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目の前の課題を解決したい!StockBaseの熱い想い

 株式会社StockBaseは代表取締役の関芳実さんと取締役の菊原美里さんが経営している。3月までは横浜市立大学の3年生だったが、2021年4月に大学を休学して事業を立ち上げた。

 起業につながった一番大きなきっかけは授業の一環で参加したビジネスコンテスト。アイデアからビジネスモデルを考えて起業のプロセスを学ぶという授業に興味を持った関さんは、その授業を通じて参加したビジネスコンテストで、菊原さんを含めた5人の友人とともに、見事に優勝した。

就職活動を辞めて起業へ

 そして、大学3年生の冬。「ビジコン優勝」の自信を胸に、新規事業の立ち上げができる企業を中心に就職活動を始めた関さん。あらゆる企業を見ているうちに、

 実際に困っている人がいてあと一歩踏み出せば自分が考えたビジネスで解決できる課題があるのに、ビジコン優勝で終わらせてよいのだろうか

と感じるようになった。自分たちのサービスを実現して目の前の困っている人たちを助けたいという一心で、考案したサービスを事業化させた。

 菊原さんは就職活動をしていた当時、デベロッパー業界を志望していたそうだ。あるとき、企業のボランティアとして、余ったカレンダーを高齢者施設に寄付する活動に関わった。その活動を通して「不要とされているものは、他の人が必要としているものなのかもしれない」と感じていたとき、アイデアをビジネスモデルにするプロジェクトに友人から誘われ、関さんのグループでビジネスコンテストに参加することとなった。

 住環境から人の暮らしを豊かにしたいという想いを持っていた菊原さんは、もともとは大きな建物を建てるような仕事に惹かれていた。しかし、もっと根本的なところで生活に困っている人がいる現状を知った。そして、「目の前に直面している社会課題があり、解決できそうなアイデアもあるのに、他の企業に就職して別の社会課題を見つけて解決しようとしていることに疑問を感じた」という。菊原さんの中で、“いいところに就職すること”よりも、“いま目の前にある課題を解決すること”が最優先になった。

休学は心の安定剤

 大学を休学して起業をするということは大きな決断である。休学をすることに対して不安はなかったのだろうか。

 たしかに休学して普通のレールから外れることに対しては不安もあった。それでも起業をして何かしらを得ることで自分の人生の中で価値あるものにしてやる!という想いのほうが強かった。
 起業することはすごく勇気がいることだったが、休学することはむしろ保険のように感じた。横浜市立大学では休学にお金がかからないし、もしダメでも来年学校に戻れるのだという安心感の方が強かった。

 失敗しても大学に戻ることもできるという状況にいることで、休学という選択が心の安定剤となったそうだ。また、彼女たちの事業は対企業である。学生だと社会人と対等な立場で話せないのではないかという不安もあった。休学は会社として対等な立場で事業を進めるためにも、必要な決断だったという。彼女たちにとって起業は目的ではなく手段だった。その先に目的があるから、休学をして起業することも怖くはなかった。「若いうちにやってみなさい」という両親の後押しもあり、二人は起業する覚悟を決めた。

この数か月間、人とのつながりで生きてきた

 まさにゼロからのスタートだった。名刺の渡し方がわからない。企業と契約をするために業務委託契約書を作成する、見積書を作成する、といった社会のルールが何もわからない。企業に就職していれば研修で経験できていたはずのことが何も経験できない状態で、全部自分たちでやらなければならなかった。それゆえに、一つ一つのプロセスを完成させていくこと、一つ目の仕事を終わらせるまでが一番大変だったそうだ。

 一方で、社会経験が少ないことは強みにもなったそうだ。わからなければわからないと発信する。伝える力があれば、誰かが反応してくれる。彼女たちはそうやって、出会った社会人の先輩から様々なアドバイスをもらいながら、経験を積んできた。だから、人とのつながりをとても大切にしている。人とのつながりがあれば思いもよらなかったところで話しかけてもらえることもある。つながりが増えるチャンスは逃さないという貪欲な姿勢が大事だという。

 困っている人を助けたいという熱い想い、そして、人とのつながりを大切にして、自らの想いを発信できる力が、若き起業家である彼女たちの魅力であり、最大の武器なのだと感じた。

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