化
ビジネスモデルとしてリードジェンのサービスはやらない(“売る”ためのコンタクトDBは持たない)
AI使って事例特化のセマンティックサーチとか生成AI使って、クライアントの求める出力結果をウリにしようとしてる(?)
といったところでしょーか
References:
CaseHub.News
CaseHub.News 媒体資料
AIは味方か敵か?AI時代の到来で変革期を迎えメディア業界はどう変わるのか|MEDIA DAY TOKYO 2023 by PR TIMES MAGAZINE, 2024.02.21
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