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ガンダムSEEDが教えてくれたキャリア論(3) 〜高校・大学篇〜


1. 高校時代と修学旅行

外交や国連といったものに憧れを抱く一方、私が朝から晩まで過ごしていた高校は岡山県の田舎にあり、見える景色は、田んぼと畑、山と川。商店もありません。田舎を地で行く高校生活の最中には、普段の生活で外交官や国連職員などという人種に触れる機会はゼロ。

多くの人と行き交う街中に行くとしても、たまに同級生と岡山市内にでかけたり、山陽本線に乗って姫路や神戸でカラオケをして遊んだり、神戸で予備校の模試を受けるくらいなもの。外交や国連などは、どこか遠くの世界の出来事のように思いながら、日々の高校生活を過ごしていました。

高校周辺の風景

イラク戦争

私の高校の修学旅行は、お金を積み立ててイギリスに行くのが恒例でした。しかし、2003年当時、イラク戦争が勃発。有志連合にはイギリスも加わり、テロの恐れがあるという理由で、イギリス行きは白紙に。

SARS

そのような危険が及ばなさそうな近場の中国に行こうという案が持ち上がりました。しかし、今度は中国を中心に世界中で重症急性呼吸器症候群(SARS)のアウトブレイクが発生。中国行きも白紙となり、結局は国内の北海道旅行に落ち着きました。

自分のような岡山の田舎の高校生も、国際社会の影響を受けるのか。

自身と世界の繋がりを明確に意識する、田舎の高校生にとっては革命的な瞬間でした。

WHOとの出会い

SARSでは、世界保健機関(WHO)という国連機関が、世界をウイルスの脅威から守るために奮闘していることを知りました。また、その最前線の現場でお亡くなりになったWHO職員がいるとも聞きました。その名前は、カルロ・ウルバニ。国連職員であると同時に、医師でもあると。

身を挺して世界を危機から救わんとする姿に感銘を受け、医師という道にも関心を持ちました。ただ、それは病院で働く臨床医ではなく、国際政治×医師という道です。

日本と国際社会を、危機に強い平和な社会にしたい。

アナン事務総長・沈黙の艦隊・SARSから影響を受けた私は、漠然とそう思うようになりました。
【②望むことは何か】

ただ、何から始めれば良いのかよくわからない。

外交をやるのは外交官だと思うし、SARSのような対策をしているのは医者だろうか。国連職員も従事しているようだ。

自分がやりたいことを成し遂げるためには、おそらく外交官と医師の両方をやる必要がある。だが、両方を同時には出来ない。では、両方を別々にやれば良いのではないか。まずは医学部に進み、その後法学部に入り直して外務省を目指そう。そう決めて、大学受験でも、医学部と法学部の両方を受験しました。
【②望むことは何か】

2. 大学時代とWHO

しかし、修学旅行で訪れた北海道大学医学部に進学し、実際に医療を学んでみると、どうも日本の問題は、外交だけではないようです。むしろ、医療を初めとする社会保障は、超高齢社会の我が国で、非常に大きな問題となっている。日本を危機に強い国にするためには、内政こそしっかり取り組まねばならないのではないか。いや、内政と外政は連関しており、両方やらねばならないのではないか。
【③すべきことは何か】

北海道大学 中央ローン

悶々とそんなことを考えている折、医学生6年時に、大学の教授の紹介で、世界保健機関(WHO)本部を訪れる機会に恵まれました。

WHO本部があるスイスのジュネーブには、国際連合欧州本部(旧国際連盟)、国際赤十字委員会(ICRC)、緒方貞子さんが活躍された国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)、国連知的所有権機関(WIPO)など、多くの国際機関がひしめいています。大学生の私にとっては夢のような、国際政治の都でした。

国際連合欧州本部(旧 国際連盟本部)– Palais des Nations

今はなきブラウン管のテレビでアナン事務総長の姿を見てから15年程が経っていましたが、初めてアナン事務総長や海江田艦長、カルロ・ウルバニ医師が活躍した国際舞台を身近に感じ、胸の高鳴りは最高潮に。

自分にとっての「②望むことは何か」「日本と国際社会を、危機に強い平和な社会にしたい」ということなのだという点について、より解像度が高まりました。
【②望むことは何か】

Jet d'eau in Geneva

3. 日本政府との出会い

そこでたまたま出会った厚生労働省の官僚S氏、E氏、K氏は、私にとってかけがえのない出会いでした。

厚生労働省では、内政と外政の両方に取り組むことができる、社会保障の問題にも、外交の問題にも、SARSなどの国際的に脅威となる感染症の問題にも、直接的に取り組むことができる、という話を聞きました。

そうか、ならば厚生労働省に入り、「日本と国際社会を、危機に強い平和な社会にしたい」という志を遂げよう、と思った瞬間でした。
【②望むことは何か】

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