七つの子 : another heaven
「車があると便利じゃね?」
大学の講義中、友達がそう言い出したのが全ての始まりでした。
僕と友達は大学を早々に引きあげて近くにある中古車センターへ行ったのでした。
着いてすぐ赤い軽自動車が目に入りました。友達も同じようでした。
特に目立つようにディスプレイされていた訳でもないのに、僕も友達もその真っ赤な軽自動車を見つけてしまったのです。
ボクは車体の色が真っ赤なのが気に入らなかったけれど、友達の方は新品同様なのにめちゃくちゃ安いと気に入ってしまいました。
もちろん「どうしてそんなに安いのか」と聞きました。すると中古車屋のおじさんは少し戸惑いながら、「アタシも詳しくは知らないのですが、実は事故車なんですよ」と答えました。
さすがの友達も一瞬たじろぎましたが、「そうだと思ってましたよー」とすぐに虚勢を張っていました。
「でも、交通事故で死人が出たという訳ではないんです。ちょっと事故に巻き込まれた程度らしいんですよね、詳しく知らなくて本当に申し訳ないのですが」
そう言われてボクも友達もそういうものかと少し安心したのでしょう(今ではそう思った事が不思議でなりません)、車内を少し確認し、その新しさに惹かれ、購入を決めました。その時、後部シートに何かをこぼした時に出来るシミみたいな汚れがあったけれど、それほど気になりませんでした。
ポンと現金で支払いを済ませた友達の運転で、中古車センターから帰りました。車は真っ赤な夕焼けに向かって快調に進んで行きました。
かーらーすー なぜなくのー からすはやーまーにー かーわいーいー なーなぁつーのー こがあるかーらーよー
「え? どうした?」
友達が運転しながら急に歌い出したので反射的に聞いていました。
「いや、なんか急に歌いたくなってさ。そういえば、この歌「七つの子」って言うんだけど、このななつのこって、カラスの子供が七羽いるのか七歳なのか、どっちか知ってるか?」
どっちでもいいだろうと思いながらもちょっと薄気味悪く感じていました。
「この歌を作詞した人がさ、七歳の時に母親と別れた経験が投影されてるらしい。だから七歳って説が有力なんだって」
いつもの覇気のある笑顔ではなくて、どこか物悲しい、これまで見た事がない笑顔を浮かべながら友達はそう言ったのでした。
今から思えば、これもサインの一つだったのかもしれません。
つづく
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これはしめじのお兄さんが書いた世にも怖い物語から始まった企画に乗っかった物語です。下記が募集要項(?)です。
《カーナビに残る、前所有者の住所》の設定だけ残して、あとは全部変えてくれてもいいよ👌 (どんどんゆるくなっていく企画設定)あなたなりの解釈を。 あなたなりのストーリーを募集致します🐵
「怖い話が苦手な方注意」なのですが、怖かったり残酷な話が大丈夫な方にとっては、その物語を読む事によってスッキリしたり、何かが抜け落ちたり、浄化されたりすることもある気がします。
なので、更新ペースは遅いかもしれませんが、何回かに分けて書いてみようと思います。(ちょこっとずつになると思いますすいません。読む人がいる前提でこんなこと言っちゃってて良いのか。。。)
しめじさんに「上手く出来そう」とコメント欄で言って頂きましたが、全く自信はありません(笑
でも、「七つの子」ロス解消のために自分で挑戦してみたくなりました🐻
しめじさん、穂音(ほのん)さん、ありがとごじゃいます!
↓ こちらは しめじさんが書いたオリジナル(ホラー? サイコサスペンス?)小説(全9話)。
↓ こちらが 穂音(ほのん)さんが書いた別の最終話。この物語を一番と言っていいほど怖がっていた方が、さらに恐ろしい最終話を書くという現象が起きました。人の心の複雑さを垣間見れた瞬間でした(笑
七つの子(9) : another world
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